魔術師カナタ
俺達は死体を効率的に運ぶために、メリアドールのパーティと合流する事にした。
彼らが帰ってくるまで小部屋で自己紹介を始める。
「ちゃんと自己紹介させてもらおう。私の名前はメリアドール、レベル18の騎士だ。」
「僕はカナタと申します。レベル12の魔術師です。」
続いて俺達も自己紹介を一通りした。
「アルさんはレベル5の武人ですか?僕よりレベルが低いんですね。」
「恥ずかしながら荷物持ちをやっています。」
「いえ、僕もあまり役には立たなくて、メリアドールさんにお世話になっています。」
たしかに180cmぐらいあるメリアドールと違って、160cmぐらいしかなのでいつも守ってもらってそうだ。
少し日本名っぽいため、黒髪黒目ではあるが彫りが深くて美形である。
やはりこの世界は美男美女しかいないらしい。
しかし、レベルの上がりやすい下級職のわりにレベルが低いのが気になった。
「メリアドールさんとカナタさんはレベルに差がありますが、パーティの他の人達もレベル差がバラバラなのですか?」
「いや、他の連中は20前後だね。ある程度入れ替わりはあるが全員昔馴染みの連中だよ。」
「となるとカナタさんは?」
「最近組み始めた。彼みたいな新人を鍛えるのもいいかと思って。まあ・・・本当は誰かが別のパーティに行った時に、酒の席の勢いで組んじゃったけど、旅は道連れ世は情けってやつだよ。」
「そうなんですか?」
「そうですね、なんとか酒の席の勢いで組んでもらいました。」
(なるほど酒の勢いか・・・そういう手もあったか。)
それは参考になる事を聞いた。
「パーティメンバーの職業と名前も聞いていいですか?」
「ああ、かまわないよ。え~と、戦士アレックス、盗賊ミカ、神官ジルフ、賢者マルチナが他のメンバーだね。」
「なるほど、ありがとうございます。」
メリアドールの名前を聞いて思ったが、やはり彼らの名前に聞き覚えはない。
「ではこちらからの質問も答えてくれますか?」
「ええ、答えられる事ならいいですよ。」
「あなた達は騎士ブレイブと親しいのですか?」
騎士ブレイブは俺がゲームで作ったレベル50の最強キャラだ。
誰よりも知ってはいるが、この世界では知り合い・・・程度で親しいとは言えない。
どちらかというと、一緒にパーティを組んでいたバナザードの方が親しいと言えるだろう。
俺は話をバナザードに振ろうかと、彼の方を見ると不機嫌そうに腕を組んで目を閉じていた。
よく見るとプックルは寝ており、ゼルは俯いたまま微動だにしない。
「どうも嫌われているようですね。まあ・・・性格が違いすぎますから、仕方ないです。」
ゲームでは善と悪は一緒にパーティを組めない。
ただ迷宮で合流した時は関係なしにパーティが組める。
危険な迷宮内では性格の不一致などより生き残る事が最優先という事なのだろう。
(なるほどバナザード含む3人は悪。メリアドールとカナタは雰囲気からしておそらく善だろう。下手な事を言って揉めないように黙っているのか。陽キャが話していると陰キャが黙る・・・ではなく、優等生の事を気に食わない不良が殴るのを我慢しているという方が近いか。)
「まあうちのパーティは悪がほとんどですからね。カナタさんとメリアドールさんは善ですか?」
「え?」
カナタは驚いた顔をして固まった。
(なんだ?何か変な事を言ったか?)
俺もその展開によくわからないまま固まった。
「善って善人の事?まあ、たしかにあなたのパーティは悪人面かもね・・・って冗談だから、許してね。」
メリアドールさんは右手を顔の近くまで上げて、片目を瞑りながらごめんねポーズを取った。
以外に可愛いしぐさをする。
(しまったなあ・・ゲームと違って職業とレベルは理解していても性格ははっきりと表示されないのか。現実でも性格なんて人の捉え方ひとつで印象変わるからな。)
「ああ、そういうことですか・・・悪というから犯罪を犯した人達なのかと思いました。雰囲気の事なんですね?」
「そうそう、そういう事です。悪人ではなくて自由奔放って感じを言いたかったんですよ。それに比べてお二人は良い人そうだなあっと思って。」
「良い人かあ。冒険者になる奴なんてロクな奴はいないよ。でも・・・いや、だからこそせめて冒険者仲間達は助けたいね。」
「そこですよ!そこ!それが善人って事ですよ!」
「そいつは照れるねえ。」
話を別方向に持っていく事で、誤魔化せたようだ。
そして、メリアドールさんはチョロいようだ。




