No.55活動記録:牛肉のごちそうと、画面の裏の頼れるおっさん
No.55活動記録:牛肉のごちそうと、画面の裏の頼れるおっさん
十階層の主であるコリーダを、拍子抜けするほど多勢に無勢な方法でボコボコにして倒した私たち。
モンスターが消滅したあとの地面に残されたドロップアイテムを見つめ、全員で一斉に目を丸くすることになった。
「いつもの晶石に、素材系のアイテムなのは分かるんだけど……ねぇ、何これ?」
ひとつは、コリーダの皮だろう。牛革のような丈夫な紙といった感じで、触り心地がとても良くて加工しやすそうだ。――問題は、もうひとつ。
一抱えもありそうなほど大きな、何かの木の皮のようなもので丁寧に包まれた、ずっしりと重い謎の物体。
恐る恐るその包みをバリバリと剥がし、中身を確認した瞬間、私たちの間に衝撃が走った。
新鮮で、深みのある美しい赤色。そしてその上に、白く美しく、細やかに咲き誇るような見事な網目状の霜降り模様――。
どう見ても、どこからどう見ても、これは。
「「「「牛肉だ(ですね)!!!!」」」」
「ええっ!? どういうこと!? 今までモンスターを倒して爪や牙みたいな素材がドロップしたことはあったけど、なんで普通に『食べ物』がドロップするのよ!? おっさんAI、説明しなさい!」
私はあまりの事態に耐えかねて、上空のドローンに向かって声を荒らげた。
『落ち着けやスイはん。今までお嬢さんらが獲得してきた素材系アイテムは、ほとんどが爪やら牙やらといった、「クズ素材」と呼ばれる類のもんや。素材としての価値も晶石と大差ないんは、ギルドの交換所で身に染みて承知しとるやろ? だけどな、ごく稀にやが、こうして「食材系アイテム」が直接ドロップすることがあるんや。いわゆる、レアアイテムっちゅうやつやな』
「レアアイテムきたーーーーーー!」
サクラが両手を上げてピョンピョンと大喜びする。けれど、私は現実的な疑問を口にした。
「これって……人間が食用可能なの?」
『普通に食えるで。というか、ギルドに隣接しとるレストラン街なんかには、モンスターからドロップした食材系アイテムを専門に使って料理を出しとる店も、普通に暖簾を掲げとるくらいやからな』
「え、そうなのかよ!? 普段から品卸しにレストラン街に行ってるけど、そんなの全然知らねぞ!?」
スズカが意外そうに目を丸くする。
『アホやなスズカはん、店側の方は一応「これはモンスターからドロップした食材です」っちゅう注意書きをメニューの隅にちゃんと書いとるで』
「……うおぉ、マジか。完全に気がつかんかった……」
自分の注意力のなさに、スズカがちょっとだけガックリと肩を落とした。
「食材系がドロップするなんて初めて知ったけど、それって一般のスーパーとかには流通してないの?」
『なんせレアアイテムやからな。数撃ちゃ当たるの精神で二十四時間体制で周回作業を行えば、そこそこの量は確保できるやろけど、工業製品みたいに量産できるわけでもないからな。一般家庭の食卓まで広く行き届くには、供給量的にどうしても無理があるな』
「ねぇ、おっちゃんAI! おっちゃんAI!」
サクラが期待に満ちた目でドローンをぐいぐいと見つめる。
『落ち着きぃなサクラはん。まあ、サクラはんが何言いたいかは、なんとなぁく分かっとるがな。ギルドの交換所で金銭に換えてもエエし、自分たちで調理して食うてもエエ。ダンジョン内でトラベラーが正規に取得したもんは、すべてそのトラベラー個人の自由財産やからな』
「ねえねえ! スイちゃん! 食べようよ、お肉!」
「はいはい、分かったわよ。どうせ食べたいって言うと思ってたわよ」
サクラの頭を撫でながら、私はお肉の塊を見つめる。
「とはいえ、これだけの大きさのものを、私たちだけで食べきるのはさすがに無理があると思うんだけど……」
