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California Zombie Killers  作者: 三篠森・N
EP 5 ザ・スカベンジャーズ ‐ザ・ファーストアベンジャー‐
18/86

3話

 イラク戦争でならした俺たちカミカゼ戦隊は、上に売られ当局に逮捕されたが、刑務所を脱出し地下に潜った。しかし、地下で燻ってるような俺たちじゃあない! 仁義と人情があれば金次第で不可能を可能にし、巨大な悪から小さな悪まで叩き潰す命知らずの無鉄砲! そう! 俺たちは! カミカゼ戦隊・セクションα(アルファ)!

♪(『セクションαのテーマ』)

 “THE SECTION-α”

 (爆発)


 俺はリーダーのジョニー・スマート大佐! 通称“ドラキュラ”! 奇襲戦法と変装、そして拷問の名人だ! 俺程の天才策略家でなければ、百戦錬磨のクセモノ揃いのリーダーは務まらんさ! おっと、人情話はよしてくれ。そいつだけが俺の弱点だ。

 “Johnny“Dracula”Smart”


 俺は……おっと、本名は明かせねぇ。通称“誘惑(テンプテーション)コーギー”、長けりゃ“ミスター・ライト(理想の男性)”でいいぜ! 俺の自慢のイケメンフェイスで男も女もイチコロさ! ハッタリとルックスで大統領の隠し子の数も、大統領の娘の全身のホクロの数だってすぐに調べ上げてやるぜ! オンナのトラブルが絶えないのが玉に瑕ってみんな言うが、むしろ俺は勲章だと思ってるね!

 “Mr. Right”


 やぁお待ちどう。俺はスクイド! 車に戦車、ヘリコプターと、普通の奴じゃ腕が十本あっても足りないデカいメカの操縦テクは天下一品、誰にも負けねえぜ! アタマがイカれてる!? それがどうしたさぁヘリコプターを低空飛行させて愛犬の散歩の時間だ!

 “Squid”


 オドリャア! ワレェ! コラァ! ワシぁダッドリー・バルログ、通称“ドンキー”じゃけぇ! メカニックと取っ組み合いの天才じゃきに! 自慢の怪力で大統領でもぶん殴ってみせるけぇのぉう! でも飛行機ばっかしゃぁ、勘弁してつかぁさい!

 “Dudley“Donkey” Balrog”


 ボボボボボボクは超ウィザード級スーパーハッカー、通称“ギグジー”……。リアルな会話と暴力は苦手だけど、盗み聞きとハッキング、ネット上での態度とタイピング速度では誰にも負けないよ! あぁ、でもペンの先を向けないでくれ……。先端恐怖症なんだ……。糖分を取ってリラックスしないと……。

 “Guigsy”


♪(『セクションαのテーマ』)

 俺たちは、筋の通らぬこの世界に勇気をもって挑戦する、みんなの希望の神出鬼没のチョイ不良(ワル)ヒーロー!


(車のクラッシュ×5)

(飛行機墜落)

(ビル爆破)


 そう! 俺たちは!

「「「「「カミカゼ戦隊・セクションα(アルファ)!」」」」」


“THE SECTION-α”

 (爆発)


 困ったことがあったらいつでも俺たちを呼べ!

 MP製薬カリフォルニアラボ。そこでは多くの研究員が人類の希望であるゾンビワクチンの開発のために日夜尽力していた。彼らがまず行ったことはラボの要塞化だった。ゾンビの襲撃を受けてもビクともしないよう、彼らはジャンルを問わず多くの研究者たちが新たな拠点にしているように、旧時代の軍や政府の重要拠点の廃墟を自らのラボとした。カリフォルニア某所の旧軍基地のゾンビを掃討し、外部は逆に幾重ものゾンビの壁を作った。長年の暮らしで一部の人々はゾンビをある程度飼い慣らせることを知っていた。その飼い慣らしたゾンビをゾンビの壁の一番内側にし、外にはゾンビの餌を少しばら撒く。ゾンビは共食いをしないのでので、ゾンビの壁が出来上がる。すると、外出は難しくなるが手に負えないほどのゾンビは集まってこないのだ。さすがエリート! MP製薬! もちろん、ゾンビを飼い慣らせると知ったMP製薬の「ラボの要塞化」の策はこれだけじゃなかったが……。


