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第37話 新学期と共に

夏休みも終わり、パイロットとしての後期が始まった。

久々に会うクラスメイト達は何処か楽しそうで、何処か寂しそうだった。

一人一人、各々の用事があったのだろう。


「おはよう零亜君」

「あぁ、おはよう愛ぞ」

「ん-?」

「さ、珊瑚さん」

「うん、よろしい」


それと愛染…じゃなくて珊瑚さんと俺がお互いに下の名前で呼び合っていたことに関して若干の騒ぎが起きた。

ひと夏の思い出とか、夏の暑さにやられてとか、一夜の過ちとか…あまりにも不名誉な言葉ばかりが飛び交い、新学期早々に職員室に呼び出され、事情徴収を受けた。

俺、ワルクナイ。


「はぁ…」

「大変だったようですね、鴉羽君」

「それはもう大変でしたよ」

「紅茶です、どうぞ」

「すみません」


今日は授業がない為、放課後に生徒会室に来ていた。

ソフィー生徒会長は学園長と話があるらしく、現在はいない。

んで、八神さんは…。


『すまん、墓参りに行ってくる』


八神さんの彼女の墓参りに行っている。何でも本日が命日だそうで…。


(悲しそうな表情をしていたな、八神さん)


八神さんはいかにもな姉御肌に加え、ずけずけと物を言うタイプだがその信念には優しさのあるタイプだ。

そんな八神さんの悲しい表情は…ちょっと驚きがあり、同時にこれ以上の犠牲を出してはいけないのだと思った。


「美味しいです」

「お気に召したようで良かったです」


アウローラさんが淹れてくれた紅茶を飲んだ。

あったかく、すっきりとした味わい。


「そういえば鴉羽君」

「はい?」

「件の敵対意識のないオールイーターはどうなっていますか?」

「一応、ファフニールから情報を常に貰っていますが…進展は無しです。未だに足跡すらも」

「そうですか…他のARMOR’sに狩られた可能性もありますけど、近頃はオールイーターも大人しいですし」

「大人しいんですか?」

「あー、そうでした…鴉羽君はずっとナンバーズじゃなかったですね」

「俺ってそんなに同級生に見えます?」

「どちらかというと年上に見えますね。大人っぽくて落ち着きもあって色々な人と関りを持っているという点で」


それは…褒めているのか?と頭の中で疑問に思う。

中学生の時もだが、妙に大人っぽいと言われることがあった。

遠回しに老けてるって思われてるのか俺…。


「ナンバーズとして政府のオールイーターの対策本部や関係者と意見を交わす機会があって、その時の情報ですけど…5年前を最後に目撃された黒龍から新しいオールイーターの反応は増えていません」

「増えていないんですか?」

「新しい個体が増えないだけなので、戦いで増えているのはまた別です。敵オールイーターが新しく誕生する黒い嵐も発生していませんし…」

「そう、ですよね」


黒龍に黒い嵐…この目で見たことがあるのかは知らないが、黒い嵐が発生した所からオールイーターが出現するらしい。

しかも、人をコアにしたわけではなく…無から生まれるとか聞いたことがある。

ただ、あくまで聞いたことがあるだけだし実際は不明だ。そもそもオールイーターという生命体は不透明なものが多すぎる。


「これからの未来、どうなるんでしょうね」

「そうですね…各国の首相や大統領も様々な対策は取ってますけど、未だに戦線は変わらずですし」

「一生続くのでしょうか…」

「わからないですけど、出来れば終わらせたいです」

「そうですね」


一生は続かせない。

俺がくたばるまでには終わらせてやる。終わらせて記憶を取り戻す布石にしたい。


「アウローラさん、その…お願いかもしれないんですが空いている日なんてありませんか?ちょっとARMORの事で聞きたいがあるんですが」


とアウローラさんに質問するが、返答がない。


「アウローラさん?」


すると


「…ったく、嫌になるぜ」

「――へ?」


聞いたことがない低い声が…目の前のアウローラさんから聞こえてきた。


「あ?誰だ、お前」

「え、いや…アウローラさん?」

「あぁそうか…お前、鴉羽零亜だな?」

「えっ!?あっはい、そうですが」


急なキャラの変更に頭が付いていかなくなったが、すぐに理解した。

今のアウローラさんは中身が違う。

解離性同一性障害、つまるところの多重人格。

入れ替わったのか…?


「よく聞いてたぞ?話題の新人ってな」

「ありがとうございます…その、アウローラさん」

「俺の事をアウローラって呼ぶってことは知らなかったのか?」

「多重人格の話は聞いてました」

「なるほどな。まぁ一応自己紹介だ。知っての通り、俺は『アウローラ・ヴァルティ』。ただ多重人格のせいで名前の重複が起こる。今の俺は『ヴァルティ』でいい」

「わかりました」


アウローラさん改めもう一つの人格のほうは『ヴァルティ』さんと呼ばせていただこう。

しかし…多重人格というモノを初めてみた。

中には嘘とかフリをしてるとかそういう話をちらほらと聞いたことがあるが…ここまで豹変するのは流石に嘘とは思えない。

むしろこれで嘘ですとか言われたら流石に驚くぞ。


「それでヴァルティさんは、何故入れ替わったんです?」

「そう、そこだ」

「?」


軽い気持ちで疑問に思ったことを口にすると、指をさされた。


「お前にちょっと話したいことがあってな」

「話したいこと?」

「あぁ、今が一番丁度いいしな」


どうやらヴァルティさんは俺に用があったようだ。


「先に言っておくと、俺とアウローラは記憶の共有は一部共有できる」

「一部?」

「あぁ、共有できる記憶は俺かアウローラの脳裏に強くへばり付いたものだけだ。お陰様で色々面倒な事になりそうだしな。しかもコイツはいい子であろうとネコを被り、誰にも頼らない。なら頼れる奴に俺が頼ったほうがいいってわけだ」

