転送先にて。
3話
ピチャン……ピチャン……
どこからか水滴が落ちる様な音が聞こえる、転送が終わったんやろうか?
僕は今、物凄く気持ちが悪いよ、乗り物酔いを酷くした感じの気持ち悪さが絶賛継続中です。これが転送酔いってやつなんやね……。
「うぅ、始まりの街に着いたんやろか?」
『change the world』を始めたプレイヤーは必ず始まりの街からスタートする。これは説明書にも書いてあった事や。ここで基本的な操作や、旅の進め方、あと戦い方などを教えてもらえるらしい。だけど僕が今いる場所は街と思える物が何一つ無い……これ明らかに洞窟やろ?
ヘルプさんが最後叫んでたんは転送先間違えたからかな?普通やったら文句言う所やけど、ゲームへのワクワク感が勝っているので気にしませんよ、冒険にトラブルは付き物やもんね!
早速冒険に出ようと思ったけど、ここで大事な事を思い出す。
「ランダム設定の結果ってどうなったんやろ?」
僕は説明書に書いてあった通りにステータス画面を呼び出す。
「ステータス」
目の前に半透明なモニターが表示される。このステータス画面で、自分の種族や職業、それと所持品などの確認ができるみたいや。
「種族boneって何?職業は……」
骨使い:錬金術の派生『骨秘術』の使い手。骨と魔力を媒介に様々な物を生み出す事ができる。ただし、生み出せる物も骨関係の物になる。
微妙……なんかな?職業の当たり外れがわからんけど、対象が骨だけってどうなん?
そのままスキルのリストを開いて確認する。
□骨秘術
・骨錬成
魔力を媒介に骨を造り出す。
魔物との戦いに勝つことにより、錬成できる骨も増える。部位の指定は可能。
〔現在錬成可能な骨〕
何かの骨
・骨合成
同じ名前の骨を合わせる事ができる。
大きさ、骨密度などを調整することができる。
とりあえず今僕が使えるスキルは2つみたいやね。突っ込みたい所が何点かありますよ。
まず、このスキルで今後どう活躍していけばいいんですか?戦いに使えやんよね?骨格標本を作って博物館でも経営すればいいんですか?あぁ、任せてください立派な博物館にしてみせますよ、名前は『秘骨館』ってのはどうやろね?エッチな博物館みたいで良いやろ?男性客が勘違いしてドキドキしながら入ってくるかもしれへんしね!
あと何かの骨ってなんなん?制作側もよくこれでOKしたな、誤魔化せると思ってるん?思い付かなかったんやろな……きっと。
ため息と一緒に、ゲームへの不満も早速出てきた。上手くやって行けるやろか?僕のワクワク感を返せ……。
そして最後に一番触れたくない事に目を向ける。
「部位の指定は、己の体でか……」
今現在、僕の分身は骨格標本その物の様です。
bone=骨……ね。
ゲームを開始して15分ぐらい……。僕は早速ログアウトしたくなりました。