『見たところ十キロはあるからな。大人換算で三十人から四十人分はあるで。――あ、ちなみにギルドの交換所にそのまま売れば、その肉だけで「五十万円」くらいにはなるな』
「ごっ、ごじゅっ……!?」
おっさんAIの口から飛び出した「五十万」という超高額査定に、私の脳裏に一瞬だけ『売却』の二文字がギランと浮かび上がった。「ねえサクラ、これ売ったら美味しいお菓子が山ほど――」と提案しかけた、その時。
私の袖をきゅっと掴むサクラの目が、あまりにも純粋に、キラキラと「お肉食べたい!」と輝いていて。
……それを見た瞬間、私の中にある薄汚い大人びた金の勘定が、一瞬で綺麗に浄化されたような気がした。
「……うん、持ち帰りましょう! 持ち帰って、みんなで食べましょ。そうね……スズカのおじさんや、私たちのスポンサーになってくれた方々も呼んで、みんなで盛大に振る舞いましょうか!」
「おっ! それは最高だな! うちの父ちゃんも肉と聞きゃあ大喜びするぜ! ――ただ、それだけの人数を集めるとなると、さすがにこの肉の塊ひとつじゃ足りねぇんじゃねえか?」
『足らんなら足らんでしょうがないやろう。それとも何か? ――またあのコリーダからポップするまで、ここで地道な「周回作業」でもやるか?』
「よし、とりあえず時間が許す限り何度か周回してみて、それでもドロップしなかったら今回はこれで諦めましょう。……あ、でも、このお肉をこのままダンジョン内で生身で持ち歩くのは、衛生的にちょっとマズいわよね?」
『せやな。こういう食材系アイテムを新鮮なまま収納するための、専用の保冷機能付きバックやボックスがストレージマーケットにはあるるんやけど、お嬢さんらはそんな専門的なもん持っとらんからな』
「でしたら――こう言うのはどうでしょうか」
それまで静かに聞いていたヒマリが、おもむろに愛用のビニール傘を構えた。
そして、流れるような動作でツンッ、と軽く突くような仕草を見せる。
「『桜梅桃李』、梅の型――『寒梅穿牙』」
傘の先端がお肉の包みにちょんと触れた、その瞬間。
パキパキパキッ!という爽快な音と共に、極寒の冷気がお肉全体を瞬時に包み込み、瑞々しさを保ったままカチコチに「冷凍保存」されてしまったのだ。
『ほう……! なかなか上手いスキルの使い方するやんけ、ヒマリはん。まさか戦闘用の攻撃スキルを、現地での簡易冷凍保存の魔道具代わりに使うとはな。恐れ入ったわ』
「お褒めに預かり光栄ですわ、AIさん」
おっさんAIの称賛に、ヒマリちゃんはふふっと上品に微笑んだ。
私も、ヒマリのその機転の利いたスキルの使い方には、心から感心させられた。
アイディアの奇抜さという意味では、我がチームの中ではサクラがダントツで一番だ。突拍子のなさも一番だけど、そのサクラの自由な発想に毒された……じゃなくて、影響されたのか、先のコリーダ戦ではスズカが『払い落とし』の足払い応用を見せ、今またヒマリが同じようにスキルの応用を開花させた。
――私だって、ただスキルをそのまま使うだけじゃダメね。
せっかく発現したスキルだって、何かしらで応用できる方法があるはずだ。私ももっと頭を柔らかくして考えてみよう、と私は思考の隅にしっかりと留めることにした。
「それじゃあ、タイムリミットまでコリーダの周回コース、行ってみましょうか!」
「「「おーーー!」」」
私たちは「極上の牛肉」という最高のモチベーションを胸に、十階層のコリーダを見つけに再び元気よく駆け出すのだった。
「いやー! 今日は招いてくれて本当にありがとうね! ええっと――」
「いえいえ! いつも応援ありがとうございます! ダンジョン配信者をさせていただいています、元樹みどりです! 今日はお忙しいなか、私たちのプライベートBBQにご参加いただき、本当にありがとうございます。今後もご支援のほど、なにとぞよろしくお願いいたしますね。……あ、おじ様、コップが空ですね。すぐにお注ぎいたします! ビールでよろしいですか?」
