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宝箱

魔物を始末すると部屋には宝箱が残されていた。


「たからばこだ~!あけよ~よ!」

「プックル、今回は宝が目的じゃないから無視するぞ。」

「ええ~もったいないよ~。」


小部屋に配置されている魔物は宝箱を守るため存在しているため、倒す事で宝箱を手に入れる事が出来る。

ただ、危険な罠が仕組まれているため、宝目当てではない場合は無視するのも一つの手である。


「地下3階の宝箱ならそれほど良い物が手に入らない。危険を冒してまで開ける必要はないだろう。」

「でもお金が入っていたり、売ったらお金になる物が入っているかもしれないし~。」

「金金言うな。」

「あなたはお金持ちだから、そんな事言えるんですよ。しんどいなあ・・・。」

いつの間にか会話に顔色が悪いエルフが入ってきており、初めて積極的に行動しているところを見て驚いた。


「では危険を取り除くよ。」


彼は宝箱に手を当てると目を閉じて精神を集中させ始めた。

「我を導いてくれ・・・クリア《透視》!」


彼の手が光り、少しすると何かを納得したようにプックルに話しかけた。

「フム、これは針が飛び出る罠だね、比較的安全な罠だよ。」


「じゃあ、イケルイケル!開けて良いよね?」

「そこまでやられると、開けるしかないだろ。ただ、お前は罠外し本職の盗賊じゃないから慎重にやれよ。」


プックルが宝箱に向かい合って少しすると、あっさりと解錠された。

「カンタン、カンタン。」


俺達が中身を覗き込むと、中には数枚の小金貨と剣が入っていた。

「ねぇ、ゼル。この剣ってなに~。」


エルフは剣を渡されると、あらゆる角度から舐めまわすように見て、納得したように近くにいる俺に渡してきた。


「これはサーベルですね。アルさんに丁度いいでしょう。」

「え・・・貰えるんですか、ありがとうございます。えーと・・・ゼルさん?」

「いえ、いえ、その代わり小金貨は私達で山分けしますから。」

「・・・ああ、そうですか。」


この剣にどれだけの価値があるかわからないが、あっさり渡すという事は小金貨の方が価値があるのだろう。


(たしかサーベルは序盤の武器で、初期装備に毛が生えた程度の攻撃力だったはず。そりゃ大した価値はないか。しかし、彼は見ただけで武器の種類を当てた・・・鑑定能力持ちなのか?)


鑑定能力を持っているのは賢者のみ。

つまり彼の名前はゼル、職業:賢者のエルフの男という事になる。

情報を元に記憶を探ると簡単に検討がついた。

それに彼の顔色が悪い理由もわかった。


このゲームの能力値は下記で構成されている。


HP:耐久値でこの数値が0になると死亡

MP:魔術や奇跡を使う為に必要

力:攻撃力に影響

智恵:魔術に影響

精神力:奇跡に影響

体力:耐久力に影響

器用さ:命中率に影響

素早さ:回避率に影響

運:あらゆる能力に影響


能力値はレベルアップによって上下する。

そこが厄介で、上下するという事は下がってしまう事もある。

特に能力値の中で重要なのは体力で、この数値が低いとHPが上がりにくく少しの攻撃を受けるだけで死亡してしまう。


つまりゼルはレベルが上がるたびに体力の数値が下がり続けてしまう欠陥キャラで、さらに賢者という職業はHPへの補正が低いため、さらに伸びが悪い。


もちろん、体力以外の能力は上がっているし、レベルによる命中と回避率補正や魔法の習得など低レベルに比べて強いが、それを含めても他のキャラを育てなおした方が良いという結論になり放置していたキャラだ。


(こうも俺が放置したキャラばかり出てくるとは・・・まさか俺に復讐するために、ゲームの世界に俺を呼んだとかのオカルトじゃないだろうな?)


まだこの世界の事は想像の域を出ない。

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