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Yellow Marker~一人だけ魔族でプレイ~  作者: モチモチの木
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僕の友達・初めての戦闘

 ピチャン……ピチャン……

さっきからずっと水が滴る音が聞こえるけど、僕は梅村の方から聞こえる何かを叩く音の方が気になる。現在、僕の友達 松江(まつえ) (あたる)ことラッカルを探して貰っている所や。


カタカタ……カタカタカタッカッターン!


最後のカッターンで音は止まった。

どうやら特定出来たみたいや。

「あぁ、あの人ですか。有名なのですぐにわかりましたよ。」

 どうやらアタルは有名なようや。伝説のプレイヤーとかなんか……?

「ある意味伝説のプレイヤーですよ、一時期〔時の人〕になりましたし。」

 梅村さんに詳しい事を聞いたけど、なんか凄い事をやってしまったそうですあの子。


シュークリーム事件

 change the world内で、行列の出来るお菓子屋〔マリーの菓子屋〕でその事件は起きた。

限定300個のシュークリームは絶品で、プレイヤー・人族CPUはその美味しさから、開店3時間前から並ぶそうや。

アタルも並んでいたみたいで、もうすぐ自分の番になると思った時、アタルの前のお客さん(人族CPU)に一人の大男(人族CPU)が肩を組んで、そのまま一緒に並ぼうとしたんやって。

それに怒ったアタルは大男に文句を言った。 

大男の方は 「俺の代わりにこいつに並んでいて貰った、ありがとな、並んでくれて。」と言って、肩を組んでいた相手を列から出そうする。

組まれたCPUは大男が怖いのか、完全に萎縮してて、誰がどう見ても嘘ってわかる状態やったんやって。ひどいやっちゃな……。

 まぁ結果を言うと、アタルは大男に喧嘩を売って、成敗したそうよ、しかも自分のレベルをアイテムで下げて、装備も全て外して、拳だけで喧嘩を売ったそうよ。

舐められたと思った大男も拳だけの喧嘩を買って、そっからはもぅ、お店は壊れるわ、周りの人はどっちが勝つかで賭け事をするわ、警備兵が出るわで滅茶苦茶やったみたいや。人族CPUとガチンコの喧嘩をするプレイヤーなんて、今までおらんかったらしい……。

たかがシュークリームで……アタル君、何やってんのよ……。

「その後が凄いんですよ、大男を含め、複数の人族はラッカルさんの人柄に惚れ、彼のギルドに自ら参加をしたんです!今までCPUはプレイヤーのギルドに雇われる事はあっても、自ら所属する事は一度も無かったんです。change the world初の快挙ですよ!」

 それがネットの掲示板に載ったみたいでアタルは有名人になったそうや、人族の参加は、まだアタルのギルドだけらしい。

「そんな有名人の友達が、骨格標本やってわかったら、あの子どんな顔するやろな?」

 自虐的な事を言ってしまったが、その時のアタルの顔は見てみたいかもしれへん。

「会いに行かれるのですね?」

僕の気持ちの変化に梅村さんは気付いたようや。

「こんな姿でも、あの子やったら受け入れてくれると思うし、ある意味僕、レアやん?」

 この姿を経験できるプレイヤーは僕だけで、かなり貴重な体験やと思う。身体の方は心配やけど、今は梅村さん達を信じるしかない。

 僕はアタル宛の伝言を伝える。

「確かに承りました、では加瀬さん身体の事は我々に任せて楽しんで来て下さい。」

「ありがとうございます。」

 今日何度目の感謝の言葉やろ……。梅村さんの周りから「いってらっしゃい。」って複数の言葉が聞こえてきた。一人だけ加瀬ちゃんって叫んでたけど……。

 「野太い声で、加瀬ちゃん言わんといてよ!」

 僕の抗議の声に、システム担当の人達の笑い声が返ってきた、ディスプレイは目の前から段々と消えて、通話が終った。


 そして僕は出口を目指して歩き出す。友達(アタル)に会う為に。








 と、格好良くスタートしたのは良いけども、僕は今非常にピンチです。魔物(モンスター)に追われています。ゴブリンっていう緑色したちっちゃい鬼から逃げています!

だって僕ね、装備とか何も持ってないんやん?しかも相手は3匹で手には包丁サイズの剣持ってるやで。素手でどうしろって言うんよ。

 とりあえず岩陰に隠れたのは良いけど、あのゴブリン達、めっちゃ僕のこと探してる。もう一回言うで……めっちゃ探してる!!

