新しい朝
朝が来た。
いつもとは比べ物にならない程清々しい朝だ。
「今日からアークデーモン攻略計画を実行に移す事にしよう。」
まずアークデーモンの特徴から攻略法を考えてみる。
・攻撃力が非常に高い。
・連続で魔術を使用可能。
・非常に防御力が高い。ただ箇所によっては防御力は減衰する可能性あり。
・魔術や奇跡が通じない。絶対かは不明、ハッタリの可能性あり。
これらの事から、
・攻撃を受ける専門職の盾役が最低1人必要。騎士が妥当。守備力と回避上昇、そして回復の奇跡が使える仲間多数必要。
・魔術軽減の魔術が使える仲間多数必要。魔術軽減の防具もあればなお良し。
・基本的に魔術や奇跡の攻撃が通じないとして、物理攻撃中心で攻める。強力な物理職と武器、それに攻撃力上昇などの奇跡の使用者多数必要。デーモンスレイヤーなどの悪魔特攻武器も有効な可能性あり。
などの攻略法が考えられる。
つまり単純に言うと「レベルを上げて物理で殴る!」が正義という事だ。
もちろんその物理攻撃を最大限に生かすためと、相手の攻撃をしのぐために魔術と奇跡は必要不可欠なので、その事も頭に入れて仲間を集める必要もあるだろう。
「よし、まずは酒場で仲間集めから始めよう。」
◇◇◇
俺はいつものようにジークデン酒場にやって来た。
まだ昼前なのにたむろっている連中が多い。
俺には好都合だが、何かあったのだろうか?
全体を見て回ったが、バナザードの姿は見えない。
昨日言った通り、レベル上げのために迷宮に潜っているのだろうか?
「アル・・久しぶり。」
声をかけてきたのはアルテナだった。
俺を手招きして同じテーブルに誘う。
テーブルには他にも見知った顔がいた。
「アルさん、お久しぶりです。私の事覚えていますか?」
「ああ、カナタさんですね。お久しぶりです。」
「しかしアルテナさんと一緒に飲んでいるとは、親しいのですか?」
「いえ、彼女といるとあなたと話せると思って待っていました。」
「俺ですか?」
「あなたがバナザードさんのパーティを追放されたと聞きまして。」
「よく知ってますね。」
「実は私もメリアドールさんのパーティを追放されまして・・・。」
「なんでまた?」
「実は中層にバンパイア化した冒険者達が現れ始めたらしいのです。レッサーデーモンを見たという者達もいて、未熟な冒険者は足手まといなので、パーティの再編成が進んでいるようです。」
「そうなんですか・・・。」
「だから私達のように弱い冒険者達は排除する方向になっているようですね。」
「なるほど。」
俺はその理由に納得しつつ、カナタの隣に座っている人物に目をやる。
全身黒ずくめでフードを深くかぶり、黙って酒を飲んでいる。
テーブルに呼ばれた時から、ずっと気になっていた。
カナタもその視線に気付いたようだ。
「ああ、すみません。紹介するのを忘れていました。実は彼女も私と一緒に追放されましてね・・・・え~と、ミカさん・・アルさんに自己紹介お願いできますか?」
ミカと言われた人物は、フードを外して俺に顔を見せてきたが、驚くべきことに・・・金髪でツインテールの青く大きいつり目の美少女だった。
姿だけを見れば完全にツンデレヒロインを代表するような容姿だ。
「私はミカ、レベル14の盗賊よ。よく見ても、カナタと同じで地味な外見ね。荷物持ち以外、あんた役に立つの?」
ツンデレどころかツンツンだった。
彼女は一通り自己紹介?が終わると、俺には興味なさそうに酒を飲み始めた。
(しかし盗賊ミカ?・・・どこかで聞いたような・・・。)
「すみません、口が悪くて・・・実は彼女も私と一緒に追放されまして・・・。」
「追放?」
(あ・・・追放で思い出したが、たしかにメリアドールのパーティの中で、黒づくめでフードを深くかぶった盗賊がいた。それが彼女だったのか・・・。)
今も同じ格好をしているが、一緒に行動した時は全く目立たなかったため、すっかり忘れていたようだ。
「そうでしたか、それは大変でしたね。」
「ええ、大変です・・・こんな時ですからみんなで強力していかなければいけないと思います。」
「・・・というと?」
彼は少しモジモジしていたが、意を決した顔になり、俺の手を握って告白してきた。
「単刀直入で言います!私達とパーティを組みませんか?!」




