表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界人の友達と日本を旅しよう  作者: マノイ
2章 上高地・黒部立山「生きる」
288/466

20. 電車とバスと

「空いてきたね」

「座れるでござる」


 松本駅を出発して数駅、満席だった車内は空席が目立つようになってわたしたち全員が座れるようになった。パステルちゃんは先頭車両に張り付いて進行方向を見てるけどね。シャモアちゃんは席が空いたら我先にと座ってうたた寝してる。さっきまでたっぷり怒られていたとは思えないくらい幸せそうな寝顔だ。


「うふふ……熊さん……背中は……届かないでしょ」


 危険な夢を見ている気がするぞ。この寝言聞いてシェルフがビクって反応してる。なるほど、変なこと教えたのはキミですね。


「パステルちゃんに怒られるよ?」

「な、な、な、なんのことでごじゃるか!?」


 詳しくは聞かないけど、せいぜい怯えるが良い。ふははは。


 ……念のため、上高地に着いたら熊と出会った時の対処法をみんなで相談しておこうかな。


 他のみんなは近くに座ってる。


「無人駅だ~」

「あら、本当ね。さっきまで住宅街の近くを走っていたと思っていたけれど、いつの間にか閑散とした田園風景が増えてきたのね」


 駅舎が無くてホームしかない無人駅。降りるときに車掌さんに切符を渡すか、最近ではICカードの機械だけ置いてあるからホームに降りてからそこにタッチするんだ。


「なんとなく似てなくは無いわね」

「無人駅もあるもんね」


 玲菜とゆ~ちゃんが言ってるのは、富士宮にあるあの路線のことだ。主に住宅街を走るその電車は、ときおり田畑の脇を通る。確かに車窓から見る風景は近しいものがあるかもしれない。


「源道寺が使い慣れてるから、無人駅も特別に感じないんだよね」


 使い慣れてるって言っても、基本的に車で移動するから使った回数は少ないけどね。わたしの家からは富士根駅や源道寺駅が近いから、自転車で源道寺駅まで移動してそこから電車に乗ることが昔はあった。源道寺駅はホームしかない無人駅だから、地方で同じような駅を見かけてもレア感は無いんだ。山の中とか海の近くとかポスターになりそうなほど特徴的なところはまた別だけど。


「身延線も、西富士宮駅から先はまた風景がガラっと変わるんだけどね」

「ちょっと弓弦!」


「……なあに?」


 どうしたの、2人ともわたしをチラチラ見て気にするそぶりなんかしちゃって。それにしても変なこと言ってるなぁ。あの路線は富士駅と西富士宮駅を電車が往復する路線だよね。


「はぁ……ほら、落ち着きなさい」

「ごめんね、ゆ~ちゃん」


 2人がわたしに体を寄せてきて、玲菜は手を握り、ゆ~ちゃんは肩を抱いてきた。


「もう、2人ともどうしたのよ」


 イチャイチャできて嬉しいけどさぁ。流石に人目を気にするよ。


「良いからじっとしてなさい」

「ゆっくり息を吐いて、外の景色でも見ていようね」


 う~ん、なんか良く分からないけど、2人の言うこと聞いておこうかな。




「次が終点の『新島々』ね」

「上高地に行く以外の人も乗ってるでござるな」


 明らかに地元民って感じの人が何人か乗っている。観光地用途以外にもちゃんと使われてる駅なんだね。


「駅に着いたら上高地行きのバスが止まってるわ。それに乗りましょう」


 途中にあった無人駅と比べると遥かに大きいロータリーに小型バスが止まっていた。駅前で想い出の写真を何枚か撮ってから乗車しよう。


「このまま上高地まで直通なの?」

「いいえ、何か所か止まるらしいわ」


 ということはこのバスも地元の人が活用してるのかな。今日は観光客だけみたいだけど。


「上高地はマイカー規制がかかってるんだよね」

「ええ、上高地公園線って呼ばれる区域は自家用車で乗り入れることが出来ないわ」

「富士山みたいでござるな」


 富士山は夏場にマイカー規制がかかるからね。


「少し違うわ。こっちは1年中マイカー規制がかかるもの」

「じゃあ弓弦たちが5月とか6月に来てもダメなんだ」

「徹底してるでござるな」


 混雑緩和とか、自然に配慮してとか、そういう理由なのかな。


「車で旅行に来る人はどうするの~?」

「さわんどバスターミナルっていうところがあるから、そこに車を置いてバスで移動するのよ」

「あれ?それじゃあわたしたちもそれで良かったんじゃ」

「電車に乗ってみたいかと思ってこっちのルートにしたのよ」


 なるほど。パステルちゃんも喜んでたし、こっちの方が旅してる感が強くて良かったかも。さすが最強幹事だ。


 坂巻温泉、中の湯と停留所を通過して、上高地公園線に突入する。どんどん坂を登り、窓の外は緑でいっぱいだ。


「あ、次で降りるわよ」

「え?バスターミナルまで行かないの?」


 上高地のバスターミナルで降りるのかと思ってたけど、ちょっと前で降りるんだ。


「大正池、でござるか」

「そう、ここが一番手前の観光スポットなのよ。ここから奥地まで1日かけて歩いて宿まで戻ってくる予定よ。た~っぷり歩くから覚悟するのね」


 うわぁ、こわ~い。なんて思うほど軟弱なメンバーはいない。スタミナお化けと呼ばれるほどのスタミナ特化型アイドルであるわたしたちが数時間歩いた程度でへばるわけが無いのですよ。


「涼しいと良いんだがなぁ」


 すみれさんの言う通りだ。避暑で来てるんだから涼しく無いと困るよ。暑いなか延々と歩くのだけは避けたいところ。


 さあ、バスを降り……


「涼しい!」

「心地良いでござる!」

「うふふ、最高の気分よ!」


 みんなあまりの快適さにバスから降りてはしゃぎまわってる。うんうん、ここ数日、灼熱の日々で本当に辛かったからねぇ。


 これは最高の避暑旅行になりそうだ。

身延線はもちろん西富士宮駅より先がありますよ。富士駅と西富士宮駅の間の本数は特別多いですがね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