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異世界人の友達と日本を旅しよう  作者: マノイ
2章 伊豆下田「結成」
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12. 出発(新富士ICから第二東名へ)

「ん~いい天気」


 6月初旬。梅雨入り直前でまだ青空の多いお天気。伊豆に向かって出発だ。今日の富士山には左側に少しだけ雲がかかっている。きっと行ってらっしゃいって言ってくれてるんだよね。少しの間だけお別れだね、なんか寂しいな。


「さて、荷物を車に積み込むわよ」

「どっちの車に載せれば良いのー?」

「もちろんそれはコレで決めるわよ」


 横石さんが拳を高々と掲げる。なるほど、お約束のアレだよね。


「おっ、リアルファイトか?俺も混ぜてくれよ?」

「ちょっとすみれさん物騒ですわ!」

「はははっ冗談冗談。朋の車の方がでかいから俺の荷物はそっちに載せてもらって良いか?」

「ええ、問題ないですわ」


 すみれさんは単車で行くから大きな荷物は車に載せることになっている。わたしの車は大きなワゴン車で、根古ちゃんの車は普通の乗用車。


「それじゃあみなさま、準備はよろしいかしら。『誰が御影朋の車に乗るのか』を決めるわよ」


 ……ん?誰がどっちの車に乗るのかを決めるんじゃないの?みんな何も違和感なく臨戦態勢に入ってるけど。


「ちょっと横石さん、流石にそれは根古ちゃんにしつれ……ってなんで根古ちゃんも混ざってるのよ!」


 しれっと拳を掲げてるんだけど、根古ちゃんは運転手でしょうが。


「申し訳ございませんでした。御影様のお車に乗せて頂けると思ったら自然と手が……」

「そんなにわたしの車に乗りたいの!?」

「はい、喜んで!」

「それ使い方違うから!」


 そんなに乗りたいなら別にいつでも乗せてあげるんだけど。


「正直に申し上げますと、皆様が御影様のお車に乗りたいと感じるのは当然のことでございますので、お気になさらないで下さい」

「みんなそんなにわたしの車に乗りたいの?」


 猛スピードで頷く全員。怖っ!だったら窮屈でもわたしの車に全員で乗れば良いのに。


「さあ、そろそろはじめるわよ。一回勝負、恨みっこなしですわ。一番勝った人から順に座る場所も決められる。御影朋の車には最大3名まで。いいわね」

「絶対に勝って助手席に乗るのよ弓弦。勝つのよ。勝つのよ。勝つのよ」

「どっちでも良いけど、トモちんと一緒の方が楽しそうなんだよねー」

「落ち着ける方が良いです。トモさんの方が付き合いが長いので……」

「朋殿がそばに居ないとスマホばかり見てしまいそうでござる」


 なんでこんなにもわたしは慕われてるんだろう。何も特別なことやってないんだけどな。不思議でならないよ。


「じゃーんけーん……!」




「なんでよー!」


 わたしの車は助手席が横石さん、後ろがミカンとシェルフ。根古ちゃんの車はゆ~ちゃんとプラム。悲しいことに比較的希望が強かった2人が負けた形になったね。ちょっと心配だけど大丈夫かな。


「ちょっと玲菜、あんた何かズルしたでしょ!なんで助手席勝ち取れてるのよ!」

「ズルとは失礼ですわ。正々堂々と勝負して勝ったところを皆さんご覧になっていたではありませんか」


 横石さんってジャンケン強いんだよね。わたしもかなりの確率で負けるもん。何かコツでもあるのかなぁ。


「もぉ~悔しい悔しい悔しい~!」

「さあ、少し時間がかかりすぎましたわ。さっさと車に荷物を積みましょう」

「ふんだ、ほらちっこいの、弓弦たちも荷物乗せるわよ」

「は、はい」


 ゆ~ちゃんがプラムを引っ張ってくれている。根古ちゃんも話しやすい人だし、プラムにとって仲良くなる良い機会かもしれないね。




 そんなこんなでみんなで旅行開始だ!


 まずは車で第二東名を通って伊豆方面へ向かう。ミカンたちを乗せて高速道路を走るのは初めてだね。ちなみに高速道路の説明は一切していない。どんな反応するかなぁ。


 西富士道路(国道139号線)を通って新富士ICへ。入り口を通過したら徐々に加速して本線へ合流。流石に運転慣れてないから合流は少しドキドキするね。さあ、アクセル踏むよ!


