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異世界人の友達と日本を旅しよう  作者: マノイ
2章 上高地・黒部立山「生きる」
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14. お弁当

 心配だ。

 とてつもなく心配だ。


 どうしてあの時、くじで決めようなんて言ってしまったのだろうか。

 こうなる危険性に、どうして気付けなかったのだろうか。


「やっぱり今からでも変更した方が良いと思うわ」

「うん、そう思うんだけどね……」


 言えない。

 わたしからは何も言えないよ。


 あんなに楽しそうにしている2人を見て、止めることなんて出来ないよ。


「せめてパステル様がいらっしゃれば良かったのですが……」


 パステルちゃんは夏のとあるイベントの準備で忙しくて、今日は下田で衣装づくりの真っ最中。ライブの衣装づくりもあってスケジュールがきつきつなので時間をもらうのは申し訳ない。なのでわたしたちがちゃんと監視してストッパーにならなきゃダメなんだけど……


「み~ちゃん、ここから先は入っちゃダメって言ったよね?」


 ゆ~ちゃんがキッチンの扉を開けさせてくれない。

 わたしの家なのにわたしが入れないのはおかしいと思うんだ、うん。

 そうだ、何か飲みたいって言えば入れるかな。冷蔵庫はキッチンにしか無いし。


「ゆ~ちゃん、麦茶飲みた」

「はい、どうぞ」


 うぐぐ、扉の隙間からコップを渡されたよ。

 キンキンに冷えてて美味しいなぁ。


 じゃなくて!


「いいね!入れてみよう!」

「うふふ」


「「あっ!」」


 今の驚きは何!?


「もうだめ、やっぱり気になる、ゆ~ちゃ」

「あ、み~ちゃん。これ買って来てくれないかな」

「へ?」


 意を決して扉を開けて中に突入しようと思ったその時、逆にゆ~ちゃんが扉を開けてわたしが手に持っていた空のコップを回収し、代わりにメモを渡してきた。


「お願いね」


 アイドルウインクを投げかけてくるゆ~ちゃんに、わたしは何も言うことが出来なかった。




「私はもう知らないわよ」

「そんなこと言わないでよ~」

「万が一を考えた方がよろしいのでしょうか」


 玲菜とねこにゃんと一緒に頼まれた材料の買い出しへ向かったわたしたち。リストの内容からイオンに行かなくても揃いそうな普通の食材ばかりだったので、近場のスーパーへと向かった。


「もし代わりのものを準備したら、あの2人が悲しむんじゃないかって思うんだよね」

「大丈夫よ、あの2人はそういうタイプじゃないわ」

「悩ましいですね」


 確かにシャモアちゃんは凹んでもいつものポンコツオチになりそうだし、ゆ~ちゃんだって『なんでよー!』って叫ぶいつものオチで終わりそう。


「でもそんなこと言って、どんだけおいしくなくても玲菜全部食べるでしょ」

「そ、そそ、そんなことは……」

「ふふ、流石ですね御影様。横石様のことを良くご理解されていらっしゃるご様子で」

「もちろんよ」


 悪ふざけが好きなシャモアちゃんと、面白そうならノッてしまいそうなゆ~ちゃんのコンビが作るお弁当。不安になるのは当然だし、きっと何かしら失敗するんだろうけど、それをちゃんと受け止めて笑って流してあげたい気持ちも、もちろんある。


 あるんだけど、だからといって心配にならないわけが無いんだよー!


「もうっ、そうよ。食べるわよ。食べないわけないじゃない」

「ごめんごめん、怒んないでよ~」

「店内でイチャイチャするのはどうかと思いますよ」


 玲菜のほっぺをツンツンしてたらねこにゃんにバカップルぶりを指摘されてしまった。大丈夫、いつものことだから。ほら、みんな微笑ましそうな顔で見守ってくれてるよ。恥なんてもう忘れたのさ。


「さ、さあ買いに行こう」

「あんたが真っ赤になってどうすんのよ」


 繰り返す、恥なんてもう忘れたのさっ


「それにしても、不思議なリストでございますね」


 ひき肉、玉ねぎ、レタス、マカロニ、黒酢、カレールウ、鶏もも肉、鮭切り身……


「色々と作れそうなんだけど、何種類作るつもりなんだろう」

「そもそも、彼女たちは何が作れるのかしら」

「カレー以外の料理を食べた覚えはございませんね」


 カレーだけは持ち回りで作ってるから全員作れるんだけど、それ以外に料理らしい料理を作ってもらったことは無かった気がする。 2人とも食べ専だからね。


「それに、最後の方に書いてあるお菓子は、もちろんそのまま食べるんだよね」


 買い物リストの最後に何種類かお菓子が書いてある。おやつだと思うんだけど、シャモアちゃんならお遊びで変なことやりかねないんだよね。


「もしかしたら、フェイクを入れてあるかもしれないわね」

「フェイク?」

「ええ、必要ない食材を敢えて入れることで、何を作ろうとしているのか分からなくしているのかもしれないわ」

「だとすると、ゆ~ちゃんか」


 シャモアちゃんがこういう知恵を働かせるとは思えないし、思い付いたとしても露骨なやり方でバレバレなはず。


「もしそうだとすると、お弁当の定番のハンバーグを作りそうってのはフェイクかなぁ」

「ひき肉と玉ねぎのどちらかが本当なのかもしれないわね」

「ふふ、考えても仕方が無いことだと思いますよ」


 ま、そうなんだけどね。

 なんだかんだ言って買い物しながら楽しんでるだけだったりする。


「あれ、フェイクが混じってるとして、お菓子はそのまま食べるで良いんだよね」

「お菓子で何か遊ぼうとしていることがバレると考えた可能性もあるわ」

「だからフェイク入れて分からなくしたってこと?」

「想像ですわ」


 どれが本当でどれがフェイクか。そもそもフェイクが混じっているかも分かってないのに色々と想像を巡らせながらお買い物。


「あ、果物買ってこうよ。デザートに」

「良いわね。最近ここで買ったスイカが甘くて美味しかったのよ。まだ残ってると良いのだけど」

「くじ引きした後、パステルちゃんがデザートも欲しいって言ってたもんね」

「そういえば仰られてましたね」


 あま~いスイカは売ってるか~い、なんてね。


「そういうことだったのね」


 鼻歌でも出ちゃいそうな気分で果物コーナーに歩いていたら、玲菜が何かに気付いてスッキリした顔をしていた。


「安心して良いわ」

「何が?」

「お弁当のことよ」

「どうして?」


「きっと、パステルが2人にアドバイスしているからよ」


パステルちゃんがシャモアちゃんを放置するわけがないです。

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