希望
(この分だと顔色の悪いエルフも期待は出来ないな。)
エルフ族はファンタジーでは有名で、美形で耳がとがっており、長命で理知的な種族だ。
背丈は人間に比べて少し小柄で細身、そのため力や体力は低めだが俊敏である。
だが目の前にいるエルフ族の男性は金髪碧眼の美形ではあるが、ずっと調子悪そうに俯いて、酒をチビチビ飲んでいる姿を見るとあまり綺麗には見えない。
「すみません、あのー・・・あなたの事も聞きたいのですが?」
「・・・はぁ・・しんどい。」
「あの・・・。」
「やめておけ。そいつは話すのもしんどいとか言う奴だ。」
「そうですか・・・。」
(まあ、強く見えないし。彼も何かしらの不遇キャラなんだろうな。)
「それよりも・・・だ。肝心のお前は何なんだ?」
「えーと・・・レベル5の武人です。」
「は?とんだ雑魚じゃねえか!しかも、低レベルの上級職なんて一番つかえねえ!」
酷い言われようである。
しかし、実質低レベルの上級職はパーティのお荷物で、他の仲間に頑張ってもらわないと厳しいのは事実だ。
「くそぉ・・・お荷物を押し付けられた・・・飲まなきゃやってられねえ・・・おかわりだ!」
彼は給仕の女性を呼びつけて、酒を注文する。
それに便乗して、プックルも酒を注文した。
「じゃあ、私も同じおさけー!」
外見は子供だがやはり大人なようだ。
というかこの世界では何歳から大人なのだろうか?
その時、俺のお腹がみっともなく鳴った。
(そういえばこの世界に来てから何も食べてないな・・・。)
「なんだお前、腹減ってんのか?」
「ええ、復活してから何も食べてないので・・・。」
「何?クルスト寺院の神官どもは相変わらず薄情だな。それなら奢ってやるよ。」
「え?いいんですか?」
「もちろん借り1つだ。」
彼に借りを作るのは怖い気がしたが、これ以上何も食わないと命にかかわる。
「アル君~奢ってもらったらいいよ~。バナザードはお金持ちだからどうって事ないし~。」
プックルは上機嫌でお酒を飲み、地面に付かない足をパタパタさせながら、まるで歌っているように話しかけてきた。
「この酔っ払いめ、余計な事を言いやがって。」
「本当のことだよね~、だってあの騎士ブレイブのパーティにいた時に、分け前いっぱい貰っているもんね~。」
(分け前?・・・そうか!)
それを聞いて思い出した。
このゲームはお金を個人で管理しているが、お金を移動させるときは一人に全部か全員に等分かの2種類しかない。
つまり騎士ブレイブと組ませていた時に分配した後別れたので、かなりの額をそのまま持っていた・・・という事だろう。
正確には覚えてないが、かなり高価な武器防具を一式揃えられるほどあったとは記憶している。
(彼を上手く使えば、少なくとも餓死は免れる。それに、なぜこの世界に俺が来たのか調べる余裕も出来るかもしれない。)
「バナザードさん、ご馳走になります!この恩に報いるためにパーティに入れてもらってよろしいでしょうか?!」
「お・・・おう、わかった。」
俺の覚悟は決まった。




