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6話 「レオと呼んでくれ」


 テスト前、1年A組の教室でクラスメイト達は最後の追い込みと並行して、天使と白百合を見守っていた。耀はイヤホンでテスト範囲の英文を聴いている。麗央は前の席と耀の机をくっつけて英単語の見直しをしながら時々耀を見守っていた。


「ねえねえ、今日も絵になるよね?あの2人。美術鑑賞をしている気分になっちゃうよ」

「ななちゃん、美術好きだもんね。でも、その気持ちはわかるよ」

「ほんと、仲が良いよね。いつも一緒にいるし」


 1人の男子生徒が耀に話しかけようと近付いて行った。


「俺も天使とお近づきになりたいなぁ〜」


 視線に気がついた麗央は、人差し指を口に当てて、静かにしろとジェスチャーをした。


「うぐっ!?なぜだ、あんなに無表情なのに…。なんという、爽やかな色気…。禁断の扉が開きそうだ!」


 麗央の色気に当てられたその生徒は、がくりと膝をついた。


「早まるな田中ぁ!?」

「白百合は天使しか見ていない!!それは、茨の道だ!」

「そうだぞ!美澄しか眼中にないんだぞ!?」


 周囲の男子生徒達は慌てて田中を引き戻した。


「白百合の君、素敵すぎる…」


 麗央のジェスチャーを目撃した女子生徒は皆、昇天していた。耀は英文を聴きながら、ブツブツと繰り返していた為、その出来事には全く気づかなかった。



そして、テスト終了後。結果発表の日。


「ねえねえ中村くん。百合宮くんの予想、的中しまくりですごかったね!私、苦手な化学で助けられちゃったよ」

「柿本さんも?…俺も苦手科目でかなり助けられました。テスト中も同好会に入って良かったと思ってしまうほどでした」


「みんなー!成績上位者の順位表を先生が張り出してるよ。見に行こうよ!」


 その場にいた全員で見に行くと、他のクラスも見に来ていたので、順位表の前はごった返していた。


「白百合の君が1位で、天使が2位だって!」

「投資同好会のメンバー全員、上位に入ってるよ!?」


 その場にいる同好会メンバー全員は驚愕した。


「…すごいね、あんなにみんなの勉強のことを考えて動いてくれていたのに、自分の勉強も完璧にこなすなんて」

「私、同好会が始まる前のテスト範囲質問タイムで、すごくわかりやすく教えてもらって。ありがたかったよ」

「俺もだ」


 C組の男子生徒達の陰口が聞こえてきた。


「…あんなに偉そうな事言っておいて2位かよ」

「百合宮になんて言うか見ものだな。天使の化けの皮はいつ剥がれるかな?」

 

 耀は麗央に向かって、いつものように気を許した表情で伝えた。


「私が2位だったのは、百合宮くんの努力が私の努力よりも上、だっただけですから…。次は負けないよ?」

「俺も、全力で取り組むよ」


 教室に戻ってから、麗央は耀に伝えた。


「美澄…。俺の事は、レオと呼んでくれ」


(他の心無い奴らの発言で、美澄の表情を曇らせたくない)


「うん。私の事も、ヨウって呼んでくださいね」


(私…。レオとは対等でありたい)



 周囲は白百合と天使の絆が深まったと喜んでいた。



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