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パック商店

俺は新しいパーティでパック商店に来ていた。

想像より広い店で、多種多様な武器防具が展示されている。

店の一番奥のカウンターには眼鏡をかけた男の子が座っているが、おそらく大人になっても子供の外見のままのパックル族だろう。

元々、パック商店はパックル族が立ち上げたので、店主がパックル族なのは当然である。

しかし、ゲームではテキストだけだったので、店や店主の姿などを見れて感動である。


「よう!あんたら武器買いにきたのかい?」


声をかけてきたのは大柄で丸坊主の男だった。

俺は強面に驚いて言葉が出なかったが、カナタは常連らしく対応してくれた。


「ガンフォさん今日もお世話になります。」

「ああ、好きに見ていってくれ。聞きたい事があるなら何でも言ってくれ。」


何者かと思ったらどうも店員のようだ。

一応パック商店と記載してあるエプロンを着用しているが、似合ってない。

黒服の方が似合いそうな外見である。


「アルさん、準備を任せてほしいとの事ですが、ここで装備を整えるのですか?」

「そうです。」


俺は懐から重い小袋を取り出して、みんなに見せた。

「ここに10万ゴールドあります。これで全員の装備を整えます。」

「全員ですか?」

「凄い!大金じゃん!奢りなの?」


さすが盗賊、ミカはお金に目がない。


「しかし、お世話になるわけには・・・。」

「とにかく、俺の意見を聞いてくれませんか?」

「わかりました。」


俺は一呼吸おいて、効率的なレベル上げのための準備の内容を説明する。


「まず、今の戦力では普通に戦っていては自分達より弱い相手にしか勝てません。それではレベル上げもお金稼ぎも厳しい結果となります。そこで格上に勝てるための装備とアイテムの準備が重要になります。」

「なるほど・・・つまり強力な武器を購入して全体的な戦力アップを目指すのですね?」

「違います。いくら強力な武器を手に入れても俺の腕では格上相手には攻撃を当てる事すら難しいでしょう。」


このゲームは武器の威力が攻撃力となり、力や器用さで命中率があがる。

斧や大剣などの重い武器は力による命中率補正が強く、剣や刀はどちらもバランスよく関係あり、短剣や弓などは器用さ補正が強くなる。

力と器用さの能力がMAXになると、後はレベルによる命中率補正と攻撃回数増加で1ターンでの攻撃力が上がっていく。

つまり、高い能力とレベルがないといくら強い武器を購入しても、防御力と回避力が高い格上相手には命中しないし、攻撃回数増加がないのでたいしたダメージは与えられない。


「それでは武器を揃えても意味がないと?」

「このパーティで、一番攻撃力が高いのは誰でしょう?」


カナタは少し考えて答えた。

「攻撃力・・・それなら私でしょうか?」

「その通りです。レベル12の魔術師のカナタさんなら上級魔術も使えるはず・・・つまり格上相手に戦えるのはあなただけです。」


魔術師は魔術の習得が最も早く、レベル15ですべて覚える。

つまりレベル12でも上級攻撃魔術の範囲攻撃は習得している。

このゲームは【ウィザード】というだけあって、魔術師がかなり強くなっており、中盤は範囲攻撃で敵を全滅させるなど、ほとんど無双状態である。

ただ、後半になってくると今回討伐対象のアークデーモンのような魔術無効化の敵が現れ始め、活躍は減少はしてくるが今の俺達には破格の強さである。


「なるほど。」

「つまりあなたを守る事が重要になってくる。だから今回は防具を中心に買い揃えます。そして、俺だけではなくアルテナさんにも前線に出てもらいます。」

「アルテナさん・・・ですか?戦う能力なら盗賊のミカの方がレベルも高いし強いと思いますが?」

「盗賊では守備力が低すぎる。戦うのが苦手でも重装備ができる神官の方が適任です。」


盗賊は物音を立てないように皮鎧などを装備しているので、金属鎧は装備できない。

手先の器用さを得意とするので、その動きを阻害する小手系も装備できず、他にも色々装備に制約があるので守備力には全く期待できない。

それに比べて神官は武器の扱いは下手だが、金属鎧や小手、盾などを装備出来て硬さではかなりのものだ。


「フム・・・しかし回復役の神官が負傷すると危険では?」


確かにその通りである。

しかし、彼も馬鹿ではない。

このパーティだとアルテナに前線に立ってもらうしかない。

気を使って意見してくれているのだろう、そのせいかアルテナの方をチラチラ見て様子をうかがっている。


「アルテナさん、すまないが俺と一緒に前線で戦ってくれないか?君に頼るしかないんだ。」

上手い説得方法が思いつかないので、とにかく彼女の目を真っすぐに見つめて頼んだ。


「いいよ・・・私ドワーフだから頑丈さには自信がある。」

彼女は鼻息荒く、了承してくれた。


(本当に素直で前向きのいい子だな。)

彼女の事は何があっても守らないと・・・と思った。


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