㉜ラッキーペア
「え!?ニック君は体調不良ですか...。分かりました。ですがゼルノ君は、どうしましょう...。」
99%仮病だとは思うが、そんなことを言っても意味がないしな。二人一組のペアをニックと組むことになった俺は、早くも一人になってしまった。
まあ、ニックとペアを組みたかったわけではないし、一人の方が自由で良い。
「僕は一人で大丈夫ですよ。」
「う~ん、それでは、この授業の目的から外れてしまいますので、できればだれかとペアを組んでほしいのですよね...。」
確かにこの授業のコンセプトは、ペアでアドバイスをし合って才能のを伸ばすことだ。だが俺にとっては、授業内容なんてどうでもいい。「最後の仕事」をいかにして達成するかが重要なのだ。
「二ナちゃ...先生!ゼルノくんは、あたしたちと一緒にするのがいいと思います!」
そこに女神が現れた。いや、女神ではなくリリだ。
そもそも俺は、リリとペアを組みたかった。「最後の仕事」を進めていく上での目下の目標は、調査対象であるエルレイナの妹であるリリレイルと親しくなり、エルレイナの情報を得ること。ここはぜひともリリのペアに混ぜてもらいたい。
「リリレイルさん、ありがとうございます。そうですね!それではゼルノくん、リリレイルさんエミリーさんペアに混ざって、今日は授業を受けてください!」
「わかりました。ありがとうリリ。この授業中はよろしく!」
でかしたニック。そしてできることなら、これからの授業も体調不良となってほしい。
「おかえりゼルノくん。いきなりペアの相手が体調不良だなんて災難だね...。今日はあたしたちと一緒に頑張ろうね!」
「いやいや、リリちゃん。体調不良なんて絶対嘘だよぉ~。あ、ゼルノくんよろしくぅ~。」
リリは純粋だな。そしてエミリーの反応が、このクラス内でのニックの評価を示している。
二人はグラウンドで授業を進めていたみたいだ。早速参加させてもらう。
「まずはお互いの才能を教え合おっか。あたしの才能は、治癒。でも、うまく使いこなせなくて...。治癒した後は気を失っちゃうの。だから、この授業では気を失わずに治癒できるようになりたいと思ってる!」
確かに入学初日、リリはニックに撃ち落された小鳥を治癒して気を失っていたな。超絶レアな才能だが、その扱いは難しいのだろう。
「はぁ~い、次はエミの番だねぇ。エミの才能は風を吹かせることができるよ~。特に悩みとかはないけど、使い道が分からないって感じかなぁ~。」
風か。確かに一見使い道は見つからなさそうだ。しかし二ナ先生も言っていたが、使えない才能なんて無い。ここで、何か新しい道が開けるといいな。
「最後は僕だね。僕の才能は物体の位置を入れ替えることができるって感じかな。ただ、入れ替える物体が重いほど体力を使うから、体力をつけたいと思っているよ。」
俺は自分の才能に興味がない。特に成長させたいとも思っていない。だから適当なことを言っておいた。
「へぇ~。ゼルノくんの才能便利そうだねぇ。エミ、遠くのもの取るときとかにその才能欲しいなぁ~。」
「ははは。確かに小さいものとかなら使えるかもしれないけど、位置を入れ替えるんだから、自分も何か持っていないといけないし、そんなに便利ではないよ。」
エミリーの言うような使い方をしたいなら、ニックの才能が一番いいだろう。当の本人はさぼり中だが、努力次第ではかなり有能な才能になるだろう。
「じゃあ、一番悩んでそうなリリの才能について、色々考えてみようか。」
「そうだねぇ。エミは悩んでないしそうしよ~」
「いいの!?ありがとう二人とも!あたし頑張るから!」
ここでリリに好印象を抱かせることができれば、仲良くなれるかもしれない。
このチャンスは逃さない。




