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㉑作戦決定



 第1回作戦会議開催から数日が経った。


 俺、アイナ、ジャックの3人は、毎日放課後に集まり、学園内に出没している不審者についての情報を集め、どのようにして捕らえるかを模索している。


「やっぱり僕、危ないと思うんだけど...」


「何言ってんのよ。アンタ男なら、これくらいやってやるって言いなさいよ。」


「僕がそう言うタイプじゃないことは、アイナさんだって分かってるでしょ...」


 確かに2人は全然タイプが違うように思える。アイナはどんどん前に進むタイプで、ジャックは慎重に進むタイプ。


「まあまあ、2人とも。慎重なのはいい事だと思うし、やってやるって気持ちも大事なんだから。バランスだよバランス。」


「そうね、少し熱くなりすぎたわ。」


「僕も、消極的だったかも...」


 それにしても、思ったよりジャックが自分の意見を出してくれる。自分の意見をはっきり述べることができる事は、後にジャックのためになるだろう。


 今は、不審者を捕まえる方法について考えている。2人が出した意見はこうだ。


「そんなの見つけたら、みんなでドーンって突撃してひっ捕らえればいいじゃない。」


「そ、それは過激すぎるよ...。見かけたら守衛さんに連絡して捕まえて貰うって言うのはどうかな...」


 どちらの案もリスクに見合ったリターンしか帰ってこない。アイナの案は誰かが怪我をするリスクがあるし、ジャックの案は、逃がしてしまいリターンを得られないかもしれない。


 2人の意見はきっとどこまでも平行線になるだろう。俺がその間に入らないとな。


「罠を、仕掛けるのはどうかな。」


 卑怯、搦手上等。そういうのは、俺の得意分野だ。但し、あんまりやりすぎると、2人から怪しまれてしまうから、軽いものに留めておく。


「罠ね。それならやり方次第で、確実にとらえることが出来るかもしれないわね。」


「確かに。それなら、危険少なそう...!」


 よし。2人からも肯定的な意見は得られた。ここでさらにもうひとつ、情報を提示する。


「不審者が、絶対に訪れる場所があるんだ。」


 3人で集めた不審者の情報は、学園側から得たものだ。それは、主な出没場所と、時間帯、その程度の情報でしかない。


 俺は初めて不審者この目で確認して以来、毎日あの場所で張り込んでいる。奴は3日に1回のペースで、必ず生徒会室に訪れていることが分かった。


「絶対に訪れる場所?そんな情報初めて聞くけど。」


「僕もただ、捕まえようって言ってるわけではないって事だよ。」


「やる事はやってるってわけね。で、その場所はどこなの?」


 情報をどうやって入手したか、深く突っ込まれたらどうしようかと考えていたが、杞憂に終わったようだ。


「場所は生徒会室、出没頻度は3日に1回。そして次に現れるのは恐らく今夜、これがその情報だよ。」


「す、すごいよぜルノくん...!これなら不審者を確実に捕らえることが出来るよ...!」


「そうだね。後はどうやって捕らえるか、その方法をみんなで考えよう!」


 悪くないペースで作戦は進んでいる。このまま行けば上手く不審者を捕らえられそうだ。


「.....生徒会室...か...」


「....?アイナ、どうかしたのかい?」


「え!?いや、なんでもないわ!アンタもなかなかやるじゃない。褒めてあげる。」


「なんで上から...?」


「褒めてあげてるんだから、素直に受け取りなさいよ。」


「あ、ありがとう?」


「いいわよ。」


 なんだこれ。アイナの様子は少し気になるが、まあいいだろう。今は不審者の方に集中だ。


「さて、あとはどうやって捕らえるかなんだけど、何か案は無いかな。」


「罠か...シンプルに落とし穴、とか...?」


 落とし穴。意外と馬鹿にできないかもしれない。しっかりと深さを確保しておけば、なかなか抜け出せない。


「それ、いいかもしれないな。」


「え...そうかな、自分で言っておいてなんだけど、あんまり成功するようには思えないや...」


「想像しているのは、子供が作る落とし穴じゃないか?今の僕たちで本気で作れば、本格的な罠になるよ。」


「そっか、それなら僕にもできることがあるかも...!」


 ジャックにできることとは何だろうか。手に持てるサイズの物なら複製することができる才能を、何か応用するのだろうか。


「もしかして、ジャックの才能で何かできるのかい?」


「・・・!さすがゼルノ君。なんでもお見通しなんだね。そう、僕の複製の才能は条件次第で、見た目を複写することができるんだ。」


 複写。やはりジャックの才能はなかなかすごい。そもそも才能に応用を効かせることができる人がこの世界にどれだけ居るだろうか。彼のポテンシャルは計り知れない。もっと自分に自信をもってもいい気がするが、周囲の人間に恵まれず正当な評価を得られなかったのだろう。


「見た目を複写!?すごいじゃないかジャック。その才能で、地面の表面を複写して、落とし穴を完全に隠すことができる、ってことだよね?」


「そうだよ...!落とし穴に被せるものにもよるけど、それならそこまで難しくないはず...」


「よし、それなら落とし穴作戦で決定だね!細かいところを詰めていこうか。アイナも、それでいいよね?」


「えっ!?...あ、もちろんよ。その作戦で行きましょう。」


 やはりアイナの様子がおかしい。体調でも悪いのか?いや、何か別の理由がありそうだ。でもそれが何かは分からない。


 ともかく、今は作戦を進めていこう。

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