「つまり、俺を頼ると?」

「出来る後輩は嫌いじゃないぜ?」


アウローラさんとヴァルティさんは脳裏に強く覚えた物だけがお互いの記憶として共有できる。それ以外は無理ってことは分かったが…アウローラさんが何らかの問題を抱え、それを誰にも頼ろうとしないのでヴァルティさんが表に出て俺に頼ろうとしている、という事みたいだ。


「それで頼りたいことなのだが…」


そういって俺に頼りたいことを話そうとするヴァルティさんだが…その先の言葉が聞こえない。


「ヴァルティさん?」

「あぁ…すまん、どうやらアウローラが目覚めたようだ。あぁクソ…思ったよりも早いじゃねぇか」

「…」


アウローラさんが目覚めたようなのだが、良いことなのか悪いことなのかが分からない。

どっちなんだこれは。


「悪いが手短に話すぞ、よく聞け」

「は、はい」

「まず第一条件としてこの会話は誰にもばらすな、勿論ソフィーにも八神にもだ。いいな?」

「はい」

「今は9月か…大雑把に言うが、10月くらいにパイロット科に新しい生徒が二人来る。転校生って奴だ」

「転校生…それが?」

「男と女が一人ずつ来る」

「男と女…うん?男!?」

「あぁ」


淡々と語るせいで一瞬理解が遅れた。

俺以外の男のパイロットがここに来るってことか、けどよく許可を得れたな。

忘れてはいけないのは、俺は特例でパイロットになれた。

ファフニールと共にオールイーターを叩き潰し、一定の戦果をあげたのと…ファフニールに選ばれたからだ。

それ以外でなれたってことはそれ相応の実力を持っているってことか?


「淡々と言っているがそれが色々とマズイ、特に男の方」

「男の方?」

「アウローラの婚約者だ、無理やりのな」

「えぇ…?」


本当に淡々と告げるなこの人…。


「アウローラの過去は聞いたか?」

「いや…ただソフィー生徒会長からは似たような境遇と聞きました」

「簡単に言うとアウローラは家族を目の前で失って精神が二つに壊れた。アウローラ自身と俺にな」

「!!?」


マジで淡々と言うなこの人!?

目の前で家族を失ったって…確かソフィー生徒会長も目の間で父親をなくしたって聞いたが、そこも似ている境遇なのか!?


「驚く暇はないぞ。いつ元に戻ってもおかしくない」

「は、はい!」

「それで男の方が無理やりアウローラの婚約者になれた理由は単純明快、いわば『人質』だ」

「は?」

「人質はもう一人の女の方だ。名前は『桐ケ谷 氷水(きりがや ひょうすい)』。アウローラの親友の妹だ。姉は既にオールイーターになっているかもな」


壮絶な過去をお持ちですねアウローラさん…。

そりゃ言えないよな。


「んで姉の方の死因はアウローラの婚約者のせいだ」

「はい!?」

「姉の機体を立場や金で奪い取り、無理やり自分の機体にして出撃。そのせいで姉の方が旧式のARMORで出撃することになり…結果は現実が証明しているだろう」

「…」

「…その姉の機体を整備していたのは妹の氷水。こればっかりは可哀想だ、1からARMORを姉の為に作り、奪われた挙句、姉を失ったからな」

「クズですね、ソイツ」

「あぁ、クズだ。何ならそのクズがいるせいで優秀なパイロットが一人死んだからな」


そんなクズがこのAT学園に来ると…嫌な予感しかしねぇ。


「話を戻すが、その妹を人質に取られたせいでアウローラは下手に動けず今に至るわけだ。そのまま結婚なんてしたらどうなるかわからねぇし、クソ男の会社の『胡散臭い計画』に乗せられるに決まってる」

「計画…?」

「…くっ、悪い時間切れだ。最後に一言言わせてくれ!」


そういいながらヴァルティさんは俺の右手を握りしめる。


「その男には何してもいい…部外者であり、学園内でもある程度の立場があるお前に対してなら下手に出れないはずだ」


そういってヴァルティさんは…ぐでっと体勢を崩した。

ギリギリ左腕でヴァルティさんを受け止めると


「う、うぅっ…?」

「大丈夫ですか?」


目を開ける。


「あぁ『鴉羽君』…ごめんなさい、ちょっとふらっとしちゃって」


俺の事を『鴉羽君』っていうならアウローラさんか。

つまり、人格は元に戻ったのか。


「本当に大丈夫ですか?保健室とか」

「本当に大丈夫です、ありがとうございます鴉羽君」

「…」


俺はアウローラさんの顔色を気にしつつ、先程のヴァルティさんの話を頭の中でまとめる。

アウローラさんは問題を抱えていて、その原因は一ヶ月後の10月に転校してくる男女の内の男の方。名前は知らんが…何らかの理由でアウローラさんはソイツと婚約関係にされて、

挙句の果てにはその男がクズ。人質に取られている姉の機体を奪い取り、自分の機体にしたのちに、そのせいで姉がオールイーターになった。

色々と聞きたいことは山ほどあるが…とりあえず、俺が知っておくべきなのはその男に対して俺は『何をしてもいい』ということ。

部外者であり、ある程度の地位があるかららしいが…今は10月に備えつつ、俺なりに学校生活を過ごしていこう。

誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします


感想も待っていますので気軽にどうぞ!


超絶不定期更新ですがご了承ください…

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