「……クソッ!」


 所長のクルドがモニタールームで手に持っていたペンを親指だけでへし折った。今にも怒りでこめかみから血が噴き出しそうだ。


「なんだあのバケモノは……」


 モニターの向こうでMP製薬鉄壁の要塞を破壊しているのは……。




CZK3 5-3-A

「ミランダ! まだ生きてる冷蔵庫が見つかったぞ!」

「本当に兄さん! 中に入ってるは、えぇ~と」

「クラウン・コーラだ! それもキンキンに冷えたのが何ダースも! 両手じゃ数えきれないぜ!」

「Awesome! 今日からクラウン・コーラパーティね!」

 クラウン・コーラ 全米のイチバンマーケットにて大好評発売中

CZK3 5-3-B




 ジョニー・“ドラキュラ”・スマート(享年55歳 ゾンビ年齢10歳)、“ミスター・ライト”スチュワート・コーギー(享年31歳 ゾンビ年齢10歳)、レニー・スクイド(享年34歳 ゾンビ年齢10歳)、ダッドリー・バルログ(享年40歳 ゾンビ年齢10歳)は、生前は「カミカゼ戦隊・セクションα(アルファ)」と呼ばれた軍人上がりの精鋭の傭兵部隊だったが、自慢のスキルを見せる間もなく、ミセスの刃に全身を切り刻まれてどのパーツが誰のものだったかもわからなくなってしまった。


「強ぇ……」


「なんでこんなバケモノが最高十一位なんだ……」


 ミセスのとんでもない強さは北米大陸最強のバカとそれに次ぐバカのバラチ兄弟でもわかる。両手に剣を持ち、圧倒的速度でゾンビたちをスライスしていく。


「ミセスの武器はジャパニーズサムライソードじゃないの?」


 双眼鏡で自分の優秀なボディガードの活躍を見ながらタバコをふかしているドクターに聞く。


「確かに日本刀はいい武器だにゃ。硬くてよく斬れて何よりかっこいい。でも対ゾンビでは日本刀を使うメリットは全くないんだにゃ。むしろデメリットしか残らないにゃ」


「そうなの?」


「そう。まず、日本刀最大の強みである、相手の骨も砕く攻撃力が、ガキのパンチで骨が砕けるくらい弱いゾンビを狩るのに意味をなさないにゃ。それからどんな刃物もたくさん斬れば血と脂と刃こぼれで切れ味が落ちる。今回みたいに数が多い時に武器の手入れはいくら相手がゾンビとは言え命取りにゃ。だからボクとミセスと美鈴ちゃんの三人でコミックを読みながらゾンビ狩りのための新しい装備を考えたんだにゃ。その名も、ブシドー!!」


 扇風機の修理中に扇風機が誤作動を起こし、飛んだ破片が目から脳に抜けて一度目の生涯を終えたメアリー・ピーヴィ(享年65歳 ゾンビ年齢8歳)の首をミセスが右手のブシドーで刎ね、左手首を右肩口に乗せてブシドーを交差させ、そのまま突進してエミリー・ワット(享年21歳 ゾンビ年齢3歳)、マニー・キング(享年53歳 ゾンビ年齢6歳)、ロナルド・ワインハウス(享年57歳 ゾンビ年齢9歳)をすれ違いざまに刻み、真正面にいた二百キログラム超はあった生前はスモウレスラーのヨコヅナ・チャンピオンのカダナ・タダシ(享年38歳 ゾンビ年齢9歳)を両のブシドーで突進の勢いのまま後はお好みで焦げ目をつけるだけのハンバーグ状態に!


「簡単に言うならブシドーはでっかいカッターナイフにゃ。硬度はないけど薄くてよくしなって切れ味は抜群、ゾンビにはこれくらいで十分にゃ。そしてブシドーはとにかく安くたくさん作れるにゃ。切れ味が落ちたら……」


 ミセスが右のブシドーの(ハンドル)の何かをクリックするとブレードがパチンと外れる。ミセスは外したブシドーブレードの根元を掴み、ギグジー・ボーン(享年24歳 ゾンビ年齢10歳)の脳天にストライク! 即座にストックのブシドーブレードを右のブシドーハンドルにセットする。


「捨てて次のブレードをセットするにゃ」


「安いと言っても燃費悪くない? あの女、もうそのブシドーっていうの何枚使ったのよ。残り何枚?」


 ベラトリクスが不機嫌な声で言った。ドクターの指示で先陣を切るのはミセス一人、ベラトリクスはもちろんミランダもバラチ兄弟もリカルドも待機で少なからずフラストレーションが溜まっていた。バカのバラチ兄弟とサイコ野郎のリカルドには理解出来なかったが、一定以上の知能と正常な精神を持っているミランダとベラトリクスにはその命令の意味が理解出来た。だからこそベラトリクスは不機嫌だったが、何も言い返せないのも現実だった。