このままゴブリンが諦めるまで、隠れようと思う。多分今の状態じゃ勝てへんし……。


 しばらくするとゴブリンは探すのを諦めたのか、どっかに行った。

操作に慣れてへんからかな……相手の動きが速く感じる……って言うか顔が怖い……凄くリアル!!

まぁ、操作してたら分身(アバター)に馴染んでくると思うから大丈夫やろう……。

 問題は武器や……。何もないから戦えへん。

だから僕は自分スキルを試しに使ってみようと思う。〔骨錬成〕と〔骨合成〕……解決の糸口が見つかるかもしれへんし。

 まずは骨錬成、脳内でスキル欄を操作する。

「骨錬成!!」

 スキルを発動すると目の前に魔方陣が表れ、その中から一本の骨が表れた。それを手にとり眺めていると、名前が表示される。


何かの骨の大腿骨


 どうやら太ももの部分の骨を錬成したようや。

長さもゴブリンが持っていた物よりも長いし、武器として使えそうかな……後は硬さかな?

 僕はもう一度〔骨錬成〕を使い、大腿骨を錬成する。そして〔骨合成〕を使い、2本の骨を1本にする。表示された名前を確認する。


何かの骨の大腿骨+1


 若干長くなったのかな?硬さはどうやろう……。

近くにあった岩を軽く叩くと、カンッと心地いい音が響いた。

「もうちょっと硬くしやな……。」

 この硬さでも戦えると思うけど、正直不安やった……。戦ってるときに折れたら洒落にならんもん。

もう一度〔骨錬成〕しようと思ったら、脳内アナウンスが流れる。

『魔力が不足しています。』

 魔力って何よ?ステータス画面にそんなの表示されて無かったよ!?

どうしようか悩んでると、視界の左上に2本のバーがあることに気付く、下の方が点滅していた。……どうやらこれが魔力みたいや。ついでに大変な事にも気付いてしまった……。

 自分の体力・魔力そしてスキル発動に必要な魔力が数値化されてへん。

感覚と、どんぶり勘定でやれって事ですか?

まあ……うん、悩んでても仕方ないから慣れるしかないよね……。

 

「僕はポジティブ……凄くポジティブ……」と呪詛の様に呟きながら魔力の回復を待っていると、ゴブリンの声が聞こえてきた。

さっきの骨の音で、こっちに気が付いたみたいや。

 岩陰に身体を隠し、ゴブリンが来るだろうと思われる方向を見つめている。

「おった……でも一匹だけや。」

 恐らく偵察なんやろ、周囲をキョロキョロしている。

「でも一匹だけやったら、どうにかなるかもしれへん。」

そんな考えが頭を過った、そして気付けば僕は大腿骨片手に立ち上がっていた。


「グギャ!!」

 僕のいきなりの登場にゴブリンは驚いていたが、直ぐに襲い掛かってきた。

戦いに関しては僕は全くの素人や、ゴブリンの方が先輩やろ。

でも今の僕とでは、武器のリーチが違う。

強化した大腿骨と包丁……15センチ程の差がある。身体の大きさも違うから、有利に戦えるはずや。

ついにゴブリンが僕の間合いに入って来る。僕は全力で大腿骨を振る。

「先輩、御免!!」

ガゴンっていう音と共にゴブリンは倒れた。まだ生きているみたいで、震えながらも起き上がろうとしている、もう一度大腿骨を全力で振る。

「怖いわアホ!!」


 動かなくなったゴブリンはそのまま光になって消えてった。ゴブリンがいた場所には、僅かなお金と牙のらしきもの、そして錆びた包丁が落ちていた。

「助かった……。」

 僕はそのままへたりこで、大腿骨を抱きしめた。


 ここまで読んで頂き、ありがとうございます。

最後の部分はゲームなので軽い感じにしました。

重くすると、本当に生き物を殺す感じになってしまったので、ゲームとしては相応しくないと思いました。


 最近、ブックマークが増えてる事に気付き、

「えっ!ブックマークって何!?」と驚き、そして喜んでます。 

ブックマークしていただいた皆様、ありがとうございます。

この作品を読んで下さった皆様、本当にありがとうございます。


これからも楽しく書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。



モチモチの木

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