「あ、あの朋殿、スピードが出すぎているようでござるが……」

「はやいなー気持ち良いー!」


 シェルフは怖がってミカンは楽しんでる。反応が別れたね。まだまだ加速するよー


「は、速すぎるでござる!」

「いけいけー!」

「シェルフはスマホ見てれば気が紛れるんじゃない?」


 流石に怖がりすぎて可哀想なのでスマホを勧めてあげた。夢中になってれば気にならないでしょ。


「む、無理でござる。体が固まって動かないでござる」


 う~ん、どうしようかな。このままだと可哀想だよね。


「御影朋はしばらく運転に集中してなさいな。教習以外ではじめて高速道路運転するんでしょ。まずは慣れなさい。シェルフはわたしとお話でもしましょうか。向こうの世界では早く移動する魔法とか無かったの?」


 お、助かる。実はちょっと緊張してるんだよね。


「な、無いでござる。昔から色々と研究はされていたでござるが、成功したっていう話は聞いたことが無いでござる」

「どんな研究をしていたのかしら」

「馬車の馬に力を向上させる魔法をかけてひっぱってもらうとか、小さな箱に入ってそれを強風で吹き飛ばすとか、無茶苦茶な話しか聞いたことがないでござる」

「ふふふっ、何よそれ。もう少しマシなアイデアは無かったのかしら」

「私が向こうに居た頃は転移魔法がブームだったから、移動関係の魔法を真面目に研究する人はあんまり居なかったでござる」

「え?何その魔法?すごい便利そうなんだけど」

「もちろん便利でござるが、難しい魔法なので使える人があんまり居なかったでござる」


 向こうの世界の話になったからか、シェルフが落ち着いてきたみたい。さっすが横石さん。というか、転移魔法の話わたしも気になるんですけどー




「そういえばすみれさんは着いてきてる?」

「いいえ、結構前に先に行きましたわ」

「あれ?そうだっけ?気付かなかったなぁ」


 すみれさんは走り慣れてるだろうからね。自分のペースで進めてるようなら良かった。移動中もすみれさんと会話できると良いんだけどなぁ。


「じゃあ根古ちゃんの車は……後ろにいるね」

「向こうの車のことが心配かしら」


 あまり無い組み合わせだからね。気まずい空間になっちゃったらどうしよう、とはちょっと思ってる。


「弓弦がいるから大丈夫でしょ。あの子を信じなさい」

「横石さんってゆ~ちゃんと仲良いよね」

「あら、妬いてくれるのかしら」


 2人を見てると心がつながってるなぁって感じがして少し羨ましいんだよね。横石さんとあんな感じでじゃれあいたいような、でもその姿を想像すると恥ずかしいような……


「うん、少しだけ妬いちゃってるかも、な」

「そ……そう……!?」


 なんてね、って誤魔化そうと思ったら、慌てた感じの返答で遮られちゃった。声が裏返ってたね。横石さんどんな顔してるんだろう。見たいよー


「ま、まぁ話を戻しますわ。弓弦と根古とプラムは相性がかなり良いと思うわ」

「そうなの?あの3人で話をしているの見たこと無いけどなぁ」

「そりゃあ弓弦があんたにベッタベタだからよ。あの子はアイドルだけあって相手の期待に応えようとする力がすごいわ。プラムは誰かに引っ張られたいタイプだから、弓弦がその性格を汲んで絡みまくってるでしょうね。そこに対人関係の得意な根古が間に入って、プラムが一方的に振り回されない空気感になるよう会話の流れを調整しているでしょうね。弓弦はアイドルとして他人を導くのが大好きで、根古は場を整えることが大好きで、プラムは心地良い流れに身を任せるのが大好き。ほら、相性良いでしょ」


 横石さんって本当にみんなのことちゃんと見てるんだなぁ。それぞれの性格については何となく理解していたけど、一緒になった時どうなるかなんて全く想像できなかったもん。


「わたしたちも相性良いのかな?」

「わたしたちっ……あ、そ、そうね、良いんじゃないかしら」


 あれ?何で今度も声が裏返ったんだろう。 


長くなりそうなので分割。一応次の話とセットで一つの話です。(内容にほとんどつながりは無いですが)

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