表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/44

第43話 妹を知らぬ兄、兄を知る妹

月明かりに照らされながらAT学園に帰還後、ナンバーズの俺たちは学園長室に来た。

今回について報告することがあまりにも多すぎる為、報告書だけではなく口頭での報告が必要だとなり、そうなった。

勿論…この少女も一緒だ。

まぁ、東雲学園長に話している間も俺の膝の上だがな。


「…以上が今回の緊急作戦の報告です」

「そう、か」


東雲学園長は難しい顔をする。

無理もないだろう。今回の件に関しては色々と情報が増えて、その情報の答えが得られないものが多い。


「狼、ドラゴンスローンシステム、識別不明機、謎の老人に…その少女か」

「はい」

「しかも、鴉羽零亜の妹の可能性があると」

「そうですね…」


そういいながらこの少女を見る。

名前なし、出身地不明、年齢不明、どこの誰なのかも不明。

俺と似た境遇だが…唯一俺と違うのは血の繋がりを分かっているかもしれない事。

この少女が本当に俺の妹かどうかも分からないがな。


「既にこの少女の事は先の緊急任務のARMOR’sからの報告で聞いている。とりあえず鴉羽零亜の元にいるべきという判断になった。鴉羽零亜自身の記憶の欠片である可能性でもあるしな」

「ありがとうございます、ですが…」

「医療施設のスタッフの件も既に聞いた。勿論、その辺は追々決めていく…はずだったが」


東雲学園長は一瞬、言い淀み衝撃的な事を口にする。


「件の医療スタッフ達が既に行方不明になっている。どうも避難所から消えたらしい」

「!?」

「どういうことですの?」

「文字通りだ。出撃したARMOR’sが避難民の人数確認を行ったときに騒いでいた医療スタッフだけが綺麗に消えたらしい」


とお手上げかのように両手を横に広げる東雲学園長。

医療スタッフが消えたって…どういう事なんだ?別の場所で緊急出動とか思ったけど、それなら一言言えるはずだとは思うが。

いい事なのか悪いことなのか複雑な気分だ。


「とにかく緊急任務、ご苦労だった。身体をゆっくり休めるといい」

「わかりました」

「それでだ、鴉羽零亜」

「は、はい!」


1度解散になるのかと思ったが、東雲学園長に止められる。


「その子の名前は覚えているか?」

「…いいえ、全く分かりません」

「そうか。ならその少女の名前をお前が付けろ」

「えっ!?」

「ずっと少女や子って呼ぶのもアレだろう。何かそれらしい名前をつけろ」


とんでもねぇこと言いますね学園長。

俺がこの少女の名前を付けるのか…難しいな。

俺はこの子のことはあまり知らないし、唯一の呼び名がCompassionだしな。

流石にそのままで呼ぶのは…うん、マズイだろう。


(思いやり、か)