「おっ、ありがとうね! いやー、こんなに可愛い若い子にお酌されるのは、実に良いもんだねぇ!」
私は後援者やスポンサーの方々に慣れない営業スマイルを作りながら、必死に会場の挨拶回りをしていた。
あの初討伐の後、私たちは時間ギリギリまで何度もコリーダと戦ったのだけれど、あの奇跡的な「牛肉」が再びドロップすることは二度となかった。それでも、あの十キロの塊があれば十分。日頃からお世話になっているスズカのお父さんや、私たちを支えてくれている大切な人たちを招待して、盛大なバーベキューパーティーを開催したのだ。
そんな私の涙ぐましい接待姿を、遠くのテーブルから肉を頬張りながら眺めていたメンバーたちが、ひそひそと声を漏らす。
「……スイちゃんが、スイちゃんでなくなってるぅ」
「……言ってやるなサクラ。スイもあれはあれで、かなり胃を痛めながら我慢してやってるんだからな」
「そうですね。活動資金の援助を中断されれば、あっという間に今後の探索で必要な物資が足りなくなりますからね」
ヒマリがウーロン茶を口にしながら、神妙な面持ちで頷いた。
「え? トラベラーって、そんなにお金がかかる『カネ食い虫さん』なの?」
サクラが不思議そうに首を傾げる。
「オレが使ってる魔道ランスは、穂先を出すのにエネルギーが必要なカートリッジ式だからな。サクラが持つメモ帳と魔道書はチャージ型だろ? この話、前におっさんAIから聞いてるんじゃねぇのか?」
「うん。サクラのは、使ってもほっとけばまた自然に力が溜まって使えるようになるって言われた!」
「それが『チャージ型』な。オレの使う『カートリッジ式』は、外部からエネルギー源となる消耗品を組み込まねぇと、まともに使えなくなるんだよ。まあ、オレのランスは魔法の力を吸収してエネルギー源して使える裏ワザがあるから、完全に空っぽになって使えなくなることだけはねぇんだけど……それでも、市販の弾をケチると著しく威力が落ちるらしいんだわ」
「消耗品はそれだけではありませんわよ」
ヒマリが指を折って数えながら、サクラに優しく教える。
「装備品の日常的なメンテナンス費用もありますし、探索時に万が一怪我をしたときの治療薬品、ダンジョン内でお腹が空いたときの携帯食料、長期の探索時に必要となる各種キャンプ物品など……挙げればキリがありません。スイちゃんはいつも、長くても半日で帰れるような短期の探索を心掛けてくれていますけれど、それでも裏では大変なやり繰りをしてくれていますのよ」
「……ふーん、そうなんだぁ……」
サクラはしばらくの間、小さな頭をひねって真剣に考えていたが、やがて手に持っていたお皿をポンとテーブルへと置いた。
そして、小さな足でトテトテと来賓の大人たちのところへ歩いていくと、大きな服の袖を引っ張った。
「おじさん! スイちゃんの応援、よろしくね!」
「ん? スイちゃん? 誰のことだい?」
サクラは大人たちを少し困惑させながらも、あちこちのテーブルを忙しなく動き回り、まるでスイの真似をするように健気に挨拶回りを始めたのだ。
その様子を見て、スズカがふっと笑って立ち上がる。
「しゃあねぇな。オレたちも、スイ一人に苦労背負わせるわけにはいかねぇし、いっちょやっとくか!」
「ふふ、はい。そうですね。参りましょう」
スズカとヒマリもサクラに習い、積極的に来賓の大人たちの中へと飛び込んで、笑顔で挨拶回りを手伝い始める。
遠くからその光景を見た私は、胸がじーんと熱くなるのと同時に、「みんな、ありがとう……!」と心の中で深く感謝するのだった。
☆★☆★☆
――ダンジョンギルド十王市支部、最下層・特別研究室。
