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第44話 妹のいる日常を

「むむ…?」

「難しいか?」

「わかんない…どうやって食べるの?」


午前の授業が終わり、俺とアリスは食堂に来ていた。

思えばアリスは普通の食事をしたことがあるのだろうと思い、俺の意思で連れてきた。

いい物を食わせてやりたい。そんな思いで。

その結果、アリスは食堂のオムライスを食べたいという話になり、アリスはオムライス。俺はいつも通りの焼肉定食を食べている。

ただ…やっぱりまともな食事をさせられていなかったせいで、スプーンを上手く扱えていない。

アリスにこんなことをしやがった医療スタッフ共は絶対に俺が殺す。

確実に殺す、慈悲はナシだ。

とはいえだ、今はアリスの食事中だ。殺意を今は抑えよう。

とりあえず、アリスにはスプーンの握り方を教えた。

小さな手を俺の手で包み込み、スプーンの持ち方を伝授する。


「こう?」

「そう、それですくってみろ」

「む…あ、出来た!あむ…おいひい!」

「口の中の物を飲み込んでから話そうな?美味しいのは十分伝わるから」

「んん…うん、美味しかった」

「よかった、ここの食堂の人に感謝だな」


アリスはスプーンの使い方を覚えた。

オムライスを元気に頬張っている。


(妹が居るとこんな感じなのか…?)


よくわからない…母性?みたいなのを感じる。

と変な思いを感じつつ、少し考え事をした。

あの医療施設での戦闘で敵対意識の無いオールイーターの反応をファフニールは検知した。

俺もそのことは聞いたし、気にしつつ戦闘はしたが…結局はわからずじまい。

未だ反応は健在、前よりかは少し強くなっているそうだが…何処にいるんだろうか。

…ファフニールも反応を探しているようだ。


「お兄ちゃん?」

「ん?」

「どうしたの?」

「いや、どうもしないよ。少しだけ考え事をしてただけだ」


なんて話しつつ、アリスの頬についたケチャップをティッシュでふき取る。

すると


「父親みたいだね、零亜」

「明楽?」


俺たちの目の前に立っていたのは明楽だった。

あれ、でもここはパイロット科の食堂だよな。何で明楽が?


「お兄ちゃん、この人は?」

「この人は西園寺明楽。俺の親友」

「しんゆう?」

「友達の更に上の仲だ」

「ともだち…?」

「アリスの場合は、そこからだよなぁ…」


アリスは友達とか親友自体もわからない。

これは、授業が終わった後にアリスに勉強を教えないとな。


「アリスっていうの?」

「あぁ、名付け親は俺だけど」

「親じゃん」

「俺はお兄ちゃんだぞ」

「えぇ…?」


そうしてアリスの事を明楽に話した。

どうやって出会ったのか、どういう子なのか。


「…というわけだ」

「何というか酷いね。こんな小さな子になんて惨いことを」

「そんなわけでこの子の兄の可能性があり、記憶を失っている俺の助けになる可能性があるとみて、アリスとの共同生活が認められたってことだ」

「理に適ってるね。よかった、零亜が一児の父になったんじゃないかって」

「何でクラスメイトと同じことを言う…?」


クラスメイト達に言われたことをそのまま明楽にも言われる。

俺が父親になることの何がいけないのだ。

不満だ、横暴だと頭の中で文句を言う。


「てか、何で明楽がここに?」

「ファフニールの事でちょっと相談…というより、これに関しては零亜に聞かないといけない事だからかな」

「?」

「…戦闘ログを見たんだけど、3分間の気絶の後に傷が治ってたでしょ」

「!!?」


図星を突かれたかのような気分になる。

明楽の言う通り、アリスを受け止めてから唐突の衝撃を受けて操作盤に頭を叩きつけ気絶した…それから3分後に俺はS/Overlordの反動を受けて血まみれだったはずなのに、傷はなかったかのように塞がっていた。

正直、その件に関しては何一つわからない。

けど、何でそのことを明楽が知っているのか。


「な、何で知ってる?」

「戦闘ログだよ、戦闘ログ。調整と今後の整備のついでにコックピット内のカメラを見たんだけど…不思議な光景が映ってたから」

「そうなのか?」

「うん、それで今日の放課後に整備科のいつもの整備所に来てもらっていい?」

「あぁ、今日は何も予定はないしな。あー…でもアリスも連れてっていいか?」

「勿論」


そんなわけで、今日の放課後の予定が決まった。


「どうしたの?」

「ちょっとARMORの整備、アリスも来るか?」

「うん、お兄ちゃんと離れたくない!」

(そっちかぁ…)


なんて頭の中でツッコみつつ、俺とアリス、そして明楽を交えて食事を楽しみ、昼食の時間が終わり各々で教室に戻っていく。

勿論、アリスと俺は手をつないで歩いて戻る。


(不思議な光景か…明楽が言うほどだからまぁまぁヤバそうな気がする)


そうして教室に戻った後、午後の授業も受け切り、夕日も沈み放課後になった。

今度はアリスを抱えて整備所まで歩く。

まぁ…この距離を子供に歩かせるのも酷だろう…。

あとさ?


