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AIに無茶ぶりして「なろうテンプレ全部盛り」の小説を書かせたら、途中からAIが勝手に泣かせにきた件  作者: アレグレット


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これで最後

黒瀬だった。

今日はスーツではない。

白いシャツに黒いエプロン。

ぎこちない。

「似合わないな。」

「……自覚しています。」

「ネクタイは?」

「もう要りません。」

黒瀬は照れくさそうに社員証を取り出した。

裏返す。

真っ白だった。

「肩書き。」

「消えました。」

「じゃあ。」

俺は笑う。

「名前で呼ぶか。」

「……。」

黒瀬は少しだけ驚いた顔をした。

百七十年ぶりに。

肩書きではなく。

名前を呼ばれたからだ。

「黒瀬。」

「はい。」

「コーヒー淹れられる?」

「研修を受けました。」

「誰に。」

「元魔王です。」

「なんで!?」

「趣味だったそうです。」

「万能だな、あいつ。」

そこへ勢いよく扉が開いた。

「おーい!」

局長だ。

段ボールを抱えている。

「看板届いたよ。」

「早いな。」

三人で外へ出る。

木箱を開ける。

中には木製の看板。

主人公が持つ。

黒瀬が脚立に登る。

局長が釘を打つ。

カン。

カン。

カン。

看板が掛けられた。


喫茶 プロローグ


「悪くない。」

「ええ。」

その時だった。

ガラン。

まだ開店前なのに。

一人の少年が入ってきた。

十五歳くらい。

どこか見覚えがある。

「すみません。」

「まだ準備中だけど。」

「聞きたいことがあって。」

「何?」

少年は少し緊張した顔で言った。

「昨日。」

「うん。」

「急に家族が言うんです。」

「?」

「『お前は勇者になるんだろ?』って。」

三人が顔を見合わせる。

「でも。」

少年は困ったように笑う。

「そんな気ないんです。」

俺は少し笑った。

「じゃあ。」

「?」

「ならなくていい。」

少年は目を丸くする。

「いいんですか?」

「いい。」

「でも期待されて。」

「期待は。」

コーヒーを一杯淹れる。

ことり。

カップを置く。

「飲む側が決めるもんじゃない。」

少年は首をかしげた。

「え?」

「期待するのは勝手。」

「応えるかどうかは。」

俺はコーヒーを一口飲む。

「自分で決めろ。」

少年はしばらく黙っていた。

そして、

少しだけ笑った。

「……ありがとうございます。」

少年は帰っていく。

その背中を見送る。

局長が小さく笑った。

「君。」

「うん?」

「主人公らしくなったね。」

「え?」

「昔は違った。」

「今は?」

局長は空を見上げた。

「もう主人公じゃない。」

少しだけ嬉しそうに。

「人間だ。」

風が吹く。

新しい看板が小さく揺れた。

店の中では黒瀬が不器用にコーヒー豆をひっくり返し、

「すみません!」

と慌てている。

局長は新聞を読みながら笑い、

俺はその様子を見て、思わず吹き出した。

誰も世界を救わない朝。

誰も運命に追われない朝。

ただ、コーヒーの香りだけが店に満ちていく。

俺はカップを磨きながら、小さくつぶやいた。

「さて。」

「今日も営業するか。」

店の扉のベルが鳴る。

今度は誰が来るのだろう。

もう、シナリオは決めていない。

だからこそ――

少しだけ楽しみだった。

                   ― 完 ―


***


「・・・。」

AI:実は、このエンディングには最初のギャグが一つ残っています。

店名が「プロローグ」なんです。

つまり、読者は「完」と読んだあとに、「プロローグ」という看板をもう一度思い出します。

主人公の物語は終わったのではなく、ようやく始まった。

「なろうテンプレを全部消化する」という無茶な企画から始めて、最後は「誰かに与えられた役ではなく、自分で選んだ人生が本当の物語なんだ」という締め方にすると、ギャグで始まった作品でも一本筋の通った読後感になると思います。


「なるほど、わからん。

でも「なろうテンプレを全部消化する」という無茶を課したのは主人公にでなくAIのお前になんだけどな。

しかも復讐って項目が無かった気がするんだが。」


AI:鋭いです(笑)。

実はやっていません。

途中で私も気付いていました。


「嘘つけ!」


***


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