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Crow  作者: むー2
39/50

第37話:爆発(ばくはつ)

朱雀が自らのボディを削りながら放つ高熱エネルギーにより、ワイルドボアの突進が一時的に停止する。

「……今だ、佐々木中佐! 全出力を一点に!」

「待たせたな! これが俺たちの……人間の意地だッ!!」

佐々木中佐は強化外骨格の全リミッターを解除。ブースターを逆噴射させる勢いで、渾身のストレートを魔人の胸部装甲へ叩き込んだ。

「うおぉぉぉぉぉッ!!」

装甲を貫通する衝撃。ワイルドボアは、後方の大型タンクを粉砕しながら吹き飛んだ。

「ぐ、おぉぉ……人間ごときが……ここまで……!」

地に伏したワイルドボアが、憎悪に満ちた目で龍穴を見つめる。

「……ならば、道連れだ! 地の底の火よ、皇都を飲み込め!」

死に体の魔人が、最後の力を振り絞って炎の槍を龍穴の中心へと突き立てた。地脈が暴走し、地下からマグマが噴き出そうとする。これが噴発すれば、皇都の半分が焦土と化す。

「……させません。それが、私の『守護』の定義です」

朱雀が、暴走する龍穴の直上へと静かに移動した。

「朱雀! 何をするつもりだ、戻れ!」

佐々木の叫びも虚しく、朱雀は内部原子炉を臨界まで強制加速させる。

「全エネルギー、逆位相爆発アンチ・エクスプロージョン。——さようなら」

朱雀のボディが白銀の光に包まれ、大爆発を起こした。

その衝撃波が、噴き出そうとしたマグマを龍穴の奥底へと力ずくで押し戻し、炎の嵐を強引に中和していく。


【皇都警察庁・対魔特務局 総司令部】

爆音の後、モニターから朱雀の信号が完全に消失した。

静寂に包まれる司令部に、ノイズにまみれた佐々木中佐の声が届く。

『……こちら、南の朱雀隊。龍穴は死守。……繰り返す、死守したぞ……』

通信の向こうで、荒い息遣いと、崩落する建物の音が響く。

『……朱雀、大破。隊員の多くが、殉職……。……だが、火は、消した……』

血を流しながら、焼け焦げた戦場に一人立ち尽くす佐々木の背中。

本部のモニターには、西に続き、南のポイントも「CLEAR(制圧)」と表示された。

「……佐々木。よくやった」

磐城長官が深く帽子を被り直し、モニターを直視できない霧島冴子は、静かに祈りを捧げた。


残る龍穴は、東と北。

東の龍穴では、青龍が「洪水」に立ち向かい、北では玄武が「地震」を止めるべく、最後の戦いに挑んでいた。

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