それっぽい名前を考えるのも難しいしな…パッと浮かんだいい名前…。


「――アリス」

「え?」


思いついた名前が口から漏れていたようだ。


「何故アリスと?」

「いや、パッと浮かんだ名前がそれで」

「なるほど?」

「アリス…?」


と少女は俺が口ずさんだアリスという単語に耳を傾け、俺の方を向いてくる。


「アリス…私、アリスが良い!」

「え、えっ?」


パーッという効果音か着きそうなほど明らかに喜ぶ少女。

いいのか?そんなパッとでた名前で。


「アリス…いいんじゃないか?良い名前だし、何よりも本人が気に入っている」

「そうですわね、それに呼びやすいですし」

「じゃあ、今日から少女改めアリスという事で」


そんなわけで結構なトントン拍子で話は進んでいき、この少女の名前は…『アリス』となった。名前が1発で決まるとは思っておらず、ちょっと驚き。


「お兄ちゃん」

「ん?」

「アリス、嬉しい!」

「そ、そうか?それは良かった」

「えへへ…!」


アリスの頭を優しく撫でる。

俺の妹なのかは分からないが、こんな小さな子を放っておくほど落ちていないしな。

今は俺の家族の1人って認識しておこう。


「可愛いですわね」

「あぁ、小さな子の笑顔は自然と癒してくれるな」

「えぇ、それに鴉羽君が兄ですか…今の姿を見ると父親みたいですね」

「それを先輩に言われると流石に複雑な気分なんですが」


とりあえず、今日は1度解散という形で俺たちは学園長室から出て自室に戻っていく。

勿論俺もアリスを抱えながら歩く。

何でも今日はアリスと一緒に居てあげて欲しいと学園長のお願いだ。

まぁお願いされなくても一緒に居るつもりだったが。


「そういえばソフィー、さっきの話は…」

「狼の事、ですわね」


寮へと歩いていたら八神さんが口を開く。


「あ、丁度俺もその事を聞こうとしてました。俺が気絶してる間に巨大な狼と遭遇したみたいな…」


俺が気絶している間に三人が巨大な狼と遭遇したらしい。

しかもオールイーターらしい。


「これは…嘘のように聞こえるかもしれませんが、全て本当だと言う事を忘れないでくださいまし」


そういってソフィー生徒会長は足を止めて、巨大な狼との関係を話す。


「アレは…私の父親ですわ」

「!!?」

「ええっ!?」

「はぁっ!?」


ソフィー生徒会長の口から衝撃的な言葉が告げられた。

その巨大な狼が父親って…。


「私は過去に黒い嵐で家と故郷、そして家族を失いました。その際に元凶である黒い龍が私の父親を掴み何かで包み込みました。そして…私の父親は巨大な狼と化したのです」

「黒い龍が…」

「そして緊急任務で遭遇した狼が…私の父親と瓜二つでしたの」


ソフィー生徒会長が語る事実。

黒い龍がソフィー生徒会長の父親を核に増やした個体が遭遇した狼との事。


「…それと確実に強い個体ですわね。見ていただけで身がすくむほどに」


ソフィー生徒会長が身がすくむほどの個体か。

ムカデとか蟷螂とは比べものにならないかもな。


「念頭に置いておくとするか」

「そうですね…ソフィーの父、ですか」

「間違いないですわ。ただ気になったのは何故あそこで引く判断をしたのかが分かりません」

「狼が逃げたんですか?」

「えぇ、あちら側が此方を見ていましたが…何処かへと走り去っていきました」


被害が出なかったのは良かったが…現時点で対応しないといけない個体かつ強い個体だという事は考えておこう。


(そういえば、オールイーターで思い出したけど…敵対意識の無いオールイーターはどうなったんだ?)


一応、ファフニールに敵対意識の無いオールイーターの反応について聞いてみる。

…反応はいまだ健在、ただ何処にあるかわからないか。

まぁ生きているだけで十分か。

いつか遭遇できたらいいんだが…今は願うしかない。


「では鴉羽零亜とアリス、私たち2年の寮はあちらなので」

「お疲れ様です、おやすみなさい」

「おやすみなさい?」

「えぇ…おやすみなさい、二人とも」


そうしてソフィー生徒会長、八神さん、アウローラさんと別れ、俺たちは俺の部屋に向かう。

見事に綺麗な夜で月明かりが俺たちを照らしている。


「わぁ…!」


アリスは空を見上げて目を輝かせている。


「綺麗か?」

「うん、はじめて空を見た!」

「初めて、か…空はどうだ?」

「とってもきれい…あ、あの白くて丸いのはなに?」

「アレは月だ。月には兎が住んでるって言われてるぞ」

「うさぎさん?」

「そう、うさぎさん」

「会ってみたい!」

「いつか会いに行くか」

「うん!」


なんて二人で夜空を眺めながら歩く。

初めて空を見たか…本当に外に出たことがないんだな。

いや『出させてもらえなかった』が正しいか…医療スタッフ共、次に会ったら絶対に殺す。

こんな小さな子を…!