「今捨てたので三枚、ミセスの元には残り八枚で、残り三ダース持って来てるにゃ。まぁ、燃費に換算すると、ベラトリクスがゾンビ一人殺す時間にミセスは三十殺せるし、ベラトリクスが三十人殺すのに消費する道具の値段はブシドーブレード一枚くらいだにゃ」


 ドクターがベラトリクスを逆なでする。

 わかってんのよ。自分が弱いことくらい。


「う~ん、もうそろそろいいかにゃ。ミセース! にゃぁ~!」


 ドクターが日本語でミセスに何か伝えると、ミセスは自分を中心に二メートルの範囲内のゾンビ全てを斬り倒し、小走りでドクターの元へ戻ってくる。ドクターの言う通りブシドー一枚で三十人殺せるとしたら、既にミセスは一人で百人近く殺している。このスコアは驚異的だ。


「英語くらい覚えなさいよ」


「ミセスは英語はリスニングもスピーキングも出来るけどそもそも日本語もあんまり話せないくらい無口で控えめなんだにゃ」


「ジャパニーズ・ヤクザの用心棒のくせに?」


「お前ちょっと黙ってろ。いいかお前ら。作戦通り行くにゃ。バラチ兄弟は、外でひたすら暴れまくってゾンビを殺すにゃ。ミセスがあれだけ暴れてもゾンビ以外出てこなかったってことは外の守りはもうきっとゾンビだけにゃ。ミセス、ミランダ、ベラトリクス、リカルドは突入。途中、ゾンビの数が多くて邪魔になると思ったらリカルドに任せるにゃ。ミセスは、人間のセキュリティでヤバそうなのが出てきたらそいつと戦ってミランダとベラトリクスを先に行かせる。ミランダとベラトリクスで敵の研究室か司令室に着いたらミランダが制圧して、ベラトリクスが拷問してワクチンの場所と製造方法を聞き出して完全に破壊。OK?」


Got(ガッ) you(チャ)


 あの日、あの場所で言われた、何気ない言葉。その言葉が実はドクターに今でも絡み付いて苦しめているとは、ドクターにも予想がつかなかった。


 ――「ゾンビ殺し? なんだそりゃ。ゾンビ殺しなんてのはあんなのザコ専門のヤツらだろ? 笑っちまうぜ」


 あの時の不良の言葉は間違っていない。ゾンビ殺しは出来ても、人間は殺せるか? 実際に不法移民を撃ち殺しているリカルド、軍で戦闘の訓練を受けた兄から戦闘の訓練を受けたミランダ、そしてなんでか知らないけど強いミセス、この三人は大丈夫かもしれないが、バラチ兄弟とベラトリクスはレックス様の言う通り、ザコ専。今回殺す相手は丸腰のゾンビだけではない。武装した人間のセキュリティもいるだろう。ベラトリクスは特に役に立たない! ベラトリクスのゾンビ殺しスタイルは、特製の麻酔銃で捕獲したゾンビを連れ帰り、過激なナース衣装を着て治療と称し拷問の末死に追いやるもの。確かにベラトリクスはこのアイドル系ゾンビ殺しとしての地位を確立し、たった一度ではあるが『今週のゾンビ殺し』1位にもなった。だがその場での大量殺戮は苦手で戦闘力は低い。


「わたしが……」


 ベラトリクスが俯きながら目を充血させ、セントラルパークの大道芸人が奏でるノコギリミュージックのような歯ぎしりをした。


「ブシドーのストックを運ぶわ」


 ランクは一番高いけど、この場で一番弱いのは自分。それぐらいしか自分には出来ない。ベラトリクスはバカではなかった。そして「拷問を頼む」と、このうさんくさい日本人が自分を戦力外扱いしなかったことに、ドクターからゾンビ殺したちへの「二つ目の頼み」の重要さを感じていた。

NEXT CZK3 5-4-A&B

地を覆う(ブラッド)! 鋭く輝く(ブレード)! 怨念の銃弾(バレット)! 怒りの衝撃(バング)! 侵入者共は、絶対に許さない!

――「MP製薬カリフォルニアラボ全員に告ぐ! 全力で侵入者共を排除せよ! (フランケンシュタイン)を使うこともやぶさかではない!」

「所長! 例のアレはまだ試作段階、所内でも極秘の存在です! しかも非常に不安定な状態でとても実戦では……危険すぎます!」

「聞こえんのか! 全力でだ! (フランケンシュタイン)を使うこともやぶさかではない! 全力で叩き潰せ!」

次回、何かが立ち塞がる!?

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