24話 かくておっさんは組合を駆け抜ける
前回のあらすじ
クソまずポーションの正体は『ゴブリンに2つの草を混ぜたものを飲ませて吐いたもの』だった!
あまりのことに激怒したロビンは、思わず壁を叩いてしまい、その拍子に〈隠密〉が解けてしまう。
警備員に見つかり逃げ出すロビン。なんとか地下7回まで逃げ延びたが、ここからどう逃げるのか!
あらすじ書くの下手ですいません。
『緊急! 緊急! 侵入者有り! 警備員は直ちに地下9階へ!』
「はっ…はっ…! 館内アナウンスとはまた豪勢なもんだなぁ!」
「なんなんですかこの厳重セキュリティは!? 王城でもこんなのありませんよ!?」
「いやー、ポーションって儲かるんだなー」
さらに階を降りてロビンたちは現在地下9階の通路を走り抜けていた。
警備員たちは黒いフードの男に引き連れられて順調にロビンたちを追っている。
一度撒いてみようと途中にあった部屋でやり過ごそうとしたのだが全く意味がなかった。
看破されて逆に死にかけたのはご愛嬌か。
ともかくロビンたちに可能なのはひたすら上から追いかけてくる警備員たちから逃げることだけだった。
「それにしても先回りとかすれば俺たちのこと追い詰められるのになんでしないんだ?」
「なんかの制約でもあるんじゃないですか? まあ先回りされたら終わりですけど」
だいたい階の多い建物には離れた上階や下階に行くための転移魔法陣が設置されているものだ。
それを使って前後挟み撃ちにされてしまうことをロビンたちは当初危惧していたが、まったくもってその素振りがないことを不思議に思っていた。
まあそれを考えることも大切ではあるのだが、それはそれとしてとりあえず逃げることが優先である。
お喋りもほどほどにしておかないと、のちのち体力がなくなって捕まるなんてことになりかねない。
「いくぞアルマ! 次、左だ! そこから右、左、前、右、前、前、右!」
「わかったー」
ロビンの指示のもと、アルマの先導で全員が通路を左に曲がる。
さらに次の分かれ道を右、次を左に。その後直進して、右に曲がる。そこからさらに真っ直ぐ進んで右に曲がると……
「よし! 10階いくぞ!」
さらに下への階段があった。
……………
「くそっ! ネズミだと!? 馬鹿にしやがって!」
時は遡り、ロビンたちが地下7階の倉庫にいた頃。
黒フードとその部下たちは大いに怒っていた。
センサーに反応があると聞き地下7階に駆けつけたところ、やけに沢山の場所から気配して気配察知が通用しない。
不思議に思っていたら一番近くの罠にかかった気配があったため直行してみたところ、見事に罠にかかっているネズミがいた。
なお、この建物は文字通りネズミいやゴキブリ1匹入り込むような隙間は作られていない。
そういった生物が入りそうなところには全て魔法によるフィルターが張られていた。
つまり、このネズミは持ち込まれたものだと言うことだ。
その後これだけの反応があるからと人海戦術を使って地下7階に人をばら撒いたが、各地でネズミが捕まるだけだった。
しかもご丁寧に全ネズミに気配遮断がかけられており、いちいち黒フードの男を刺激するのだ。
「これやったやつ俺に喧嘩売ってんのか!?」
黒フードの男は激怒した。
かの邪智暴虐の王を………否、かの全てを舐め腐ったような侵入者を必ず撃滅してやると息巻いた。
黒フードの男の名前はレオン。
Sランクの裏追捕使である。
裏追捕使というのは、正式な追捕使のように表の世界で悪人を追うのではない。
裏の世界で他人に知られてはならないような秘密を持った者や、裏切り者なんかを捕まえて始末するのが主な仕事である。
なお各界では「必要悪」的な認識をされているため、Sランクという公式規格もあるのだ。
レオンは己のプライドをかけて、今回の侵入者たちを捕まえることを決意した。
さらに気配察知の深度を上げていく。
「………!! 見つけた! 北西の倉庫だ!」
倉庫の中にとりわけ大きな反応があった。
