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染髪マン〜髪色で能力が変わるヒーローにされた俺は仕方がないので世界を守る〜  作者: 仮面大将G
はんぺんの可能性は無限大だってそこの女幹部が言ってました

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第23話 ヒーローネームと美乃里の奇行

 俺と銀子は変身を解き、二人して美容室へと戻る。銀子は複雑そうな顔をしてるけど、なんでだろう。あ、もしかしてはんぺんチーズフォンデュが気に入らなかったのか? 別に銀子が食べるわけじゃないんだし、そんな気にしなくてもいいのにな。


 美容室の中に入ると、大輔と美乃里が向かい合って何かを話している。また美乃里のやつ、変なこと話してるな。便箋工場じゃなくて封筒工場の方が良かったのかな。

 話し込む二人を置いて、金森さんが声をかけてくる。


「お疲れ様、染谷くん、銀子さん。戦いぶりはよく見てたわよ。いいでしょう、藤本銀子さん。あなたもヒーローとして活動することを認めましょう」


「本当かい……? あたいが、ヒーローに?」


「そうよ。被るに慰労と書いて被慰労よ」


「漢字で書かないでくんね!? 確かにヒーローなら結果的に慰労される側かもしんないけど!」


「さあ銀子さん、私ができる限りのことをして、その髪色を変えてあげるわ。ふふ、私ったら、まるで白雪姫に出てくる魔法使いね」


「そういう時はシンデレラで言ってくんね!? 白雪姫の魔女はただのヴィランだって!」


「そういやシンデレラの魔女ってなんで馬車をカボチャにしたんだろうな。なんかカボチャの中に座るのって黄色いの付きそうでちょっと抵抗あるよな、美乃里」


「変な話題振らないで!? 知らないよ私リアルにその状況になったことないから!」


「でももしそうなったら実際どう思う? 不安じゃないか?」


「まあ確かに……。カボチャってまあまあしっかり色あるもんね。せっかくドレス着たのに汚れそうとは思うかも」


「そうだろ、だからもし俺が魔法使いなら、シンデレラの乗り物は選挙カーにするな」


「やめてあげてそんなやかましい乗り物!? 出馬させつつ舞踏会行かせるの!? 乗ってくれないでしょ選挙カーとか!」


「そこはほら、まず口車に乗せて」


「上手いこと言わないの! 白雪姫の魔女の話だったでしょ!」


「ちげーよ銀子ちゃんの髪の話だよ! ずっと何言ってんのお前ら!?」


 相変わらず大輔はうるさいな。せっかくこっちはこっちで盛り上がってたのに、冷めるようなこと言うなよ。まあ美乃里は俺と同居してるし、いつでもこの話はできるか。また帰ったら話そうかな。


 そんなことを言ってる間に、金森さんはいつの間にか銀子の髪にカラー剤を塗り始めている。凄いな、まだ23話に入ってから銀子が一言も話してないのに、施術に入るなんて……。やっぱり金森さんのメンタルは強靭だ。


「誰か今あたいに失礼なこと思ったやつがいるねえ? 誰だい?」


「おい白状しろよ大輔。銀子には全部バレてるぞ」


「何が!? 心当たり無さすぎるって!」


「何ってお前、銀子と缶ぽっくりデートしたいって言ってただろ」


「言ってなくね!? 別に俺自分の意思で缶ぽっくり乗って来たわけじゃねーし! 缶ぽっくり大好き男じゃねーし! あとデート誘いたいは失礼じゃなくね!?」


「あんた……。あたいと缶ぽっくりデートがしたいってのかい? あたいと缶ぽっくりたいなんて、もの好きな男だねえ。ま、いいさ。今週の日曜なら空いてるよ」


「缶ぽっくりたいって何!? 缶ぽっくりを動詞にしないでくんね!? いや俺そもそも誘ってねーからその気にならないでくんね!?」


「じゃあ誘うなら何デートなんだよ」


「誘う前提は変わんねーの!? でももし銀子ちゃんをデートに誘うなら、とりあえずカフェとかじゃね? あんまり知らねーし、ゆっくり話してみたいっつーかさ!」


「カフェって言っても最近は色んなカフェがあるよな。コンセプトカフェとかそういうの。変わり種だとスタッフが本物の探偵のカフェとかあるらしいけど、もし自分がコンセプトカフェを作るなら美乃里はどんなのを作る?」


