7話 3年生全員分のノートセット
6月初旬。
同好会で、耀は顧問の加藤先生に資料を見せながら提案していた。
「先生、投資の利益が出たのでそこから3年生全員に向けてノートセットと消しゴムを購入・配布したいんですけど構いませんか?残りは投資してまた増やします」
「どれどれ…。プラス57万だと!?」
「レオのアドバイスのおかげです」
「いや、ヨウの直感のおかげで利益が増えたんだろう?」
耀の提案が終わるまで、代理で同好会の準備を進めていた中村くんはツッコミを入れた。
「いや、2人の連携が相乗効果をもたらしたんでしょう!?」
加藤先生は眩しいものを見るような目をしながら、口を開いた。
「早速明日の職員会議で提案してみよう。許可が取れたら同好会用のアカウントを作ってネットで購入してくれ。大量発注になるから、学校の住所で俺宛にしてポチるんだぞ?」
「はい!」
ーーそして、翌日の職員会議。
「では次の議題。投資同好会からの提案について、加藤先生。お願いします」
促されて、加藤先生が立ち上がる。
「はい。投資同好会からの申し出です。ゴールデンウィーク明けからの運用で、現在の利益が57万円出ています。このうちの一部を使い、3年生全員にノート5冊セットと消しゴムを配布したい、というものです」
それからは質疑応答の時間になった。最初は教頭先生からだった。
「生徒が自分たちで稼いだお金、ということですね?」
「そうです。元手は生徒の祖父からの援助金100万円です。顧問立ち合いの下、入金しています。会費利用は資料コピー代のみで、運用は生徒たち自身で行っています」
メモを取りながら話を聞いていた進路指導の先生が質問をした。
「学校への寄付扱いにしますか?」
加藤先生はあらかじめ用意していた資料を配りながら続けた。
「名目は『進学支援の一環としての物品提供』。会計処理は事務とも相談済みです。購入と配布の実務は、同好会の生徒が行います」
しばらく真剣な表情で資料に目を通していた校長先生が、顔を上げた。
「素晴らしい。生徒が自分たちの力で得た利益を、先輩のために使う。教育的にも意味があると思います」
数人の先生は微笑みながら、うなずいていた。
「では、この件は承認します。購入は同好会名義のアカウントで。納品先は学校事務室、加藤先生宛てでお願いします」
「ありがとうございます」
加藤先生は深く頭を下げた。
会議が終わると同時に、加藤先生はスマホを取り出し、投資同好会のグループにメッセージを打ち込んだ。
〈承認された。ポチっていいぞ〉




