68.アイスランス?
猛スピードで迫り来る炎の槍。
恐らくマチコは、ファイヤーランスがボクの身体に突き刺さり、そこから一気に燃え上がり、ボクの身体を跡形も無く焼き尽くすと思っていたに違いない。
ところが、ファイヤーランスは、ボクの身体に当たると弾き返された。
ボク自身は無傷。
マチコとしても、想像を絶することだっただろう。
「何で?」
そう聞かれても、ボクは依然として絶頂状態。
頭の中は、完全にドピンク色。
胸やアソコを自分の手で激しく刺激するのに忙しくて、答えられる状況じゃなかった。
「ウィンドカッター!」
今度は、風で出来た無数の刃がボクを襲う。
しかし、これらもボクの身体に触れた途端に弾き返された。
勿論、ボクの身体にかすり傷を付けることすら叶わない。
「アイスランス!」
続いてマチコは、どう見ても大人のオモチャ(女性用)にしか見えないアイスランスを大量に撃ち放って来た。
絶対にアイスチ〇コだと思うんだけど……。
これらのアイスランスも、ボクの身体に傷一つ付けることは出来なかった。
やはり、ボクの身体に当たった途端に弾き返された。
それ以前に、先端が尖っていないから、どの道、ボクの身体を傷付けるには至らなかったと思うけどね。
ただ、このアイスランスは形が悪い。
身体が完全にエロで支配されたボクには、使用対象物でしかない。
「あはっ! こんなに沢山♡!」
不覚ながら、ボクは、そのうちの一本を拾い上げた。
マチコの性感マッサージ魔法を受けて、完全に頭がおかしくなっていたんだ。
普通の人が使ったらアソコが凍傷になると思うけど、ボクの身体は凍傷にはならない。
むしろ、冷たくて気持ちイイかも知れない。
なので、ボクは喜んで使おうとした。
ところが、この時だった。
「ファイヤーボール、連弾!」
マチコが無数のファイヤーボールをボクに連射して来た。
しかも、幸か不幸か、ボクが手にしていたアイスチ〇コに、ファイヤーボールが当たったんだ。
その熱量で、アイスチ〇コは一気に溶けるどころか蒸発した。
お陰で、アイスチ〇コを使わずに済んだよ。
これだけは、マチコにお礼が言いたい。
ファイヤーボールは、ボクの身体にも大量に命中した……はずだった。
しかし、ボクの身体に当たると、全て跳ね返された。
ボクは、少し前に光龍ハルの部下、紅龍、白龍、緑龍の大三元トリオの血を被ることで身体強化を獲得していた。
そのお陰で、マチコの攻撃を全部受けても被ダメゼロだったんだ。
なので、そもそも論として、超高速稼働を使ってマチコの攻撃を避ける必要なんて、全然無かったってことだ。
「あれっ!」
ようやく、ボクは正気を取り戻した。
アイスチ〇コが蒸発した衝撃(?)から、ハッと気が付いた感じだ。
同時に、一気にブルーになる。
まさか、アイスランスを性的玩具として使おうとしていたとは……。
身体はエロ女でも中身はおっさんだからね。
精神的に、しばらく立ち直れそうにない。
ここでボクは、気合を入れ直すために両頬を強く叩いた。
少なくとも今のマチコは、堕天使サキュレントの手下だ。
彼女が生前、どんな人間だったかに関係なく、排除しなければならない存在と言える。
とは言え、ボクにはマチコを倒す方法が無い。
ボクと同じ修復魔法が使えるはずだからね。
『取説君:ルカ‐0721号は、大人のオモチャであれば、何でも修復魔法で直せます。勿論、ルカ‐0721号自身も例外ではありません。たとえ、バラバラにされても、修復可能です』
短剣で刺したところで、マチコは修復魔法で自身の身体を元通りにしてしまうだろう。
それこそ、首を刎ねられたって修復できてしまう。
「フレアバースト!」
マチコが、そう叫ぶと、頭上からボクを目掛けて超エネルギー集合体が猛スピードで落下して来た。
これは恐らく、太陽フレアを思わせるような激しい爆発現象を生み出す魔法なんだろう。
ボクは、その直撃を受けた。
激しい轟音と共に、きのこ雲が発生する。
まるで、原爆か何かが爆発したかのようだ。
しかし、龍の血を浴びたボクの身体は、このトンデモ魔法を受けても損傷無し。
その防御力の高さに、先ずボク自身が驚いた。
当然だけど、マチコも相当驚いている。
その場で呆然と立ち尽くしていたよ。
「まさか、フレアバーストが効かないなんて……」
これだけの破壊力だ。
当然のことながら、全てを焼き尽くす一撃必殺の超攻撃魔法だったんだろう。
とは言え、ボクの方も攻撃手段がない。
いくら防御が優れていても、ボクに決定的な攻撃手段が無ければ、どう足掻いてもマチコを倒すことは出来ない。
完全に手詰まりだ。
「サンダーボルト!」
マチコが叫んだ。
落雷魔法だ。
ただ、これはある意味、ボクにとってチャンスと判断した。
ボクは、
「超高速稼働!」
一か八か、超高速稼働を発動してマチコの背後に回ると、彼女を羽交い絞めにした。
フレアバーストとサンダーボルトのどっちの方が強烈な攻撃魔法かは分からない。
しかし、どちらも一撃で、デフォルト状態のボクを一瞬で焼き尽くす魔法であることには変わりないだろう。
落雷目標は、飽くまでもボク。
そのボクがマチコとぴったりくっついている。
当然、マチコ自身もサンダーボルトの巻き添えを食らうはずだ!