「だから変な話振らないで!? 急に思いつかないよそんなの! じゃあ柊吾くんだったらどうするの?」


「俺なら、まるで定食屋に来た気分になれるコンセプトカフェにするな。メニューも焼き魚定食とか唐揚げ定食とかで統一してさ、カウンターといくつか二人席があるような」


「うんそれカフェじゃないよね!? 紛うことなき定食屋だよね!? むしろカフェの要素が無いけど!?」


「ランチの時はご飯グランデが無料になるんだよ」


「ご飯の量そういう感じで言うの!? カフェ具合を『グランデ』の一単語に託すのやめてね!?」


「なあ柊吾と美乃里ちゃんさ、とりあえず黙っててくんね!? お前らだけ話がずっと関係ねーんだよ!」


「じゃあ大輔が銀子を定食屋カフェデートに誘う話は関係あるのか?」


「それもねーけど! あと俺が誘うのそのカフェ!? だからそれ定食屋だって!」


「明石大輔くんって言ったかしら。あなた少しうるさいわね。気が散るから外で物乞いでもしながら待っててもらえるかしら?」


「物乞いまで強要されんの!? いやうるさい原因こいつらですって! なんで俺だけ!?」


 まあ単純に大輔が一番声もデカいしテンションも高いからな。うるさい度合いで言ったらダントツだろう。


 そんな感じで美乃里と話しながら時間を潰していると、施術が終わったようだ。白髪染めを何度も使って不自然なくらい真っ黒だった銀子の髪は、見事なオレンジ色になっていた。


「オレンジってあんまりイメージ無いですけど……。金森さん、この髪色はどんな能力になるんです?」


「いい質問ね染谷くん。今までの君の髪色は分かりやすかったものね。オレンジはね、単純に身体能力がめちゃくちゃ向上するのよ」


「身体強化のみですか!? え、俺の能力と比べて渋くないですか!?」


「仕方ないのよ。どうしてもブリーチ無しだと、能力には限界があるわ。ただ、彼女の場合は武器として毒を使えるから、それをどう使うかね」


「じゃあもう毒が能力なのでは!?」


 なんか詳しく聞くと、武器とかは変身者の性格とか過去の経験から生み出されるらしい。俺は髪色によって色々武器出せるけど、それは俺が色んなことを連想するのが得意だからだそうだ。そうかな、あんまり自覚無いけども。


 銀子の場合は毒の強い性格が現れて、毒そのものを武器として使えるらしい。ブリーチができるようになったら、また俺みたいに分かりやすい能力も使えるらしいけどな。てことは、例えば銀子が赤髪にしたら、火と毒を使えるってことか。なんかズルいな。


「ありがとう、金森さん……。あたいがこんな髪色にできるなんて、感動したよ」


「それは良かったわ。ところで銀子さん、あなたのヒーローネームなんだけど、カラーリングガールと髪の海だとどっちが良い?」


「なんで二個目は四股名みたいなんだい!? そっちを選ぶ可能性があると思ったのかい!?」


「無くはないでしょう? 銀子ちゃんがとんでもない春場所マニアかもしれないし」


「なんで春だけなんだい!? 春場所が好きなやつは大体他も好きだろう!?」


「髪の海、これからよろしくな。共にクロゾーメ軍団と戦おう!」


「そっちで決めないでくれるかい!? あたいはカラーリングガールの方が気に入ってるんだからねえ!」


「決まりね。よろしくね、かみのう……カラーリングガール。あなたへの施術は、染谷くんと同じく無償でやるから安心してね」


「今髪の海って言いかけなかったかい!?」


 結局銀子はカラーリングガールのヒーローネームを選択。変身アイテムのヘアブラシを貰って、そのまま解散となった。髪の海、良かったのにな。強そうで。今度まわしと塩持って行ってあげよう。


