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異世界人の友達と日本を旅しよう  作者: マノイ
2章 伊豆下田「結成」
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19. 下田

「ふわぁぁ、おふろですぅ……」


 ん~、朝……まだ暗いよぉ……4時前……4時……?


『明日、お風呂で朝日を見たい人は頑張って早起きして4時頃にお風呂に行きましょう』


 ……わたしもいくぅ

 のそのそ。ねむぃ……




 お風呂で顔を洗う。うん、スッキリした。露天風呂に行こうか。もうかなり明るくなってきてる。


「おはよう、プラム」

「はい、おはようございます」


 朝風呂に来たのは、わたしとプラムの他に、横石さん、ゆ~ちゃん、すみれさんの3人。横石さんはやっぱり少し離れたところで浸かっているけど動きがシャキッとしているのでしっかりと目が覚めている様子。すみれさんも余裕な表情で日の出を待っている。一方ゆ~ちゃんはかなり眠そう。無理して着いてこなくても良かったのに。お風呂の中で寝ちゃいそう、危ないよ。


「み~ちゃんといっしょが良いの~」


 可愛いやつめ。




「太陽が出てきたぜ」


 ありがたや~、なんてね。

 日の出なんて普段生活してたら見ないのに旅行だと頑張って見に来てしまう不思議。朝風呂に入りながらっていう特別感がなんとなく良いんだよね。朝のひんやりした風を受けながら入る温かいお風呂は、昨日よりも気持ちが良いかも。


「ん~良い旅館だったなぁ」

「全くだな。また来るか」

「うん、そうだね」


 絶対また来よう、そう思えるくらいに温泉も料理もサービスも素晴らしい旅館だったよ。




 と、旅館のお話が終わったかのようなフラグを立てたのに。


「朝ご飯も美味しいいいいい!」

「普通のポテサラに見えるのに、ここまで美味しいなんて」

「またみ~ちゃんの船が来た!朝からこんなにお刺身が出てくるの!?」

「味噌汁がおいしいでござる……」


 まだまだ感動は終わらなかったとさ。


「あれ?そういえば横石さん昨日から全部食べてるけど大丈夫?」

「もちろんですわ。こういう特別な料理はすべていただくわよ。普段から食事は正しく管理できているから一度くらい沢山食べても大丈夫ですわ」

「じゃあ毎日このレベルの料理なら太っちゃうかな」

「その場合はこれが普通になるということですから、途中で食べなくなるわよ」


 あ、そっか。これが毎日続くと特別じゃ無くなっちゃうのか。だとすると美味しい料理はたまに食べるから感動できるのかもね。次はここに連泊だ!とか思ったけど、それは止めておいたほうが良さそうだな。




 とまぁ今度こそすべて終わってチェックアウト。大変満足致しました。みんな来たとき以上に笑顔になってるね。お世話になりました。




 今日こそは目的地下田へ。車に乗る前にゆ~ちゃんからジャンケンで乗る車を決めなおそうっていう提案があって、「なんでよー!」っていう流れを経て直ぐに下田に到着。あの黒いもやが比較的多く集まっている場所へ向かう。


 ちなみに、黒いもやは浄蓮の滝や河津七滝にも居たけど、下田で歌っても距離が離れているためそれらのもやは浄化されない。放置しても問題ないのだけど、見つけたからにはなんとかしたい。そのために利用するのが近くにあるもやを一定量吸い取ってくれる小瓶。最初にこの便利道具の存在を教えて貰った時は、都合の良いモノ持ってるなぁと思ったけど、元々もやの調査のためにこっちの世界に来たんだからその手の道具は持っててもおかしくない。


 でも、これがあるなら別に下田で歌わなくても富士宮に持ち帰って歌えば良いねって旅行前に話をしてたたら、マネージャーさんに止められた。


「絶対にダメです!みなさんの強みを消してどうするんですか!」

「つ、強みですか?」

「そうです!そもそも昨今のアイドル激戦時代、強みのないアイドルは速攻で淘汰されます。そんな中でみなさまが持っている最大の強みが何であるか理解されていますか?」


 強みってつまり他の人は持ってない特徴ってことだよね。すぐに思いつくのはあるけど。


「シェルフたち異世界の人が居るってことですよね」

「違います!確かに彼女たちが居ることは特別ではありますが、それをどれだけの人が信じてくれると思っているのですか!異世界から来たっていう変わった設定を持つキャラクターがいる、キワモノユニットとしか思われません!そしてそういうキャラクター設定をいじっただけで中身の無いユニットなんて長持ちしないんです!」


