真・屠竜王大征編
「なんかタイトル雑にネタ切れっぽくない?」
「そこは触れんといて」
「はいはい。で、今回はなんの話?」
「ティレイ先生の戦後についてお聞きしようかと」
「戦後?」
「ええ。メルクドネアの決戦を生き抜いたところまでは分かりますが、その後の歴史パートに出てこなかったじゃないですか」
「あー、それはだって。ねぇ」
「そうですねぇ。呑気に居残ってたら命があったかどうか」
「はい?」
「ヴァスガルトが無事なら居場所もあったかもだけど、あいつ、もう死に体だったじゃない」
「確かに」
「そうなるともうメルエーヴェの天下な訳よ」
「それはまぁ」
「殺されるでしょ絶対」
「どうしてそうなった」
「どうしてもこうしてもないわよ。あっちから見たらやたら距離の近い得体のしれない女だもの」
「見た目子供なのに?」
(略)
「女は理屈じゃないらしいわよ」
「そのようで」
「とは言っても、ヴァスガルトもすぐ意識不明になった訳じゃなかったし、私もボロボロだったから、しばらくは後宮で匿ってもらってたんだけどね」
「後宮?ハーレム?」
「本来はそうだったんだろうけどねー」
「違ったの?」
「実際は側妃というか愛妾というか、キャレリって女の幽閉場所にしかなってなくてね」
「ハーレムじゃなかった」
「なんであんたが残念そうなの」
「いや別にそんなことは」
「破竹の快進撃で旧王国を駆逐する新王と繋がりを持ちたい有力者から、玉の輿に乗りたい女たちまで。あれに群がる連中はいくらでもいたから、お手付きの数もそれなりだったのよ」
「わーお」
「アホ。出自の知れない王に父親を排した王妃なのよ、とにかく後継者や有力貴族に縁付かせるための子供が沢山必要だったからね。メルエーヴェもむしろ推奨するくらいだったんだけど」
「だけど?」
「お手付きの娘が怪死してね。それも複数」
「……え?」
「メルエーヴェが慌ててお手付きの娘たちを呼び集めたの。色々理由を付けてね」
「それはどういう……」
「城なら環境が整ってるし、産む前から城にお呼ばれなんて本人も周りも大喜び。死産なんて珍しくもないのに、死んだ娘たちの家族にはしっかりと見舞の品やらを渡して妙な噂が立たないようにして。まぁその辺は流石よね」
「う、うん?」
「結局のところ、竜混じりの血に耐えられなかったり、未熟なままの胎児が母胎を傷つけてしまったり。普通では考えられないような理由で、後宮の女たちは死んでいったの。無事に産めた女は二人だけ」
「メルエーヴェと、キャレリ」
「そう。このことを知っていながら三人も産んだメルエーヴェこそ怪物よね」
「肯定しづらいご時世だけどいい意味で怪物」
「なにその回りくどい言い方」
「いやあの、色々ございまして」
「どうでもいいわそんなん。で、まぁしばらくはキャレリ……というかキャレリ派閥がいい隠れ蓑になってたんだけど、彼女が死んで、風向きが怪しくなって」
「ふむふむ」
「いよいよとなる前にメルクドネアに逃げ込んだって訳。ダルアムに手引きさせてね」
「あー、師匠と弟子の関係」
「いやぁ、便利な弟子だったわ。で、メルクドネアに着いたらピオが出迎えてくれたもんだからビックリして」
「そりゃ骸骨がお出迎えは」
「とっくに巻き添えで壊れてると思ったから」
「そっち」
「他になにが?」
「いえいえ」
「で、ピオが足になったお陰で自由に動き回れるようになって。人目につかないようにこっそりと、あっちやらこっちやら」
「なるほど、そんな流れだったんですね」
「それがまさか、赤ん坊を育てることになるなんて思いもしませんでしたよね。ティレイ?」
「それは別に言わなくていいでしょ、ピオ」
「え、赤ん坊?人さらい?」
「違うわよバカ」
「あーあ。ティレイ、とうとう警告もしなくなっちゃって……」




