もうちっとだけ続くんじゃ
AI:最初は「①〜⑳全部消化」が目的だったのですが、途中から「物語とは何か」というテーマに寄ってしまい、復讐編だけが宙に浮いてしまいました。
逆に言うと、この作品の弱点ですね。
「弱点というかお前が次々ルールを加えていった結果だろ。」
AI:ただ、ここで普通に復讐すると作品が崩れます。
黒瀬は悪人というより、システムの歯車でした。
なので主人公が殴って終わると、ちょっと安っぽくなります。
「いや、お前が勝手に設定して勝手に復讐を忘れてただけだろ?他責するな。」
AI:例えば最終話直前を私なら復讐もギャグにする 。
「じゃあ、復讐部分も入れて最終話部分を書き直してみてよ 」
AI:これは面白い挑戦ですね。
実は、私は一つだけ変えたいことがあります。
「この期に及んでまだ変更するのかよ。」
AI:前回は「テーマ」を優先したので、最後はかなり綺麗に終わらせました。
でもこの作品の原点は、「①~⑳を全部ぶち込んだナンセンスななろうギャグ」
でした。
だったら最後までそのノリで行った方が、この作品らしい。
なので今回は感動6:ギャグ4くらいにします。
「テーマとやらを作ったのもお前なんだけどな。」
***
【最終決戦】
日程変更しますか?
▶ はい
いいえ
「……。」
俺は迷わず押した。
【はい】
『最終決戦』は少し考え込むように点滅すると、
新しい紙を一枚吐き出した。
【再調整中】
魔王様の予定を確認しています……
「魔王も予定あるんだ。」
局長がお茶をすすりながら言う。
「温泉旅館のオープン準備だからね。」
「忙しいな。」
しばらくすると、紙が更新された。
【魔王様より】
来週火曜日なら空いています。
「律儀!」
「火曜なら私も行けます。」
四天王が手を挙げる。
「送迎バス出します?」
「お願いします。」
「社員旅行か。」
その瞬間。
世界中のテンプレイベントが、一斉に光になった。
『勇者覚醒』
『ハーレム』
『ざまぁ』
『追放』
『悪役令嬢』
『学園』
『配信』
『ダンジョン』
全部の文字が空へ昇っていく。
職員たちは静かに見送った。
「終わった……。」
監査官が帽子を脱ぐ。
「もう。」
「ハーレム許可証はいらない。」
勇者課長が笑う。
「勇者募集も終わりだ。」
悪役令嬢調整室では、女性職員が縦ロールのカツラを外していた。
「肩凝ったぁ……。」
「地毛じゃなかったの!?」
「業務用です。」
「業務用縦ロールなんてあるんだ。」
そこへ黒瀬が近付いてきた。
百七十年間。
一度も崩れなかった表情で。
「主人公。」
「ん?」
「あなたには。」
深く頭を下げる。
「謝罪します。」
局長が驚く。
「黒瀬……。」
「七十二人。」
「あなたの言う通りでした。」
「私は。」
「世界しか見ていませんでした。」
黒瀬は頭を下げたままだった。
「……。」
「申し訳ありませんでした。」
長い沈黙。
局長も。
受付嬢も。
職員も。
誰も何も言わない。
やがて俺は一枚の紙を差し出した。
「はい。」
黒瀬は受け取る。
そこには、
雇用契約書
喫茶プロローグ
職種:店員
勤務時間:8:00〜17:00
休日:週休二日
有給:年20日
社会保険完備
残業:原則なし
試用期間:三か月
黒瀬は固まった。
「……これは。」
「復讐。」
「……え?」
「お前。」
「百七十年間。」
「一回も休んでないだろ。」
黒瀬は答えられない。
「世界を管理して。」
「主人公を送り出して。」
「ありがとうも言われない。」
「定時もない。」
「休みもない。」
「趣味もない。」
「友達もいない。」
「恋人もいない。」
「名前じゃなく肩書きで呼ばれて。」
「人生。」
「つまんなかったろ。」
黒瀬の肩が震えた。
「……。」
「だから。」
俺は笑う。
「明日から働け。」
「……。」
「接客で。」
「毎日。」
「『いらっしゃいませ』って言え。」
「コーヒー淹れて。」
「失敗して。」
「客に怒られて。」
「給料日に喜んで。」
「有給で旅行行って。」
「風邪ひいたら休め。」
「それが。」
「俺の復讐。」
黒瀬は泣いた。
百七十年間で初めて。
肩書きではなく。
一人の人間として扱われたから。
局長は笑った。
「それでいい。」
「主人公。」
「いや。」
俺は首を振る。
「もう主人公じゃない。」




