表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界人の友達と日本を旅しよう  作者: マノイ
2章 上高地・黒部立山「生きる」
287/466

19. いざ上高地へ

「よーし、行くぞ!」


 松本駅近くのビジネスホテルで一泊した翌朝。今日はついに本格的に上高地に向かう予定だ。


「流石に平日朝は人が多いでござるな」


 通勤、通学の時間だからか、松本駅はそれなりに賑わっている。もちろん東京の通勤ラッシュ程では無いけどね。


「邪魔にならないように移動しましょう」


 明らかにこれから遊びに行きますって感じの服装だから、これから仕事で大変そうな人々の精神的な負担にならないようにひっそりと移動するのだ。と思ってはいたけど……


「え?もしかして?」


 そりゃあバレるか。軽く手を振ってみる。フリフリ。


「きゃあああああああああ!」


 っておいおい、そんな大声出したらみんなに注目され……ちゃった!


「撤退!」


 危ない危ない、松本駅がパニックになるところだった。一旦ホテルに戻ってほとぼりが冷めるのを待とう。


「今度は軽く会釈する程度にしておきなさいよ」

「は~い」


 ちょっと遊び心でちゃったんだけど、まずかったかな。次は相手が落ち着いたのを見てから何かやろうっと。


「ということで、再度出発!」


 今度は何事もなく改札を通過し、ホームへ移動する。


「アルピコ交通上高地線だよね」

「アルピコ~」

「ピコピコ~」


 風変わりな名前だけど、ちゃんとした会社の名前なんだってさ。


 上高地線の専用ホームに到着すると、真っ白な2両の電車がすでに止まっていた。


「写真を撮ってきます」

「いてら~」


 ねこにゃんが首からぶら下げている一眼レフカメラを手に先頭車両の方へ向かって行った。同じ目的の人も居るみたいで、三脚立てて撮っているのが見える。


「私も行く~」

「行く行く~」


 パステルミカンのコンビも小走りにかけてゆく。パステルちゃんは乗り物好きだからね。最近は新しい乗り物に乗ったこと無かったから興味津々だ。


「あら、結構混んでるわね」

「ほんとだ、座れないね」


 上高地線という名前の通り、上高地へ向かう観光客が使う電車なんだけど、地元の人も使っているみたい。座席は主に学生で埋まってた。


「おいおい、騒ぎにならねぇか?」

「そうね、もっとずらした方が良いかしら」

「大丈夫大丈夫、弓弦たちのファンに夢を見せてあげようよ」


 意見が分かれた。さっきの騒ぎ未遂を考えると退いた方が良さそうだけど、一緒の電車に乗ったっていう記念に思ってくれるならそれはそれで嬉しいんだよね。


「あらあら、乗ってから考えれば良いのよ」

「おお、珍しくシャモアちゃんがまともなことを」

「うふふ、珍しく、は余計だよ」


 そうだよね、騒ぎになったら降りれば良いだけだし、チャレンジあるのみだ。


「それじゃあ乗って……ってあれ、なんか可愛い女の子がいる」

「可愛い……?」

「女の子……?」


 って怖い怖い。玲菜とゆ~ちゃんの目が澱んでるよ。

 別に可愛い女の子を見たって良いじゃん。それに今回は女の子って言っても……


「ほら、そこの壁に貼ってある紙のことだよ」


 駅のキャラクターか何かなのかな。駅員さんの格好をした女の子が描かれたポスターが貼られていた。


渕東(えんどう)なぎさだね」

「ゆ~ちゃん知ってるの?」

「うん、有名な声優さんが声当ててるんだよ」

「え?声優さん?」


 イメージキャラクターを作ることって良くあるけど、声優さんを割り当ててるってのはかなり本気でアピールしたいってことだよね。


「業界が近いから、この手の話は耳に入るんだ。確かラッピング電車も走ってるはずだよ」

「へぇ~アナウンスとか流れるのかな」

「そうみたいだね」


 わたしたちが乗ろうとしている電車は特にラッピング感は無いから普通の電車かな。狙って乗れば良かったかな。


「あれ?何か騒がしい?」


 ポスターを見ながら話をしていたら背後で何かざわざわしている様子。振り返ってみると電車の中で人だかりが出来ている。


「あちゃーもしかして誰か見つかっちゃったのかな」

「一旦外に出ましょうか」


 囲まれている誰かを救出しに行かないと。


 と、思ったんだけど……


「シャモアちゃん、なに、してるの?」


 女子高生のひざの上に座りながらお菓子をパクパク食べているシャモアちゃん。囲っているみんながお菓子をどんどん差し出し、笑顔のシャモアちゃんは次から次へと口に入れてハムスターみたいになってる。


 餌付け?


 混乱しないように気をつけてたのに、何やってるのよ。


「おほほ、ほもはん、ひんはやはひいよ」

「何言ってるか分からないよ」


 わたしたちが車両の中に入ってきて更に大混乱に……とはならなかった。わたしのシャモアちゃんに対する口調や雰囲気がやや尖っていたのに加え、ドス黒いオーラを纏ったラスボスがやってきたからだ。


「……お……ね……え……ち……ゃ……ん?」


 うわあああああ、笑顔なのに目が笑ってない。怖いっ!

 これまで何度かパステルちゃん怒ったことあるけど、今回が一番怖いかも。笑顔見たら背筋がぞぞってしたもん。


 そしてその恐ろしさを目の当たりにした乗客の人たちは恐る恐る自分の席に戻った。


 あ、スマホ出してる。多分この状況が一気に拡散されるんだろうなぁ。

 パステルちゃんの激怒シーンは、わたしたちは良く見るけど、みんなにとってはレアだからね。


「ほ……ほの……はふへふ?」


 にっこりと笑うパステルちゃんを見て口の中の食べ物を飲み込むのも忘れて青ざめるシャモアちゃん。面白いからこのまま見ていたいところではあるんだけど、流石に今回は止めないと。だって……


「パステルちゃん、どうどう。ほら、怖がっちゃってるよ」


 シャモアちゃんを膝の上に乗せている女子高生が、泡でも吹きそうな表情で気絶寸前だった。


「ご……ごめんなさいっ!」


 それを見て我に返ったパステルちゃんは、慌ててシャモアちゃんの首を片手で前から掴み、持ち上げて電車の外に連れて出た。


「ぐ……ぐるじい」


 後日、何故か双子の人気が急上昇した。解せぬ。


ノリで書いてたら話が全く進まなかった。

首根っこを掴むのではなくてノド輪をするパステルちゃんマジバイオレンス。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