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16話 学生投資家の税金パニック


 るんるんとスキップを始めそうな顔で登校する耀を見て、麗央は微笑んだ。


「今日は随分と機嫌が良いな。どうしたんだ?」

「柿本さん、お兄ちゃんと平日は毎日学食デートをする約束を取り付けたって報告が昨日あったんです。お兄ちゃんに会いたい一心で受験勉強を頑張ってたし、嬉しくて」


 麗央と耀はプライベート投資を続けながらも、今年はフル単を取ることを決めていた。真面目な学生アピールをすることで、悪目立ちを防ぐためだ。

高校2年生の秋、市立病院へ400万円を寄付したことで投資同好会メンバー全員が地元の新聞に載った。その後、『お金を貸してくれ』と他校の素行の良くない生徒達から通学中のメンバーが囲まれたりした事があったからだ。それから麗央と中村くんは卒業までジムに通っていた。中村くんは佐藤先輩が卒業するまで登下校を共にしていたら卒業前に告白され、現在も交際している。他のメンバーも家が近い者同士で固まって登下校していた。


 高1の時、プライベート投資を始める前に2人は税金や責任の取り方を話し合い、口座は2人分作成すると決めた。それから口座へ麗央の個人資産から100万ずつ入金した。麗央と対等でありたい耀は、100万円以下の利益が出た時には別の株を購入し、さらなる利益を狙っていた。そして100万円の利益が出た時点で彼に一括で返金していた。

2人の個人資産は確実に増加していたものの、入学したてなのにキャンパスで投資について話をするのはリスクだと危険視していた。


「すごいな。柿本さん」

「ですよねっ?『修吾さんと毎日会えるだけでも幸せ!』なんだって。仲良くなれるかなあ?楽しみだなあ…」


(ヨウは柿本さんが義姉になってもいいと思っているのか?確実に落とすぞ、彼女は)

(まあ、楽しそうだからいいか)



 麗央といっしょに授業に出て勉学に励み、放課後は下宿先のどちらかのマンションで課題をしたり投資話に花を咲かす日々。


そんな耀がパニックになったのは、国民健康保険の請求書が届いた事だった。


「扶養から外れる事は覚悟していましたが、なんでこんなに高いんですか!?」

「払えばいいんだよ。俺のところにも来た」

「利益は全部他の株を買いたかったのにー!!」

「その気持ちは分かる。だが、国民の義務だ。仕方ない」

「ううー……」


 その翌月には、さらに住民税の請求書まで届くことを、耀はまだ知らない……。



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