ネズミたちの反応が各地からするためひどく阻害されていたが、ひとたび俺が本気を出せばこんなものだとレオンは笑う。
警備員たちによって包囲された倉庫に入り、気配のする箱の蓋に手をかけた。
「さて、貴様ら。隠れても無駄だぞっ………!」
バッ! と蓋を開け放てば。
「ちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅーーーー!」
ネズミが溢れんばかりに飛び出してきた。
流石のレオンも気持ち悪さに飛び退く、その間にネズミたちは倉庫を飛び出して自由な世界へ走り出していった。
「…………」
しばらく呆然とするレオン。
「……フ………フフフ……フフ」
だが、それも少しすると変化してきた。
『緊急! 緊急! 地下8階に侵入者有り!』
アナウンスが響く。
「フハハハハハ! いい度胸じゃゴラァ! 買ってやんよその喧嘩ぁ! テメェら! さっさと追え!」
レオンの雄叫びと共に、警備員たちは駆け出した。
……………
「〈ネズミ式〉罠探知のときもでしたが、つまるところ、最強はネズミ先輩ですね」
「まあなー、ネズミは実験台としても最強だしなー。繁殖力高いからなー。アレは大量にいればどんな強者でも若干引くし、何にでも使えるというわけだー」
「余計なこと話してねえで次行くぞ! 左、右、左、右、前、前、前、左、右!」
地下7階での追手を出し抜く一幕を思い出し、つくづくネズミの有用性を感じるユナとアルマ。
ついにネズミに先輩がくっついてしまったのも、ユナの尊敬の表れであった。
そんな雑談をする2人を注意して、ロビンが次の指示を出す。
「………なんだろうなー、ユナ。なんかさー……」
「………ロビンさんがシリアスしてると逆に気が抜けますね」
「俺の評価、2人の中でどうなってるのか切実に知りたいです」
普段からシリアスな場面で変に気の抜けたことを言うロビンが、まさかシリアスな展開でシリアスやってるせいで逆に気が抜ける2人。
緊張しないというのはいいことだが、緊張感がないのもそれはそれでどうだろうか。
「シリアス展開したら死ぬー?」
「真面目に何かをするってことができない?」
「ア、アレー? 俺って結構真面目だと思うんだけどなあ」
実際のところロビンのことを心の底から不真面目だとかはユナもアルマも思っていないが、かと言って真面目かと言われるとそれはそれで肯定し難い。
故に出た結論なのだが、等のロビンは不本意であった。
なお、この会話の間も3人は走っている。
無駄なエネルギーを使ってしまったようだが、その価値はあったようだ。
ロビンから変に気を張った空気がなくなった。
ちょうど通路を抜けて、階段に出る。
「さって……地下11階ですなあ!」
「んー。もうちょっとだなー」
3人は階段を降りる。
地下11階に踏み込んだ途端にまた緊急のアナウンスが入った。
『緊急! 緊急! 侵入者有り! 警備員は直ちに地下11階へ!』
「いやぁ……面倒くさ。このセンサーどうにかできないもんかなぁ?」
「管制室に入れればどうにかしますけど?」
「入れたら今頃こんな苦戦してねぇよ」
ロビンが監視システムに対して悪態をつく。
だがまあ機械に文句を言ってもしょうがないのでユナが軽口を返した。
全く、生意気になったものだ………
と、ロビンはしみじみと思った。
いつかは大人になる時がやってくると知っていたが、もうすでになっていたか。
つまるところの好々爺的視点だった。
当然それはユナのロビンへの想いとは交差することのない感情である。
「なんだかすごく不本意な感情が渦巻いてますね」
「まあまあ、とりあえず走ろうぜ。アルマ! 右、左、右、左、左、前、前、前、右、左!」
ロビンの指示とともに3人は長い廊下を駆け抜けるのだった。
最近一身上の都合で忙しいため、更新が安定しておりません。
そのため17日まであと3話くらい投稿した後、2月くらいまで1ヶ月1話の更新にさせて頂きます。申し訳ありません。
今後ともよろしくお願いします。




