1. プロローグ
『シャモア選手がまたしてもボールを奪ったあああああ!相手陣内に勢いよくドリブルで侵入する!』
「ほらほら、かかってきなよ」
『おおっと、これはどうしたことか、アメリカの選手が全くボールを取りに来ない!』
「あれ?もう諦めちゃったの?」
『このままシャモア選手のドリブル突破を許してしまうのか!いやっ、これはなんということでしょう!アメリカの選手が縦一列に並んだあっ!』
「あははは、面白いこと考えるね」
『小島さん、これは一体どういうことでしょうか』
『おそらくシャモア選手の強烈なシュートを防ぐために壁を作っているのでしょう』
『ですが、少し横にずれてシュートすれば良いだけですから意味がないでしょう』
『ええ、ですからこれはシャモア選手への挑戦状ですね。得意のシュートでこの壁を破って見せろ、と』
「ふふん、良いよ。ご期待に応えてあ・げ・る」
『シャモア選手右足を大きく振りかぶったあああああ!』
『右足に電流がまとってます。あのシュートが来ますよ!』
「いっけええええええええええええええええ!」
『きたああああ!シャモア選手の必殺イナズマシューーーーット!』
『うわああああああああ!』
『縦一列に並んだアメリカの選手が次々と吹き飛ばされるぅ!そしてゴールキーパーも弾き飛ばし、ゴオオオオオオオオオオオオル!』
「いえーーい!」
『シャモア選手、これでワールドカップ全試合2桁得点達成です!最早サッカー界の生きる伝説だあああああ!』
「……余裕……余裕……むにゃむにゃ」
朝ご飯が出来たのでお姉ちゃんを起こしに来たんだけど、両手両足をベッドから投げ出して気持ち良さそうに寝てる。パジャマの上着がめくれてお腹が出てるから、冷えてトイレに籠る1日にならないか心配だよ。
部屋の中はお菓子や漫画で散乱している。昨日私が片付けたはずなのに1日でこうなっちゃったか。
テレビとパソコンがつけっぱなし。パソコンを見るとSNSの画面が表示されたままだ。なるほど、深夜アニメの実況をしていて、アニメが終わった途端に眠気がやってきてそのまま寝ちゃったってところかな。
深夜まで起きてたならもう少し寝かせてあげようかな。
あ、でもこのままだとエアコンの風があたったままでお腹壊しちゃうから、ちゃんとタオルケットをかけ直してあげよう。
「……私のシュートは……止められないよー」
幸せそうな顔して寝てるなぁ。昨日のアニメは能力サッカーモノみたいだから、サッカーで活躍してる夢でも見てるのかな。
「可愛い」
ちょっとだけ寝顔眺めてようっと。
お姉ちゃんはポンコツだ。
みんながそう言うけど、私もそう思う。
向こうではここまでポンコツじゃなくてお母さんの手伝いしたり家事を頑張ってたんだけど、どうしてこうなってしまったのか。
とはいえ、私は昔のお姉ちゃんも今のお姉ちゃんも大好きだ。
あ、でも私の気持ちで1つだけ大きく変わったことがある。
「……」
鼻をつまんでみる。
幸せそうな表情が徐々に苦しそうな表情に変わる。
「……えっ……ドーピング?……違っ……やってないよっ」
ふふふ、いつものやらかしちゃった顔になった。
こっちの顔も可愛い。
そう、ポンコツで失敗して悲しげな表情のお姉ちゃんをたまらなく愛おしく感じちゃうんだ。
どうしてこうなった。
「……お姉ちゃん……自首しよう?」
寝てるお姉ちゃんの耳元で囁く。
「……違うのおおおお!」
ふふふ、可愛い。
ということで、2章開始です。
2章は1部と同じく双子編になります。




