再挑戦
俺は迷宮入り口の神殿広間で朝から待ち合わせをしていた。
昨日の夜は、今日の事を何度もシュミレーションしてレベル上げにより効率的なルートを考えており、それを早く披露したくて仕方がない。
「アル・・・おはよ。」
「ああ、アルテナさんおはよう。」
アルテナが声をかけてきた。
集合時間15分前に来るとはすばらしい。
「アルテナっ呼ぶことにするって決めたよ。」
「ああ、そうだったね。」
これからは、パーティの間では敬称は無しにして、もっと自然に呼び合う事に決めた。
いざという時、敬称や丁寧に話すことなど時間の無駄だからだ。
「昨日の装備着てくれたんだね。似合ってるよ。」
「アルが選んでくれたし・・・アルも装備似合ってるよ。」
「そうかな・・・それならいいが。」
アルテナは昨日選んだ装備をしているが、重さに負けている印象はない。
小柄だがやはりドワーフ、思ったより力があるのかもしれない。
俺も完全装備できたが、結構重い。
ただ、この世界での体はレベルが低いとはいえ鍛えられているのか、十分動けそうだ。
「カナタとミカ・・・遅いな。」
その後、アルテナと能力の確認などして時間つぶしをしていると、見知った顔が広間に入ってきた。
彼は俺の方をチラッと見たが、すぐに迷宮へと進んで行った。
(バナザード・・・朝から迷宮に潜っているのか。)
酒場でずっとだらけていた彼とは違うようだ。
装備も俺のデータと違ってかなり強化されているのが見て取れる。
パーティ全員がかなりレベルアップしている感じに見えた。
(これは先を越されてしまうかもしれないな。)
育てなかった俺としては少し嬉しい。(親目線)
ただ、アークデーモンから異世界の勇者という言葉が出てきた以上、俺しか倒せない特殊なものがあるのかもしれない。
「カナタ達がきたよ。」
視線を移すとカナタとミカが広間に入ってくるのが見えた。
彼らは俺達の姿を見かけると小走りで近づいて声をかけてきた。
「すみません遅れました。」
時間を確認すると30分ほど遅れていた。
「ああ、いいよ。たいして変わらないし。」
「いえ、約束は約束ですから。」
カナタが平謝りしている近くで、ミカが悪びれない感じで答える。
「そうそう、たいして遅れてないんだから謝らない方がいいよ。こっちが悪者になっちゃうし。」
日本だと完全アウトの受け答えである。
「と・・・とにかく今日の迷宮探索ルートを考えてきた。」
するとミカが不満そうな顔をする。
「あんた何様なの?レベル一番低いくせに。」
なかなかのツンツンぶりである。
たしかに俺はレベルも低いしリーダーでもない。
実際は意見する立場にないが、ここまで準備をしてきた以上引くわけにはいかない。
「申し訳ないが、今回は俺の言う事を聞いてくれないか?」
「何でよ?普通なら一番経験が多い私が中心でしょ?」
「そうかもしれないが、今回の装備もアイテムも俺が金を出して用意した。そこは従ってくれないと困る!」
バナザードから貰った金で購入したとはいえ、これからの生活費を削ったのでこちらの言い分もあるはずだ。
「・・・わかったわよ。今日は言う事聞くわ。」
何とか治まったが、結構我の強い子のようだ。
追放されたのも腕前ではなく性質が嫌がられたのかもしれない。
「カナタもアリシアもそれでいいか?」
「ええ、問題ないです。」
「・・・いいよ。」
何とか了承は得たので、これから俺の・・・いや俺達の迷宮攻略が始まる。




