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異世界人の友達と日本を旅しよう  作者: マノイ
2章 伊豆下田「結成」
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21. 堂ヶ島(下見完了)

「……私がいると……迷惑になるから」


 ケイちゃんがしつこく誘っているけど、パステルちゃんはお断り。というか、わたしたちもこの流れはびっくりだよ。でも歌は聞いてみたいな。


 あんまり長居する時間も無いので、今日はこのまま帰ることになった。気にしないって言ってたけど異

世界とのやりとりについて何か情報があれば教えてあげよう。そうでなくても同じ異世界人のシェルフたちがいるんだから、仲良くなれれば良いな。


 下田で歌う場所の下見は終わったので、これから富士宮へ戻る。車の中は助手席が昨日と変わらず横石さん、後ろはプラムとシェルフ。横石さんじゃんけん強すぎる。


「トモさん、あの2人をメンバーに入れるの、考えても良いと思います」


 運転中にプラムからこんな提案があった。


「う~ん、でも今日会ったばかりの人をメンバーに入れるのはなぁ。ってわたしが言えたことじゃないか」


 すみれさんも根古ちゃんも出会ったその日にメンバーに入れちゃったもんね。


「でも難しいと思うわ。シャモアはともかく、パステルは自分の問題を解決しないと。笑顔になれないアイドルなんてアイドルじゃないわ」


 パステルが抱えている問題についてはシャモアから聞いてある。


「そうなんですけど、もしその問題が解決して、あの2人が望むならメンバーに入れてみませんか?」

「プラムこだわるね。やっぱり異世界人の知り合いが居たほうが心強い?」


 せっかく出会えた同郷の仲間だもんね。そりゃあ一緒に活動できたら嬉しいか。


「いえ、そういうわけではないです。それよりもあの2人が歌とダンスのメンバーに入ると、今まで以上にバランス良くなると思ったからです」


 あの可愛い双子が入ったらインパクトはあるけどバランス良くなるっていうのはどういう意味だろう。それに可愛いから加える、とかやってたらキリが無いしなぁ。


「今の3人のバランスも良いのですけど、同じ方向性の個性だと思うんです。あの双子の儚さや静かな雰囲気が混ざると3人の強い個性が程よく中和されて親しみやすくなる気がするんです」


 う~ん、確かにわたしも横石さんもゆ~ちゃんもガンガンいこうぜタイプだからあの2人が居ると落ち着きが出るっていうのは分かるかも。


「単純に演奏が5人なので、人数のバランスをとって歌う方も5人にしたほうがバランスとれてるかもっていう理由もあります、っていうのは半分冗談です」


 えへへ、と笑うプラム。仲良くなってきてはいたけど、こんな感じで冗談を言うことはこれまで無かった。これも旅を通じて仲良くなれたってことかな。ってあれ。


「5人?演奏は4人だよね?」

「いえ、根古さんも加わって貰おうと思ってます。これだけ仲良くなったのにサポートだけっていうのはもったいないじゃないですか」

「それはわたしも思ってたけど、どのパートやってもらえば良いかな」

「それは戻ってから根古さんと相談しようと思ってました」


 引き受けてくれると嬉しいなぁ。やっぱり一緒に活動したいもん。


「あの2人の追加かぁ。戻ったらみんなに確認してみよっか」

「私は賛成でござる」

「私もプラムと同意見で良いと思うわ」


 演奏5人、歌とダンス5人、旅するアイドル、みんなが並ぶ姿を想像して…………うん、しっくりくる。いいかも!




 そんなこんなで新しいワクワクが見つかった帰り道。まっすぐ帰るのはつまらないので、西海岸沿いに車を走らせ、途中一か所だけ観光スポットに立ち寄る。


『堂ヶ島』

 伊豆の西部に位置する景勝地で「伊豆の松島」とも呼ばれている。中でも有名なのが天井が崩れて光がさすようになった洞窟、天窓洞。洞窟は海とつながっていて船で入ることができ、上の遊歩道から洞窟の中を覗くこともできる。そしてわたしにとってこの観光地が素晴らしい理由は一つ。富士山が見える!伊豆の西海岸からは富士山を海越しに見える絶景スポットが沢山あるんだ!


