子供好き
プラゴミを回収していると、毎朝子供を抱いて見送りに来るお父さんがいた。
お父さんに抱かれるその子は、パッカー車(ゴミ回収車)のミニカーを持っていて、ニコニコしながら俺たちの作業を見守っていた。
俺は車を降りたときと、ゴミ回収を終えて車に乗り込むとき、その子に手を振った。
その子は嬉しそうに笑って手を振り、お父さんは頭を下げていた。
実は…、俺はこの時まで子供はあまり好きではなかった。
しかし、この親子との出会いにより、俺はいつの間にか子供に手を振るようになっていた。
今、この記事を書いている現在、俺は観光バスのドライバーをしている。
仕事上、遠足や社会科見学などで子供達と接する機会が多く、今の俺は『子供って可愛いな』と思う。
以前なら考えられないことだ。
子供嫌いなら、観光バスのドライバーをしているとストレスが溜まるだけだっただろうが、子供好きになった今では、子供達を乗せる仕事が楽しいと思う。
酔わないように運転に最新の気を遣いながら、バスを転がす。
それも、この時の親子との出会いがあってこそだ。
人生って、改めて無駄なことはないのだなと思うのだった。
.