「お兄ちゃん?どうしたの?」

「いや何でもない。そうだ、少し夜空を見てから部屋に戻る?」

「うん!もっと見たい!」

「そっか、なら少しだけ歩くスピードを落とそう」


そうして俺とアリスは夜空を眺めながら部屋へと戻っていった。


ーーー


翌朝。

俺の部屋にはベッドが二つあり、最初は別々で寝るつもりだったが…アリスが離れたくないと言い始めたので一緒に寝た。

子供らしいっちゃ子供らしい発想だ。可愛げがある。

んで一緒に俺の部屋で朝食を食べた。

ベーコンと卵の目玉焼きにトースト…朝なら最高の朝食だろう。

アリスは…頬っぺたに卵の黄身が付くくらい美味しそうに食べていたので多分満足したのだろう。


「どこに行くの?」


それで今は教室に向かっている。

正直、最初はアリスを置いていこうとは思ったが…こうも懐かれていると如何せん離れずらいし、何よりもアリスに対しては悪影響だと考えた。

一応、一条先生には話は通してあるし先生も一緒に授業を受けていいという許可も得た。

これだけで十分だ。


「勉強だ」

「べんきょう…白衣の人がいっぱいいるの?」

「居ないよ、むしろ俺の友達とか仲間とかが殆どだ」

「じゃあじゃあ、間違えても叩かれない?」

「――叩かれないよ。大丈夫、もしそうなったらお兄ちゃんが叩いてきた奴をぶっ飛ばしてやる」


本当に殺してやろうか医療スタッフ共…と頭の中で怒りを募らせたまま歩いていたら教室に付いた。


「ここだ」

「ここ…?」


そうして俺はアリスを抱っこしてから教室の扉を開く。


「あ、零亜君おはようっ!?」

「珊瑚さんおはよう」


元気いっぱいに挨拶してきた珊瑚さんに挨拶を返すが


「うそ…でしょ…」

「えぇっ!?」


俺たちを見た瞬間、珊瑚さんを含め複数人が膝をついて倒れた。


「ど、どうした!?」

「行動する前に…零亜君が、零亜君が…」

「俺が?」

「一児の父に…!」

「違うわぁッ!!」


とんでもねぇ誤解をしやがった珊瑚さんに、俺の大声に他のクラスの人とかもきて、殆どが俺とアリスを見て膝をついて倒れた。

挙句の果てには瞳のハイライトがどっかに消えて言っている。

そんな騒ぎを聞きつけ一条先生が走ってきて、全部を説明したのち何とか誤解は解け、騒ぎは収束していった。


「何だ…お父さんになったわけじゃないんだね?」

「さっきからそう言ってるだろうが…」


珊瑚さんはほっと一息を付いてからこちらを見た。

何で一息つくんだ…?


「ごめんね、アリスちゃん。騒いじゃって」

「お兄ちゃん、この人はだれ?」

「愛染珊瑚さん、アイドル…って分かるか」

「絵本に出てたお姫様とは違うの?」

「多分?」


思えばアイドルの説明って難しいな。

何だろう…歌って踊れる人?

安直すぎる気がする。


(なんて説明すればいいんだろうな…)


と勝手に一人で悩みこんでいるうちに授業が始まり、アリスを膝の上に乗せながら勉強が始まった。ただ…凄く視線が俺に刺さる。

まぁ子供を膝の上に乗せてる光景は流石になんというか…。


「…」


とにかく黙って教科書を黙々と見て、ノートにペンを走らせる。

すると


「お兄ちゃん」

「ん?」

「これって?」


アリスは教科書の図の部分を指さして俺に聞いてくる。


「ARMORの部位とか操縦とかそういうので、これはコックピットの図だな」

「でもお兄ちゃんのファフニールとは全然ちがうよ?」

「そうだなぁ…アリスの言う通り俺のファフニールのコックピットは他と違うし」

「何で?」

「さ、さぁ?」


何故か授業の問題とアリスの質問に板挟みにされながら授業を受けることになった…。

誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします


感想も待っていますので気軽にどうぞ!


超絶不定期更新ですがご了承ください…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