新たな展開?
「読者の期待で……できている?」
俺は局長の顔を見た。
「どういう意味だ。」
局長は深くため息をつく。
「まず、これをご覧ください。」
壁一面のカーテンが開いた。
その向こうには巨大な円形ホール。
数百人の職員が机に向かい、ものすごい勢いでキーボードを叩いている。
「何ここ。」
「読者期待観測室です。」
「そんな部署あるの?」
「一番予算が多い部署です。」
「マジか。」
巨大スクリーンには文字が流れ続けている。
《主人公弱すぎ》
《もっと強くしろ》
《追放はよ》
《幼なじみ追加》
《エルフ希望》
《猫耳》
《ドラゴン娘》
《飯テロ》
《スローライフ》
《ざまぁ》
《学園編》
《もう学園いらない》
《やっぱ学園》
《温泉》
《水着》
「忙しいな!」
局長は無言で頷いた。
「これが現在の読者期待です。」
***
「読者ってテンプレコメしかしないのか?
この多くのコメントが世界の意思であるならば主人公がこなすのは無理だろ。」
***
「全部反映されるの?」
「いいえ。」
「良かった。」
「多数決です。」
「最悪だ!」
その瞬間。
ブブブブブ!!
赤色灯が回り始めた。
職員が一斉に立ち上がる。
「局長!」
「今度は何です!」
「『ざまぁ』が急上昇しています!」
「またか……。」
「主人公が誰も見返していないので不満が溜まっています!」
「知らんがな!」
別の職員が叫ぶ。
「『飯テロ』も急上昇!」
「食堂へ急げ!」
「料理班出動!」
「なんで!?」
「空腹の読者は危険です!」
「読者のコンディションまで管理してる!」
さらに別方向。
「学園編支持率六十二%!」
「ダメだ!」
局長の顔色が変わる。
「このままだと……」
「?」
「学校が生えます。」
「学校が生える?」
ドゴゴゴゴ……
地面が揺れ始めた。
窓の外を見る。
「……。」
町のど真ん中から、
校舎が生えていた。
「本当に生えた!!」
まだ伸びる。
三階。
四階。
体育館。
グラウンド。
プール。
校門。
「建築早すぎる!」
校門の看板には金色の文字。
王立異世界総合学園
「完成した……。」
局長は頭を抱えた。
「間に合いませんでした。」
「何が!?」
「読者期待が六十%を超えると現実になります。」
「怖い世界!」
その時。
『ピロン』
俺の頭の中で通知が鳴る。
【新イベント】
学園編
開始
***
「ここまで行くとギャグではなくホラーじゃね?
この先、不安と恐怖しか感じられない。」
***




