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のほほん見聞録  作者: ヒロっぴ
ドライバー派遣
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通勤途中






この仕事をしている時、俺は約一時間かけて自転車ママチャリで通っていた。


当時、俺が住むアパートの駐車場には、車検切れの初代プリウスがとまっていた。


『21世紀に間に合いました』というキャッチコピーで売り出されたプリウスは、世界初の量産型ハイブリットカーで、乗っていると注目されたが、初号機だけあって、色々と問題もあった。




箱根の峠などを走っていると、蓄電された電力が足りなくなり、インパネに『亀さんマーク』が表示されて、時速20キロしか出なくなったりもした。



しかし、当時はそれも新鮮で、まさしく未来カーに乗っているような感覚を味わえたのも確かだ。



本来は600~700万位で売らなければ採算が合わないところを、普及のために230万程で販売していたという。




そんな未来カーを十年近く乗っていたが、駆動用バッテリーにガタが来ていた。



交換するには40万くらいかかると聞いていたので、車検費用と合わせると50万近くになる。




当時の俺は困窮していたので、とてもそんな費用を捻出する余裕もなく、車検を受けずに放置するしかなかった為、自転車通勤を余儀なくされたのだ。




…放置してから数年後、新しく担当となった営業マンが自宅を訪ねてきたとき、衝撃の事実を知った。





初代プリウスの駆動用バッテリーは永年保障だという。



今更?




最初の担当者も販売店も一切そんなことは言っていなかった。




知っていたら車検を受けたのに…





しかし、この時はすでに通常のバッテリーすら上がってしまっていて、車両移動の費用などを考えたら、とても新たに車検を受ける余裕も無かったので、そのまま廃車の時まで放置することになってしまったのだ。




…ということで、それが自転車通勤することになった顛末だが、俺は主に川沿いのサイクリングロードを使って通勤していた。




その通勤途中、自転車をこぎながら、手作りのおにぎりを食べるのが常だった。




すると、一羽のカラスが必ず追従してきた。



後ろから飛んできて俺を追い越すと、前方の橋の欄干に止まって『カー…』と鳴きながら、物欲しそうに俺を見送る。




俺がそのままそこを通り過ぎると、また飛び立って俺を追い越し、またまた前方の橋の欄干に止まる。




それを毎朝何度も繰り返すのだ。




アピールの仕方がまるで人間だ。




俺はおにぎりを少し残して、投げてやると、嬉しそうにくわえて飛び立っていく。




もっと仲良くしたかったが、それ以上仲良くなることは無かった。




自転車のハンドルに止まってくれても良かったのに(笑)





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