 マネージャーさん熱い、熱すぎるよ。


「いいですか、みなさんの最大の強みは、『旅するアイドルユニット』という点に尽きます。ご当地アイドルの真逆のコンセプト、良いじゃないですか。色々な企画が出来そうじゃないですか。ファンの方もみなさんを追いかける楽しみ、あるいはその楽しみが一緒に旅する感覚にすら昇華できるかもしれません。ああ、夢が広がります」

「で、でもそれって肝心のファンの方がついてからじゃないと意味が無いですよね?やっぱり富士宮で何度かライブやって沢山の人にファンになっていただかないと」

「不要です」


 わお、バッサリ。


「御影様はご自分の価値を認識できていません。あの弓弦とのライブの後、御影様のアイドルデビューを要望する問い合わせをどれだけ頂いたと思いますか。仮に今、普通にユニット結成の発表をしてライブを行うとしたら、富士宮で実施できるライブハウスはございません。少なくとも1万人規模の会場が必要です。それほどまでに御影様の存在は世間を騒がせているのです。そこにですよ、キレイどころがあんなに揃ったユニットを結成するですって?富士宮でライブなんか開催したらチケットが取れずに暴動が起きますよ。それとも初ライブを『ふもとっぱら』でやりますか?それはそれで伝説になるから面白そうですけど」


 なんか勢いに飲まれた感じもあるけど、なんとなく今の状況が分かった気がする。仕方ないのでライブのマネジメントについてはマネージャーさんにお願いすることにした。


 てなわけで、今回は下田で歌うことが決まっている。これからその歌う場所の下見に行く予定。




『下田公園』

 下田城の跡地で小高い丘になっている公園。園内は数多くの紫陽花が植えられていて、6月になると紫陽花祭りが開催されて観光客で賑わう。下田市街地や海側を一望できる眺めの良い場所も多い。海側の入り江には下田海中水族館があってイルカやアシカと遊ぶことができる。時間があれば水族館にも行ってみたいな。


「ここが目的地でござるか。確かに他の場所よりもアレが多いでござるな」

「園内を一通り周って集めちゃおー」


 駐車場からいきなりかなりの傾斜の坂になってる。これは、結構、足腰に、来るね。

 肝心の紫陽花はまだほとんど咲いてない。紫陽花祭りの開催時期には見ごろになっているらしい。ちなみにこの紫陽花祭りのシークレットゲストという形で歌うことになっている。地元の穏やかなイベントを壊さないように、今回は宣伝はしないとのこと。気楽にできるけど勿体ないような気がするな。


 展望台からの景色を堪能したり、満開になった紫陽花を想像したり、自分たちが歌う広場を確認したり、他愛もない話をしながらみんなで園内を一通り周る。


 紫陽花の群生地を抜けたところで、4歳くらいの小さな女の子が前からトテトテと走ってきた。わたしたちの目の前で止まるとくるりと後ろを振り返る。


「おね~ちゃ~ん!こっちこっち~!」


 地元の子かな。ピョンピョン跳ねながら後ろから来るお姉ちゃんを呼ぶ姿が可愛らしい。何気なくお姉ちゃんの方を見たらちょっとびっくり。わたしよりも少し歳が下っぽい背が低めの可愛らしい瓜二つの双子だった。二人は手を繋ぎながら女の子の元へ歩いて来る。サラサラと風になびく綺麗な髪がとても印象的。その上で雰囲気にどこか儚さが感じられるところが神秘的。絵に描いたら映えそうだな。


 そんな印象を感じながら、女の子に追いついた『お姉ちゃんたち』とすれ違おうと歩き出したその時。


「どうしてここに妖精族がいるでござるか?」




 え?

強みうんぬんはノリで書いただけで適当です。下田公園の紫陽花は綺麗なのでおすすめですよ。東京からなら踊り子号で行けますし、空いてる。

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