 そんなことを考えながら、俺は美乃里と共に夜道を歩いている。まだ一緒に住んでるっていうのに慣れないもんだな。


「ふー、今日は疲れたね柊吾くん!」


「そうだな。ところで美乃里はさっき何を話してたんだ? 金森さんとも大輔ともヒ素ヒ素やってたけど」


「変換やめて!? そんな危ない会話してないから!」


「じゃあ何の話なんだよ? 青酸カリか?」


「違うよ!? なんで私が毒物の話してると思ってたの!?」


「パッと見じゃ分からないもんなああいうのって。今度探偵カフェで見てもらうか?」


「探偵カフェが旋回して戻って来た! 行かないよ探偵カフェは!?」


 毒物じゃなかったら何の話をしてたんだろう。言ってる間に家に着くから、また機会があれば聞いてみようかな。


 鍵を開けて家に入ると、どっと疲れが襲って来てソファに倒れ込んでしまった。まあ凱とも戦ったし、石鹸ゾーメとも戦ったしなあ。疲れてて当然だ。


「ありゃ、柊吾くんお疲れ? じゃあ私先にお風呂入っちゃおっかな?」


「いいぞ。俺は今動きたくないからな。この後夜の日課のビ〇ーズブートキ〇ンプもやらないといけないし」


「あれまだやってるの!? 大学生の世代でちゃんと知ってる人いる!?」


「だからとりあえず入ってきていいぞ。俺はまだ汗を流す」


「変なストイック! まあ先に入っていいなら入るけど……」


 美乃里が風呂に向かい、俺はぼーっと天井を眺める。シャワーの音だけが微かに聞こえて、何も考えない時間。一日にこういう時間は絶対必要だよな。こうやって何も考えない時間を作ることによって、次の日の朝にチーズフォンデュを作る体力を効率良く回復させるわけだ。合理的だろ?


「柊吾くん、上がったよー」


 お、美乃里が風呂から出て来たみたいだな。もうそんなに時間経ったか。じゃあ俺もブートキャンプしてから風呂に……。

 え、なんかバスタオル一枚の美乃里が入って来たんですけども!?


「え、美乃里お前何やってるんだよ」


「ん? お疲れの柊吾くんを癒してあげよーかなって?」


「癒すってお前……。何するつもりだ?」


「そんなの分かるでしょー? もう私たちも子どもじゃないんだから! さ、ベッドの方行こ?」


「ベッドで何するつもりなんだよ。まさかあれか? 綺麗なシーツの張り方のレクチャーか?」


「違うよ!? この格好でベッドに誘ってそんなことしないでしょ!?」


「確か角を三角に折ると綺麗に張りやすいんだよな。でもあれなかなか上手くいかなくてさ」


「うんだからそんな話しないよ!? え、嘘でしょ!? バスタオル一枚の女の子にベッドに誘われてこんなにボケる人いる!?」


「美乃里お前、バスタオルの下は裸なのか? 年頃の乙女がみっともないだろ。ちゃんといつも通り恐竜の着ぐるみ着ないと」


「着たこと無いけどそんなの!? なんで私が家の中で恐竜の着ぐるみ着てると思ってるの!? もー! せっかく気分作ってきたのに台無しだよ!」


「ダイナソー?」


「言ってないよ! 台無し!! 恐竜に引っ張られすぎでしょ! もう、柊吾くんに期待した私がバカだったよ! もう寝る!」


 そう言って美乃里は寝室に引っ込んでしまった。あいつ、歯磨きしたのかな?

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