第22話:青龍(せいりゅう)
皇都の湾岸部、巨大テーマパーク『ルナ・パーク』。
快晴の空の下、家族連れの笑い声が溢れるその場所は、一瞬にして絶望の檻へと変わった。
「ヒャハハハ! 逃がさんぞ、人間ども。すべてを糸に絡め、ナヤー様への供物としてくれる!」
かつてクロウが激闘の末に葬ったはずのスパイダー魔人が、教祖の魔力を分け与えられた「再生強化魔人」として出現。以前よりも太く、鋼鉄のように硬質な粘着糸を四方に張り巡らせ、人々を繭の中に閉じ込め始めた。
【皇都警察庁・対魔特務局モニター室】
「……霧島。市民の避難状況は」
警察庁長官・磐城が鋭い眼光でモニターを凝視する。
「特別鎮圧機動隊が展開していますが、敵の吐き出す糸が強固で、救助活動が阻害されています!」
霧島冴子の報告を受け、磐城が短く命じる。
「よし。……『青龍』を出せ。あの糸を焼き切れ」
【ルナ・パーク近郊・科学技術研究所 移動ラボ車】
「了解、磐城長官。……小野寺だ。四方諸神01、青龍。リミッター解除」
小野寺所長がキーを叩く。画面には青龍の電磁出力データが高速で流れていく。
「淤加美、見ていてくれ。君の遺したデータが、今日、結実する」
テーマパークの中央広場。スパイダー魔人の鋭い脚が、逃げ遅れた親子の頭上に振り下ろされようとしたその時。
上空から青い流星が降り注いだ。
ドォォォォォォン!!
「——対象を確認。排除行動を開始します」
砂塵の中から現れたのは、流線型の青い装甲を纏ったアンドロイド、四方諸神『青龍』。
スパイダー魔人の脚を、左腕の電磁装甲だけで完全に受け止めた。
そこへ、アスファルトを削る重低音が響き渡る。
漆黒のバイクに跨り、深黒のクロウが戦場へ滑り込んできた。
黒と青。二つの「護る意志」が、最凶の魔人の前で初めて並び立った。