 駐車場に着くと、道路を挟んだ向かいに大きな観光用の建物が見える。お土産売り場やお食事処と、後は……


「ねぇねぇトモちん、加山なんたらって誰~?」


 有名人のミュ~ジアムだった。こんなところにあったんだ。かなりの有名人だけど、わたしの歳だともうほとんど知らない人だったりする。おじいちゃんやおばあちゃんの世代の人じゃないかなぁ。


「有名人なんだけど、わたしも良く知らない人だよ」

「ふ~ん~」


 ミカンはなんとなく気になっただけで興味はなさそう。よかった、詳しく聞かれなくて。まぁ聞かれたらシェルフに調べて貰えば良いだけなんだけどね。スマホのまともな使い方。


「洞窟めぐりは海側だね。あそこで切符買えば良いのかな。次の遊覧船の時間は……うん、丁度もうすぐみたい。ラッキー」


 堂ヶ島では断崖や海に浮かぶ大きな岩とか小島の景色も素晴らしいけど、やっぱり洞窟を見ないと。遊覧船で洞窟の中に入ることができるのだ。


 遊覧船に乗って洞窟へ。入口は結構暗いけど、臆せず突入する。洞窟内部はほとんど距離がないので直ぐに明るくなってくる。


「うわぁ!」


 洞窟の天井から差し込んだ光が海面にぶつかって白く光っている。その周囲は青く澄んだ海の色が広がり、さらにその周囲の光が届かない場所は暗くて見えない。洞窟内の海面に広がる白と青と黒のコントラストが美しい。また、洞窟内に光が差し込んでいる様も目視できて、神秘的な感じがする。


「ト……トモちん!」

「どうしたの?」


 幻想的な光景にみんなが目を奪われている中、ミカンはかなり驚いた表情をしている。何が気になったのか。


「近くに万病に効く薬草が咲いてる?それとも光の中心が聖水になってる?錆びた剣を光の中で掲げると聖剣になるとか!?それともあの中心に飛び込むとワープできる!?何かを投げ入れると底に沈んだ神殿が浮かび上がってくるとか!?ああもうゲームで見た光景が目の前にあるよ~わ~~~~~~~~~」


 おおっとこれは久しぶりのゲームネタ暴走かな。う~ん、でも今回は分かる気がする。暗闇に光が刺す神聖な感じ、ありそうありそう。『実際にあるなら見てみたいゲームで良くある風景』って感じもするしね。ゲーム好きならそりゃあ興奮するよ。


 子供のように目をキラキラと輝かせて幻想的な風景を楽しむミカン。可愛いなぁもう、後でちょっと抱きしめちゃおうっと。


 この後は海越しに富士山を見たり富士山を見たり富士山を見たり横石さんに怒られながらも富士山を見たり富士山を見たり置いてかれそうになって慌てて戻った。これにて今回の下見兼旅行で寄る場所は完了。


 あとは富士宮に戻るだけ。たっぷりはしゃいだからか後ろの席のプラムとシェルフは肩を寄せ合って眠っている。ああ、あの間にわたしが居ればなぁ、はぁはぁ。とか思っていると横石さんに運転に集中しなさいって怒られる。横石さんも眠いだろうに、わたしが退屈しないように話し相手になってくれている。ありがとう。


 戻ったら一休みして、デビュー本番に向けての準備、ラストスパートだね!


堂ヶ島の洞窟は気温や季節によって雰囲気が全然違うので、何度も楽しめるスポット。他にも良い景色は多いけど個人的には玄人向けな気もします。近くに大潮の時の干潮時だけ渡れる小島があるので、そっちの方が観光としては面白いかも。

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