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15話 由佳里と修吾 鈍足2人の、ドタバタ学食レース


 柿本由佳里は、無事に耀の兄・修吾が通う地元の国立大学の経済学部に合格した。


「修吾さん、お待たせしました」

「いや……。今、来たところ、なので…」


 今日の由佳里は、一般教養のおすすめ授業を紹介してもらえないかの相談のついでに、学食をいっしょに食べる約束を取り付けていた。シラバスを確認しながら、修吾のおすすめ授業にマーカーで印を付けていく。


「この先生は熱心な生徒を可愛がる傾向にあるから、時々質問に行くと良いと思う。あと、ここの先生はこだわりが強めだけど、贔屓はしない」

「そうなんですね。…ためになります。ありがとうございますっ、修吾さん!」



 由佳里がキラキラ目を輝かせて自分の話を聞いてくれる様子に、修吾は真っ赤になり震えながらもおすすめし続けていた。


「あの、もしよかったらなんですけど。これから毎日学食をごいっしょさせてもらえませんか?忙しい時に強要するつもりは無いんですけど……。私、席を取って待っていますね」

「え……」


 一時停止のように硬直する修吾に、微笑みながら返事を待っている由佳里。そんな2人を見かけた修吾の研究室仲間や後輩たちはニヤニヤしながら見守っていた。


「…実験が長引いたら、大幅に遅れてしまうかもしれない。柿本さんが待ちぼうけになって、食べ損ねてしまうのは、申し訳ない……」

「その時は授業の予習とか課題とかやりながら待ちますから、大丈夫ですよ?もし私が先に食べ終えちゃってたら、修吾さんの食べる姿を見せてくださいね」


 そもそも修吾は、名前を呼ばれるだけでもキャパオーバーだった。自分を見上げる純粋な目で由佳里にそんな発言をされたため、熟れたトマトのような顔で壊れたロボットのようにガタガタ震えていた。


(ここは、経済学部のある建物から遠いのに、なんでだ……!?)


「な、なるべく早く、来れる、よう…、努力、します……」

「嬉しい!楽しみにしていますね?修吾さんっ」


 由佳里は両手を合わせて満面の笑みを浮かべた。


 その後、昼休みの始まりとともに食堂まで大急ぎで向かう修吾の姿が目撃された。実は由佳里も毎日授業が終わり次第、ダッシュして食堂まで向かっていたのだが……。修吾がそれを知ったのは、彼が大学院を卒業後、由佳里に赤いロボットのようになりながら交際を申し込んだ後だった。



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