騎士メリアドール
「お前らは何者だ?」
バナザードは武器を突き付けたまま、冒険者らしき2人に問いかける。
「お前達こそ何者だ?問答無用で武器を突き付けるとは、とんだ野蛮人だな!」
「たしかに・・・それは失礼しました。私は冒険者の戦乙女アリアです。しかし、あなたの荷物を確認するまで、武器を収めるわけにはいきません。」
「戦乙女アリアだと!・・・追いはぎとは堕ちたものだな!私は騎士メリアドール、お前達のような悪には屈しない!私と一騎討ちしろ!」
(なんだ、なんだ?とんでもない展開になっているぞ?)
詳しく見たいが、バナザードとアリアが壁になってはっきりとは見えない。
「一騎討ちだと~誰がそんな無駄な事するかよ。だいたい武器を装備せず座り込んで油断している奴など相手になるかよ。」
「キ、キサマ・・・侮辱したな!」
激昂して立ち上がろうとするメリアドールを、アリアは槍の刃先で制して動きを止めた。
「・・・メリアドールさん、とにかく動かないでください。アルテナ、荷物の確認を。」
アルテナは部屋の隅に無造作に置いてある、大きな4つの荷物の確認をしだした。
彼女は一通り確認すると、その内の一つの中身を引っ張り出し俺達に見せた。
「うっ・・・。」
俺は思わず声が出てしまった。
引っ張り出して見えたモノは、虚空を見ている人の顔だった。
首と顔に赤黒いものがこびりついている。
俺は死体を見たことがないが、少なくとも生きているようには見えない。
「・・・これはダオス・・・。メリアドールさんあなたがやったんですか?」
「私が?彼らはここですでに全滅していた。私達は地上へ連れて帰ろうとして、袋に詰めていただけだ。現に、今仲間が彼らの死体のうち2体を地上に連れて行っている最中だ。」
「なるほど・・・たしかに迷宮から出る転移装置は6人以下でないと起動しない。それで、残った死体を守るために2人残ったという事ですね?」
ゲームでは死体を連れ帰る時は、死体も含めて6人でパーティを組まないといけないので、6人パーティなら必ず分割しなければいけない。
(ゲームのルールだから何も疑問は浮かばなかったけど、実際だとおかしいよな。それを6人以下じゃないと出れないって設定で解消しているのか・・・。)
「一気に連れていけばいいが、死体は傷つけるほど蘇生率が下がる。慎重に運ぶために2体づつにした、低い階層とはいえどんなトラブルがあるかわからない。・・・ところで彼らはお前の知り合いか?」
「ええ、迷宮で行方不明になっていたので探しにきました。」
そう言ってアリアは武器を収めた。
「バナザードさんも武器を収めてください。彼女の名前は聞いた事があります、信用出来るかと。」
「・・・わかりました。」
バナザードも渋々武器を収める。
「メリアドールさん、数々の無礼な行為すみませんでした。それと、仲間を保護してくれてありがとうございます。」
アリアはメリアドールの手を取り、立ち上がらせて深々とお辞儀をした。
「ああ、誤解が解けたのなら良かった。あなたの名は私も知っている。強く美しい戦乙女アリア・・・眉唾ものだと思っていたが、まさかここまでとは。一度一騎討ちをしたいものだ。」
「いえ、こちらこそ、強く勇猛な女騎士メリアドール。」
「ハハッ、通り名に【美しい】がついてないのが残念だったけど、あなたを見ればその理由も納得だね。」
「それはそれで面倒な事です。それに私から見れば、恵まれた体格のあなたが羨ましい。」
「隣の芝生は青く見えるってやつだねえ。」
何か女冒険者同士意気投合しているようだ。
メリアドールは立ち上がるとアリアより頭一つ分大きくて体格もいいので、姿を確認出来た。
勇猛というだけあって、全体的に勝気があふれ出している顔立ちで青い目、茶髪のショートカットで体育会系ってイメージだ。
フルプレート装備だが体格のおかげか全く苦にしていない。
(しかし、彼女も整った顔立ちをしている。今まで出会った女性にまったくブサイクがいない・・・そういう世界なのか?)
メリアドールは男っぽいしぐさと体格で女を感じさせないが、顔は整っている。
美しいを付けないのは、単純に姿ではなく戦い方な気がした。