「あ、零亜君と…アリスちゃんだよね?」

「凄い、兄妹というより父と娘みたい」

「零亜君が父親になったらあぁなるのかな…」


視線が俺に刺さる刺さる。

いたるところから視線の嵐が俺とアリスに降りかかってくる。


「お兄ちゃん、どうしたの?」


当の本人は何も気にならないようで…。


「何でもない何でもない」


なんていいつつ少し早歩きで整備所へ向かっていく。


ーーー


「お待たせ」

「待ってたよ、零亜にアリスちゃん」


整備所の俺のファフニールが居る区画につき、そこにいた明楽に挨拶しつつファフニールを見る。

うむ、ピッカピカだ。前の医療施設での戦闘に関しては損傷は殆どないけどコックピット内は出血で真っ赤っかだろうな。

まぁ明楽がやってくれたと思ってるし、とりあえずは心の中で感謝を告げる。


「わー…!」


ちなみにファフニールを見て、アリスは目をピカピカと輝かせている。


「アリスちゃんは零亜の相棒を見てどう思う?」

「カッコいいし、お兄ちゃんっぽいって思う」

「似てる、か…分かるかも」

「何処が似てるんだ?」


二人の会話を耳にしてる俺は理解に苦しむ。

ファフニールと俺が似てる理由が全く分からん。

色?見た目?それとも…雰囲気?


「うーん、強い所?」

「何だそれ」

「あと単純に零亜のイメージカラーって言われたら僕は黒と赤って答えるし」

「なるほど?」


俺のイメージカラーって黒と赤なのか。

いやファフニールに乗っているからっていうのもあると思うけどね。


「それで明楽。俺に見せたい映像って?」

「ちょっと待ってね…あぁこれ」


明楽は手元のタブレットを操作して、一つの動画を見せる。

そこに映っているのは俺がアリスを受け止めて、膝の上にのせてから操作レバーを握り直したタイミング。

とりあえず、再生ボタンを押して動画を再生する。


『ファフニール、一度離れた位置に着地すうっ!?』


画面が一気に揺れて、俺がアリスを庇ったと同時に操作盤に頭部を叩きつけて気絶した。

動画の横に映っている俺のバイタルサインが気絶を示している。

そのまま、コックピットの座席に倒れる。

すると、アリスは頭部から血を流している俺を見てからアリス自身の身体に付着している俺の血を見てから…その血を舐めとり


『お兄ちゃん?』


と呟いた。


(何で俺の血を舐めとる…?)


普通に考えて、人の血を舐めとる理由が分からない。

何でそんな行動を?と疑問に思っていたのも束の間


『あっ、お兄ちゃん…今、治すね…!』


そういいながら両腕を俺に伸ばし、そして


――パアァァァッ…!


淡い、白い光と白い粒子がアリスの白い腕から発せられる。

発せられた白い粒子が俺の頭部やS/Overlordで生じた傷に付着した瞬間、みるみるうちに傷が超高速で治っていく。


(自然再生とかそういうレベルじゃない…何なんだこれ)


そう驚いているうちに、俺の身体の傷は完全に塞がり血が付着しているだけになった。

それから少したってから俺は目を覚ました。

そうして動画は終わった。


「…これを見てどう思う」

「疑問しか浮かばねぇよ」


明楽に問いかけられるが俺もわからない。

答えすら分からん。


「だよね…アリスちゃん、これはアリスちゃんが零亜を治したの?」


明楽はアリスにこの動画で起きたことを聞く。


「うん!でも前の家でこれはあまり使いたくなかった」

「使いたくなかったのか?」

「だって…この力を使うだけで白衣の人たちが」

「あー…そういうことか」


この治した力はアリスの力で間違いない。

そしてあの医療スタッフたちはこのアリスの力に目を付けたのか、力を与えたのか分からないが…一つ分かることがある。

アリスの能力は人の力を逸脱している物だ。

俺も元々、治癒能力が高いが…それ以上のモノをアリスは持っている。


「アリス」

「なに?」

「その能力は…どうやって身に着けたの?」

「うーん…まえから?」

「前か」

「でも、この力のせいで白衣の人たちに色々されて…だからこの力がきらい…」

「大丈夫だ、全部言わなくていい」


明らかにアリスの声色が変わったので話を無理やり止めるが、俺はアリスに言うべきことがある。


「なぁアリス」

「?」

「アリスはその能力を嫌ってるかもしれないけど、俺はその能力に感謝してるよ」

「え」

「あの時、アリスは嫌っている能力を俺に使ってくれた。そしてお陰で俺は助かったし、あの蜂も倒せた…だから、ありがとう」


それは感謝だ。

アリスが嫌う治癒能力を俺に使わなければ、俺は…戦えなかっただろうし、蜂も倒せなかっただろうしアリス自身を助け出すことはできなかった。

だからこそ、感謝だ。


「う、うん!」


そういいながらアリスは勢いよく俺の胸に飛び込んだ。

俺は優しく頭をなでる。


「本当に兄妹みたいだね」

「それっぽくみえるか?」

「顔はちょっと似てないかもだけど、行動とかそういうのは本物に見えるよ」

「そうか」


本当の兄妹でも偽りでもどっちでもいい。

俺がアリスを見捨てる理由にはならないし、俺はアリスと共にいると決めた。

少なくとも、あの医療スタッフを全員ぶっ潰すまでは。


「さてと、僕が聞きたい話はそれくらいとして零亜から僕に聞きたいことはある?」

「これと言ってないよ」

「ライフルはどうだった?」

「威力も使いやすさもあってジョイントで切り替えやすくなってるのもよかった」

「よかった」

誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします


感想も待っていますので気軽にどうぞ!


超絶不定期更新ですがご了承ください…

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