廃坑への入り口と砥石
この話を書くのに、何故か凄くつまりました。
なんでなんやろー。
冒険を開始して、多分1日。
分身の操作にも慣れ、ゴブリンを倒しながら洞窟内を探索する。そして、この洞窟が廃坑と繋がってたことが解った。
これはゴブリンを追いかけている時に見つたんやけど、洞窟の壁に人が潜れそうな位の穴があったんよ、その穴にゴブリンが急いで逃げて行ったわけよ。
僕も追いかけて入ってみたら、洞窟と違う光景があった。多分、長いこと使われてなかったんやろうな、天井に付けられたランプには灯りが無いし、蜘蛛の巣だらけやった、床にはトロッコ用なんか、線路が敷いてあった。
そして、入り口となっている穴のすぐそばには、白骨化した死体があった。ゴブリンにやられたんか頭蓋骨が割られてた。
「かわいそうに……。」
僕は白骨化した死体の前にしゃがみ込み、両手を合わせる。
ゲームのオブジェクトとして設置されてるんやと思うけど、この骨にも何かしらのストーリーがあったかもしれへん。こんな所で死ぬなんて思ってなかったやろうに。
僕は穴を掘り、骨のお墓を作ってた、たかがゲームやと思うかもしれへんけど……そうさせてしまうほどchange the worldの世界はリアルに表現されてた。
骨を移動させようした時、骨の後ろにランドセル程の大きさの袋があることに気が付いた。きっと骨の持ち物なんやろう……。勝手に中を見るのは悪いと思ったけど、まぁゲームやし……と都合よく考えた。
袋の中にはレンガみたいなのがギッシリと詰まっていた。黒色と灰色の2種類あるので、触って確認してみた。
研ぎ石
なにこれ、めっちゃ欲しい……。ゴブリンがドロップした錆びたヤツも、これで研げるやん! 骨の人……お墓作る代わりに貰ってもかまへんよね?全部とは言わんし、同じ骨のよしみとして貰って良いよね?
もちろん、白骨からは返事はない……だって死んでるんやもん。僕は研ぎ石をアイテムボックスに仕舞った。
このアイテムボックスは、プレイヤーに備わっている能力で、アイテムを自由に出し入れ出来るんよ。納めたアイテムはどこに行くかは分からんけど、ゲームやから気にしてへん。
プレイヤーのレベルに応じて、収納できる数や大きさが変わるみたいで、僕は現段階では10種類のアイテムを収納できるみたい。
おっと、作業を再会しやな。
「安らかに眠って下さい。」
出来上がったお墓は、かなり不細工な出来やった。埋めた所の上に、研ぎ石1個を立てただけ。花とかあれば良かったんやけどね。無いから仕方がないのよ。
僕は〔シイの実〕を供え、もう一度手を合わせる。
骨が骨を埋める……他の人が見てたら凄いシュールやろね。
「よし、お墓も作ったし研ぎ石も手に入った、一回戻って、錆びたヤツでも研ごうかな。」
僕が転送された場所は、ピチャンピチャンうるさかったし、水がどっかにあるんやろう。詳しい研ぎ方とか分からんけど、水が必要やったと思う。
「じゃあ白骨さん、また来ますね。今度はもっとええお供え物探しておくんで。」
廃坑の奥からゴブリンの雄叫びが聞こえたけど、気にしやんと戻ることにした。
ジャリ……ジャリ……
水は確かにあった、どこから蔦ってきたのかわからんけど、水滴が一定のリズムで垂れている。
その下は水溜まりになっていたんで、早速研ぎ石を使っている。
正しい研ぎ方とか知らんけど、テレビで見た様に刃物を研いでいくと錆が取れた。
白骨さんから頂戴した研ぎ石は2種類ある、黒色が粗目で灰色が仕上げ用みたい。
ゴブリンがドロップした〔錆びた刃物〕は合計6本、黒色の研ぎ石で錆を取った後、刃の部分も研いだ。
仕上げに灰色の研ぎ石を使い、とりあえず1本仕上げる。刃は一回り程小さくなったはしょうがなかった。仕上げた途端に〔錆びた刃物〕の名前が変わった。
ハンターナイフ
削ぎ取り・料理・武器としても使える万能ナイフ。
名前の変化に喜び残りの5本も研いでいく……。
1本だけバターナイフだったが残りは全てハンターナイフだったので助かった。
バターナイフ
少し大きめのバターナイフ。
……絶対にゴブリンも気付いてたやろ、自分のナイフがおかしい事に。
ゴブリンA『よし、お前達!武器はもったか!?』
ゴブリンB『あぁ、いつでも行けるぜ。』
ゴブリンC『最近変なガイコツが俺達の領域を荒らしてるらしいぜ。』
ゴブリンD『この洞窟はおれたちの物だ!』
ゴブリンE『ちょっと待て!俺のナイフだけ何か弱そうだ、交換し--』
ゴブリンABCD?『行くぜーーーー!!』
ゴブリンE『お、おい!待ってくれよーー!!』
きっと彼の中で凄い葛藤があったはず……。
ゴブリンEは尻餅ゴブリンです。




