13話 先輩の過去の因縁
卒業式が終わって3年生が全員卒業した、数日後。
麗央が自室で読書をしていると、クラスメイトから電話がかかってきた。
「百合宮、突然電話してごめん。B組の友達が、美澄は精神的に不安定になっていたりしないか、大丈夫なのか心配していて連絡しました」
「…特に変わらないが、どうかしたのか?」
彼とは図書委員繋がりで、たまに雑談やメッセージのやりとりをしていたくらいの仲だ。電話をかけてくることは、今まで無かった。
「その友達はテニス部なんだけど。卒業式で美澄が白石先輩にお花を渡しているのを、部活の先輩が見た瞬間から動揺していたのが気になって、昨日理由を教えてもらったらしいんだ……」
「その理由がヨウに関係するのか?」
「うん……」
彼は言い淀みつつも、理由を説明してくれた。
「えっと、『白石先輩は卒業されたし、もう時効だろうから』って教えてくれたらしい。彼女、高校2年の時に1つ上のテニス部のエースで模試A判定常連だった先輩を笑顔でおかしくさせて、秋には休学に追い込んだらしいんだ」
「なんだって……!?」
(花を渡すべきか悩んでいたヨウに、後悔の無いように渡せと言ったが……。俺は無責任な発言をしていたのか)
「そのエースの先輩は復学後も痩せてて、体育をよく見学していて、受験も失敗したらしい。卒業は出来たんだけど、海外に行ったきりなんだって」
「ひどいな…」
(白石先輩に近づいたら傷つけられてしまう。ヨウが連絡先を交換出来ていなくて良かった)
「教えてくれてありがとう。ヨウのこと、しばらく注意して見るよ。助かった」
「俺も百合宮が美澄のこと見ててくれて、安心だよ。だって春休み期間になったら、同好会メンバーくらいしか見守れないし」
「まあ、気持ちの折り合いをどうつけるかは、ヨウにしか決められないけどな…」
「うん、そうだね」
それからは、最近読んだ本をお互いにおすすめしあってから電話を切った。
(念の為、柿本さんに伝えておこう)
麗央は柿本さんに電話をかけると、数コールの後に出てくれたので、その話を彼女に伝えた。
「知らなかったけど、私達が直接美澄さんに何か言ったとして、意固地になっても困るわね……」
「ああ。複数人で見守る方が、何かのサインを見落とすことも減りそうだし、柿本さんもヨウを見ていてくれると助かる」
「分かったわ、未来の義理のお姉ちゃんとして見守ります」
「ありがとう」
(柿本さん、ちょっと先走ってるな。……だけどいずれそうなるだろうし、指摘するのは止めておこう)
麗央は電話を切った後、心を落ち着けるために紅茶を淹れた。