薄暗い研究所の内部。大型モニターの発光に照らされながら、「おっさんAI」の本体である大文字は、いつもと変わらない様子で画面内の膨大なデータに鋭い視線を走らせていた。
彼が整理しているのは、スイたち『みどりの葉っぱ隊』の最新の戦闘ログと、ステータス更新データだ。
「……ふむ。スイはんはジョブ型のスキルで『騎士』、初期スキルは『騎士道』。次に『戦術』ときて、今回発現したんが『陣形』か……。三つともパッシブ効果(常時発動型)の、味方を統率する『指揮官タイプ』のスキル構成になりつつあるな。まあ、スキルの発現っちゅうのは、狙って出せるようなもんでもないからな。これから先はどうなるかまだ分からんが……本人はそこまで直接的に強くならんでも、仲間を極限まで強化して戦うちゅう意味では、チームに『絶対に必要な唯一無二の一人』やな」
大文字は満足げに鼻を鳴らし、タッチパネルを軽快にスライドさせて画面をヒマリのデータへと移行させる。
「ヒマリはんもジョブ型のスキルで『言霊士』。初期スキルは『焔の火種』。対象の身体能力を底上げし、さらに精神高揚(恐怖耐性)の効果を得るバフ。まあ、これがあるからこそ、あのお嬢さんらでもモンスターを怖がらんと最前線で戦える部分は大いにあるわな。ほんで、次に発現したんが『武踊』。剣舞なんかと同じ、観客を魅せるタイプのアクションやけど、実戦にも完全対応可能な美しい舞いや。そんで今回の『桜梅桃李』の四変化の技系スキル……。それぞれ範囲射出攻撃、刺突凍傷付与、絶対防御&持続回復、さらには近接斬撃……。一人軍隊やないけど、完全に自己完結型の化け物スキル構成になりそうやな、ヒマリはんは。末恐ろしい子や」
続いて、大文字はサクラの映像とログを表示させた。
「サクラはんもジョブ型のスキルで『ブックマーカー』。初期スキルは『クイックスペル』。詠唱を一切必要としない、文字通りの即時発動型マジックユーザー。……元々はただの魔道具の紙切れ起こさんだけのメモ帳だったのが、奇跡起きて『魔道書ランク』に上がったことで、魔法現象を起こせるようになった。とはいえ、本来の威力は大したことがない初級クラス。それを補ったんは……国家機密級の魔道書職人である、あの高宮ジェナや。……なんでわての観測範囲の近くにそんな超弩級の天才が隠れ住んどんねん、と最初は思ったけどな。まあ、居るもんはしゃあない。おかげでサクラはんの魔法の威力は、今や中級クラスぐらいには跳ね上がっとる。せやけど、本人の使い方のセンスっちゅうか、発想の仕方が毎回斜め上をいきすぎて、いまいち宝の持ち腐れ感が否めんのが玉にキズやな。まあ、あれはあれで、世界で唯一無二の魔道書の効果を誤魔化しが効いてええんやけど。そんで今回発現したスキルが『賑やかし』と『お絵描き上手』……ほんま、意味わからんわ(笑)。お絵描き上手はメモ帳に描くからまだ分かるとしても、この子は一体どこへ向かって行こうとしてるのか、全く先が読めんスキル構成になりそうや。意外性っちゅう意味では、見てて一番飽きん子やで、ほんま」
そして最後に、大文字はスズカのプロフィールを大きく引き伸ばした。
「んで、途中から参加するようになったスズカはん。スイはんたち現役の学生組とは違い、社会人っちゅう名の『家事手伝い』。行動力と度胸は人一倍あり。その凄まじいバイタリティから、物事を一度自分で実際に試して身体で覚えんとおさまりがつかんタチや。そのため、一見すると暴走しがちに見えて――まあ、その通り実際暴走しとるんやけど、彼女の野生の勘のおかげで事態が結果オーライで好転することも多い。戦闘のカンに関しては、間違いなくこのチームの誰よりも頭一つ抜けとるな。偶然、風月堂紫水の店で、ゴミに混ざってた召喚物を手にして、神霊との契約を果たしたことで、現時点で『世界で四人目の神霊契約者』となった……。本人がその神霊の本当の凄さを、いまいち1ミリも理解してないのが最大の心配事であるけれど、自分がとんでもない厄介事を背負い込んだっちゅうことだけは、なんとなく理解しとるみたいやからな。それでも、普段の態度を一切変えんのは、なかなか大した心臓の持ち主や。初期スキルは技術系の『騎乗』。次いで今回発現した技系スキルの『払い落とし』。まだまだ先は見えへんけど、確実に『前衛純粋戦闘系』のスキルにゴリゴリに偏るタイプやな」
