骨犬の強さ
骨犬の強さを確める為に洞窟内をうろつき始めたのは良いんやけど、物事ってのは僕の思った通りにはいかんみたいや……。
「ちゃうって!!こっちやから!!」
そう、この初めての眷属は中々命令を聞いてくれない。
もう何て言うのかな、自由なのよ、この子。
さっきから、あっちこっち走り回ってる。
追いかけているのが主人の僕です。
本当に眷属なんですか?
こんな状況やったら、ゴブリンと戦わす事なんて出来へん。
どうやったら言うこと聞いてくれるんやろ……。
さっきから行きたい方向にも行けず、骨犬に振り回されてばっかり。
一応ゴブリンにも遭遇したんやけど、骨犬の後ろにいる僕を見て逃げてしまった。
なんでや??そんなに怖い顔……してるね。
骨やもんな……でも僕からしたらゴブリンの方が怖い顔してるで??
まぁ、言うこと聞いても聞かなくても、ゴブリンで腕試しは出来やんみたいやわ。
ホントどないしよう……。
本物の犬の様に躾とかしないとあかんのかな?と考えながら骨犬のステータスを改めて確認する。
すると、一番下の方に『能力』って項目があった。
召喚した時に確認したつもりやったんやけど、見落としてたみたいやわ。
『能力』
特技とは別で召喚獣・眷属などに与えられる特殊能力。
レベルに応じて種類が増えたり、効果が増す。
・周辺威嚇[ON]
主人のレベルより大幅に差がある魔物を寄せ付けないようにする。(ON・OFF選択可能)
こんな便利な能力持ってたのね、この子。
じゃあ、さっき逃げてったゴブリンは僕の顔じゃなくて、骨犬の能力で逃げてったんか!!
とりあえず周辺威嚇をOFFに選択してみる。
すると、さっきまでアホの子みたいにはしゃいでいた骨犬が急に大人しくなった。
もう一度周辺威嚇をONにする。
またアホの子になる。
こういう使用なんやね……。
骨犬も好きではしゃいでる訳じゃないのね。
だけど周辺威嚇をONにしている最中、フリーダムに移動されても困るわけやし、躾的な事をしやなアカンのかな?
試しに、骨犬を無視して移動してみることにした。
なんという事でしょう。
アホの子みたいにはしゃぎながらも僕について来てるじゃないですか!!
躾はいらんようやね!!
ウハウハな気持ちやったけど、僕は周辺威嚇をOFFに設定する。
目的はあくまで骨犬の強さを確める事、やから周辺威嚇については後にしようと決めた。
ゴブリン狩りをしやなアカン。
「じゃあ行くで、しっかり付いてきてや。」
ゴブリンを探す為にしばらく歩く。
すると、岩場の陰で何かが動いた。
やっと見つけたで……。
骨犬の強さを知る為には正面から正々堂々と戦わすのが一番やと思うけど、もしゴブリンより弱くて負けてしまったら意味がない。
「なあ骨犬、あそこに魔物がおるんやけどアレと戦って欲しいねん。奇襲ってわかる??不意を付いてイキナリ襲う事なんやけど、できる??」
骨犬は理解したようで、コクリと頷く。
賢い子やわ、鳴いたら気付かれる可能性があるし奇襲についても理解してるみたいや。
アホの子言ってごめんな。
僕は小声で合図を送る、すると骨犬は獲物目掛けて駆け出した。
それは猟犬という物の動きなんやろう、僕は猟犬なんて見たこと無いからわからんけど、近所のおっちゃんが飼っていたチワワの小太郎とは明らかに動きが違った。
そして骨犬は獲物に飛び掛かった。
ちっちゃい犬やけど立派な犬歯を武器に魔物に噛みつくようや。
岩場の陰から『グキャギャッ!』とゴブリンの声が聞こえる、奇襲は成功したようや。
現場がどうなってるのか気になり、岩場の方へ走っていく。
もしかしたら、もう戦闘が終わってるかもしれへん。
そう思いつつコッソリ現場を覗き見ようとする。
すると何が飛んできた。
イキナリの事でビクッてなったけど、飛んできた正体を見て更に驚いた。
骨犬の頭蓋骨……。
ほんの数分前までアホの子みたいにはしゃいでいた骨犬の頭がそこに転がっていた。
骨犬の頭蓋骨の下からは魔方陣のような物が現れ、頭蓋骨は魔方陣に吸い込まれて消えた。
『眷属のHPが0になりました。眷属ポケットに強制転送します。』
目の前にモニターが現れ、骨犬のステータスが表示される。
名前の部分は灰色になり、その下には[復活まで119分32秒]と表記されている。
どうやらこの子はゴブリンより強くなかったようや。
申し訳ない事をしてしまったわ……。
しかも、次に召喚できるまで2時間も待たなアカン。
それまでにどうやって骨犬のレベルを上げるか考えやなアカンな……羽交い締めにして攻撃させようかな??
でもその前に、その前に仇は取らなアカンよな!!
可愛い……のかな?僕の初めての眷属を殺した奴には復讐しやなアカン!!
僕、怒ってますよ??
大腿骨の鉈を片手に装備し、岩場の方を振り向き叫ぶ。
「覚悟はぁ!!して……ます??」
うん、最後まで叫べやんかった。
そこには真っ赤な身体に太い四肢、僕がこの間やっと倒すことができた赤ゴブがおった。
僕は心の声で骨犬に謝った。
『ごめん、いきなり赤ゴブは無理よな。』
~脳内劇場~
タンクトップを着た筋骨粒々な男性とスポーティーな体を強調するピッチピチの服を着た女性が白い部屋にいる。
軽快な音楽と共に何処からか拍手の音が聞こえる。
『やぁ、ミランダ。待ち合わせ時間に遅れそうな時、魔物に遭遇して間に合わなかった事ってあるよね??』
男は外国人が困った時にするようなポーズをとりながら、女性に声をかける。
『そうなのよ、昨日そのせいで友達との待ち合わせに遅れちゃったわ。何とかならないかしら、ジョーイ。』
ミランダと呼ばれた女性は本当に困っているんやろう。
タンクトップの男性、ジョーイに懇願の眼差しを向ける。
『そんな時はこいつの出番って訳さ!!いつでもどこでも君を守る最高の相棒さ!!』
男性が取り出した物に対して、沢山の驚きの声が聞こえる。
『まぁ、ジョーイ!素敵な釘バットね!!』
骨犬ではありまそん!!




