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異世界人の友達と日本を旅しよう  作者: マノイ
2章 上高地・黒部立山「生きる」
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4. 蓬莱橋

「しばらく旅行は止める?」

「ああ」


 隠岐諸島への旅が終わり、ゴールデンウィークをまったり自宅で消化したりお祭りに行ったりして過ごした後の初回の練習日、すみれさんが突然話を切り出した。


「実は今、作りたい曲があるんだが、かなり難しそうなので集中して作りたいんだ」

「へぇ~どんな曲?」

「おいおい、作る前から聞くなっての。まだ秘密だ」


 これまでみんなで協力して何曲も作ってきたけど、すみれさんがこんなこと言うなんて珍しい。直感を大事にするタイプで、いつもかなり早く形にしてくれるんだよね。


「ま、というわけで長期間別のことをやる余裕が無いんだ。5月のライブは練習も本番もちゃんとやるから安心しろ」

「りょ~かい」


 ちなみにライブは旅行先以外でも、もちろんやっている。5月のライブは『カラフル@すくらんぶる』の通常ライブだ。隠岐諸島への旅行前後も含めてちゃんと準備してきたんだよ。


 通常ライブは年に何回か全国大都市で開催している。地方にも行きたいんだけど会場のキャパがね……


「あと、作曲関連で誰かしら確保してるかもしれねぇから。用事が被ったらすまんな」

「ううん、気にしないで作曲に集中して。すみれさんがそこまで気合入れて準備する曲、すごい興味があるもん」

「おう、全力で期待しな」

「格好良い~」


 てな感じで、すみれさんはしばらく引きこもりモードだ。といっても外で考えることが多いから『作曲空間への引きこもり』が正しい表現かな。




「それじゃあねこにゃん、運転お願いね」

「はい、喜んで!」

「う~ん、普通の使い方のはずなのに不穏に感じるね、それ」


 5月のライブは大成功に終わった。

 けど、わたしが足を、玲菜が腕を怪我してしまったんだ。

 どっちも軽症で1週間も経てば完治するレベルなんだけど、運転するのは良くないからねこにゃんにお願いした。


 今日は日帰りの静岡県プチ観光。


 東名高速道路に富士インターチェンジから乗って西側に向かう。


「もうシェルフは早い乗り物怖がらないね」

「慣れたでござる」

「怖くなくて物足りない?」

「……そうでござる」


 やっぱり怖いの楽しんでたんだ!


「今度また遊園地に……そういえば」

「どうしたでござるか?」

「う~ん……まだ秘密!」


 最近テレビで見たアレに行ってみようかな。

 ふふふ、まだ秘密にしてようっと。


「いつも運転してるから、シェルフが隣にいるの新鮮だなぁ」

「私をどうするでござるか!?」

「ぐへへ、逃げ場は無いでござるよ」


 なんてしょうもないやりとりでキャッキャしながら車は進むよどこまでも。

 ちなみに仁義なきランダムくじで席を決めたから、玲菜とゆ~ちゃんとは席がバラバラに分かれてしまった。たまにはこういうのも新鮮で良いと思うけどね。


 東名高速道路の吉田インターチェンジで降りたら左に曲がり、県道35号線を北上。大井川を渡り切ったらすぐに左折すると目的地に到着だ。


『蓬莱橋』

 静岡県島田市にある大井川に架けられた木造の橋。世界最長の木造歩道橋としてギネスブックに登録されているんだって。全長が900メートル弱もあるから向こう岸がかなり遠くに見える。昔は原付も走ることができたけど、今は徒歩と自転車専用道路だ。


「ううん……長い」

「木造ってだけでレア感が増すように感じられるのって弓弦だけかな」

「私はノスタルジーを感じるわ」


 近くで見ると古いって感じはそんなにしないんだけどね。


「というか、むしろ木造の橋なんてシェルフたちは見慣れてるんじゃない?」


 ちなみに、今日はシェルフ、ミカン、パステルちゃん、玲菜、ゆ~ちゃん、ねこにゃんとわたしで観光に来ている。プラムはすみれさんと一緒で、シャモアちゃんは何かやらかしたらしく、自室謹慎中。


「木造の橋はすぐ壊れるから、一時的にしか使われなかったでござる」

「ということはほとんど石橋?」

「そうでござる」

「じゃあここの橋は珍しいんだね」

「……どうして……無事なの?」

「台風で流されないの~?」


 異世界組がこの木造橋が現存していることについて不思議に思ってるね。

 ふふふ、わたしも分からない。


「何度も壊れてるわよ。そのたびに修理してるのよ」


 そしていつもの玲菜お母さんの知恵袋がさく裂だ。

 なるほど、毎回修理してるのか。大変だぁ。


「それだけこの橋が重要だったってことよ。これだけ大きな川を渡るのは一苦労だもの」

「今はもう近くに大きな橋が出来てるし、観光用に残ってるだけかな」

「そんなこと無いんじゃない?」

「ゆ~ちゃんどうして分かるの?」

「ここ、定期があるみたい。学生の通学路になってるんじゃないかな」


 うわ、ほんとだ。入口の建物に定期って書いてある。


「というか、ここって通行料取るんだね」

「100円か……観光地なのに安いなぁ」

「子供は10円~」

「逆に払いにくそうね」


 それだけ地元の人も使う橋ってことなんだろうなぁ。

 良く壊れるなら観光客向けだけは500円くらい取れば良いのにって思うけどね。


「それじゃあ渡りましょう」


 橋幅は広いから自転車同士でも簡単にすれ違えそうだ。でも手すりが低いから落ちそうな不安があるなぁ。雨の日に、危険な傘さし運転をする学生が落ちたりしないのかな。


 大井川は水量たっぷり、とはならずに河原の部分が広い。

 橋の向こう側は木々が多く、森の中に進んで行くような感覚だ。

 強めの風が吹いてきて、帽子を被っていたら飛ばされそう。


「気持ち良い~」

「良い~」


 ミカンとパステルちゃんが仲良く駆けて行く。気持ちはわかるかな。周りに何も無いから解放感があるんだ。


「御影様、足の怪我は大丈夫でございますか?」

「大丈夫だって、気にしないで」

「横石様の腕の怪我は……」

「私も大丈夫よ。何度もしつこいわね」

「お二方の安全を守るのも私の役目でございますので」


 これ、誰かに何か吹き込まれたのかな?

 というより、『2人のことお願いね』くらいに軽く言われたのを拡大解釈してるのかも。

 ねこにゃんならありえる。


 まぁ、心配してくれるのは悪い気はしないけどね。

 トイレまで入って甲斐甲斐しく世話しようとしたら怒るけど。


観光客も地元の人も居て賑わってます。

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