大文字は背もたれに深く体重を預け、一度全員のプロフィールを並べて画面全体を眺めた。
「……神霊がおるスズカはんは、上層階層でもなんとかやってける。出力が大幅に落ちとるとはいえ、遺物の魔道機人形のゴークくんがおるから、中層階層まではスイはんたちもなんとか食らい付いていけるやろう。――問題は、そっから先やな。現状の戦力だと、まだその先は見えへん。スキルの発現だっていつ限界が来て止まるか分からんし、どれだけ上質な魔道具を持ったから言うて、トラベラーとして一生やってけるとも限らん。なにより……あの娘らのモチベーションが、一体どこまで持つかが一番の未知数や」
大文字はふう、と静かにため息を漏らし、眼鏡のブリッジを押し上げた。
「大人としてはホンマ、頼りない情けない言葉やけど……あんな若い普通の女の子らに、ダンジョン探索を頼むんは、どうしても気が引けるねん。わてとしては、あの子らがただ楽しんで、遊びの延長でダンジョン攻略をしてくれてとる方が、こっちとしてはよっぽど気が楽なんや。……自分たちに出来んかった未完の夢を、後に続く若い者達に託すっちゅう大人の心理は、わてだって理解できる。――しかしな、なぁ」
大文字の目が、パッと別のモニターへと移る。
そこには、ギルドの上層部や政府の役人たちから送られてきた、【重要案件依頼・至急対応要請】と赤文字で表記されたデータが、未開封のままズラリと山のように並んでいた。
「――自分らは安全な場所に引きこもって何の支援もせんと、ただ『お国のためにやれ』とバカこく大人たちの、都合のええ道具にしようと考えてるこいつらの根性だけは、わては一番気に入らんのや! お前らで行けボケどもが!!」
大文字は怒りを爆発させ、デスクのキーボードを激しく叩きつけた。画面に並んでいた【重要案件依頼】の文字が、彼の操作によって一瞬ですべて『消去』されていく。
「あー! 腹立つわぁ! こいつらの過去の悪行、わてのハッキング技術で全部調べ上げて世間に公表したろうか、まったく!」
大文字が本気で義憤に駆られ、今すぐそのクラッキングを実行に移そうかとした――その時だった。
ピピッ、とデスクの端末から、あらかじめ設定していた「特定のアラーム音」が小気味よく鳴り響いた。
その瞬間、大文字の身体から立ち上っていた剣呑なオーラが、嘘のように一瞬で霧散した。
「おっ、スイはんの番組(ライブ配信)が始まる時間か! ということは……いよいよ、例の『あれ』が世間に向けて発表されるな。こりゃあ、今回は間違いなく歴史に残る『伝説回』になること間違いなしやで! 絶対に最初から最後までリアルタイム視聴して、スパチャ(投げ銭)も投げまくったろう!」
大文字はさっきまでのシリアスな表情はどこへやら、ただの熱狂的な「元樹みどりチャンネルの最古参ファン(待機組)」の顔に戻り、ウキウキとした手つきで画面を配信サイトへと切り替えた。
世界の裏側で大人が仕掛けた陰謀をすべて力ずくでシャットアウトし、彼はただ純粋に、少女たちの新しい冒険の幕開け(番組開始)を心待ちにするのだった。
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今回、作品に挿し絵を追加しました!
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