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転生者が迫害される世界で  作者: 烏丸三月
第九章 転生者、駒に気づく

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シーン3

 宿に戻ると、セラが部屋から出てきた。


「調査の結果は?」と聞いてきた。


「情報が入った。詳しく話す」


 二人で食堂の端の席に座って、俺は今日起こった事をセラに伝えた。南の掲示板のことから、フードの人物との会話まで。


 セラは黙って聞いていた。途中で口を挟まなかった。俺が話し終えるまで、表情を変えずに聞いていた。


「第三の勢力」とセラはやがて言った。


「そうだ」


「ガーランドでもヴェルナーでもない、外から来た存在」


「フードの人物がそう言った」


「その人物自身が第三の勢力なの? それとも、別にいるの?」


「分からない。今日聞いたことを整理すると——フードの人物はヴェルナー家の術師と知り合いで、かつての仲間だと言っていた。二人とも転生者だ。ただ、選んだ道が違う」


「一方は権力者に仕えることを選んで、もう一方は……」セラは考えながら言った。「あのフードの人物は、何を選んだんだろう」


「まだ分からない」


「転生者リストが絡んでいる可能性があると言っていたのね」


「そうだ」


 セラはしばらく黙っていた。お茶を一口飲んで、窓の外を見た。


「ヴァン」


「なんだ」


「転生者リストって、あなたは載っているの?」


 俺は少し考えた。


「分からない。確認したことがない」


「確認しようとは思わなかったの?」


「リストの存在を知ったのは、あの二人組のせいだ。確認する手段がない」


「あの黒装束の二人組ね」セラは少し声を落とした。「あの人たちも、リストを持っているのよね」


「おそらく」


「……私、あの人たちが何者か、少し気になってきたわ」


「俺も気になっている」


「教えてくれるの?」


「まだ分からないことが多い」


 セラは少し不満そうな顔をしたが、それ以上は聞かなかった。


 その夜、俺たちは明日の作戦を立てた。


 ヴェルナー家の術師が誰なのかを特定するために、もう一歩踏み込んだ調査が必要だ。ただ、直接ヴェルナー領に乗り込むのはリスクが高い。侯爵から情報を引き出しながら、同時に街の外縁部でより詳しく痕跡を調べる方針にした。


「ガーランド侯爵が、俺たちを使いたかった理由について」と俺は言った。「もう一度、整理したい」


「何が引っかかっているの?」


「侯爵は、エルヴェイン家の名前を使いたかった。最初にそう言っていた。しかし、それだけが理由か」


 セラは考えながら言った。


「ヴェルナー家への牽制として、エルヴェイン家の名前が効果的だから——それだけじゃないの?」


「それだけなら、セラを名指しする必要はない。エルヴェイン家に直接交渉すればいい」


「……そうね」セラは少し眉をひそめた。「私を名指しした理由が、別にあるということ?」


「可能性として考えておく価値がある」


 セラは少し黙っていた。


「父親への手紙の返事、書いたわ」と彼女は言った。「下書きだけど」


「どう書いた」


「エルヴェイン家ではなく、私自身として動いていると。それだけ」


「それでいい」


「短すぎる?」


「お前の父親に合わせた長さなら、ちょうどいい」


 セラは少し笑った。


「……そうね」


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