ボクに向けて、激しい轟音と共に落雷が生じた。
本来であれば、ボクの身体は一気に燃え上がり、瞬時に焼き尽くされると思う。
ところが、ボクの身体は龍の血を浴びて強化されている。
これくらいじゃ焼かれることは無い。
むしろ、最悪な目に遭ったのは、巻き添えを食らったマチコの方だった。
彼女の身体から、激しく炎が燃え上がった。
あっと言う間に両腕が朽ち落ち、焼けた両脚が折れた。
業火に包まれながら、その場に転がり落ちるマチコの胴体。
そんな状態でも、マチコは必死に、
「ウォーター……ボール……」
と唱えた。
すると、彼女の上空に水で出来た巨大な球体が発生した。
その容積は、数立方メートルに及ぶ。
そして、その大量の水が、一気にマチコの身体に降り注いだ。
彼女の身体がチ〇コした……じゃなくて鎮火した。
しかし、彼女の身体が、その後、動くことは無かった。
完全に消し炭となり、修復不能となったのだ。
ボクは、マチコの前で両膝をつくと、合掌した。
彼女のステータス画面を見た時、本当は備考1だけじゃなく、その先も全部、見えていたんだ。
そこに、彼女が前世で、子供達のために、どのような手段で金を稼いでいたかが、こと細かく……プレイ内容まで書かれていた。
だから、敢えて坐天使……坐薬を連想させる『坐』の字が付けられていたって悟ったよ。
これは、今世ではなく前世のことになるけど、多分、膣や肛門に色々と挿入されていたことを比喩していたんだ。
マチコは、一男一女の母だったけど、未亡人で、しかも、娘も息子も訳アリ……行動面や情緒面に特徴のある子供達だったみたいだ。
それで、二人共、結構お金がかかる私立高校に通うことになったみたいでね。
大変だったようだ。
そんな女性を、ボクの後継機に転生させるなんて、堕天使サキュレントは、とても酷いことをする。
亡くなったことは不幸だけど、せっかくエロから解放されたはずなのに、マチコは異世界に来てとんでもないエロの権化にさせられたわけだからね。
ボクは、マチコの冥福を祈った。
次こそは、幸せな人生を送れるようにと……。
…
…
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その頃、天界では、女神ピルバラナと三級天使サクラが、下界の様子をモニターで見ていた。
しかし、坐天使マチコがルカの手で倒されたにも拘らず、二人の表情は、今一つ優れなかった。
既に次なる刺客がトリフィオフィルム世界に召喚されていたためだ。
「このゴタゴタに乗じて、既に駄天使(堕天使ではない)が入り込んでいるとは、困ったもんですね」
「はい。多分、ルカの力で何とかなると思いますが、万が一の時には、サクラにも出向いてもらいます」
「まあ、そうなったら、なったで下界を楽しませてもらいますけどね」
「その時は、お願いしますよ」
基本的に、ルカが死ぬことは無い。
生物ではないため、寿命と言うモノが存在しないし、龍の血を浴びて全身が強化されているため、どのような状態に置かれても破壊不可だ。
劣化もしない。
しかし、駄天使を倒すためのスキルが無い。
それでも、ルカのパートナーのジノンや、その周りの者達が『駄天使にトドメを刺す係』を演じられれば問題無い。
もっとも、それが出来ればの話だが……。
「ただ、この世界って人間大陸以外に魔族大陸と亜人大陸があるわけじゃないですか?」
「そうですね」
「ルカは、それらを全然見てないですよ。当初は、この世界を色々見て回ろうとか思っていたみたいですけど」
「まあ、基本的に死なない身体ですし、今すぐ行く必要は無いでしょう」
「まあ、そうですけど……。ところで、マチコの魂は、どうなるんですか?」
「バージェス世界に送ってください。ハルの家の近所に転生させてもらえるよう、私の方から、あちらの担当女神にお願いしておきますので。では、サクラ。マチコの魂の送付手続きをお願いします」
「合点承知です!」
三級天使サクラが、女神の間から飛び出して行った。
今度こそは、マチコの魂が報われる異世界転生になると信じて。




