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63.ペニシリン!

「中級以上のポーションをくれってこと?」


「ルカは、持ってるんでしょ?」


「いや、ポーションは持ってないよ」


「でも、ロト・カスマニアで、ヒール抵抗性の患者をルカが治したって聞いてるよ」



 イイオ氏からは、使ったモノは、ともかくとして、

『治った!』

 との報告を、冒険者ギルド本部長のズヴァルトには、しているはず。

 そこから、回復ギルドとかにも話が広まったんだろう。



「まあ、治しは、したけどさ……」


「お願いだから力を貸して。ハイテイ市にルカが来るって天使サクラからの啓示を受けて、それで昨日、大急ぎで来たのよ」


「でも、よく、あのビアガーデンにいるって分かったね」


「それも、天使サクラが教えてくれたから。()()()()()()()()


「別に、ボクの()()()()()()()ないけど?」


「……」



 トモエが黙り込んだ。

 目の前ではジノンも唖然とした表情をしている。

 もしかして、ボク、やっちゃった?



『取説君:ルカ‐0721号は、聞いた単語を、語呂が近いエロ関連単語と聞き違えることが多々あります』



 さすがに、こればかりはトモエじゃないけど、やっちゃったものは仕方がないな。

 スルーしておこう。



 トモエ個人の頼みなら絶対無視だけど、患者が相手だと、そうも行かない。

 天使サクラが絡んでいるとなると、もっと断り難い。

 しかし、オ〇ッコポーションもウ〇コエリクサーも使いたくないしなぁ……。



「患者は何の病気? 患者数は?」


「患者は五人。全員、肺炎球菌に侵されている」



 肺炎球菌なら、たしか、ペ〇ス……じゃなかった、ペニ……シリンが効くはずだよね?

 この世界でペニシリンが使われたなんてことは無いだろうから、耐性菌も出ていないだろうし。

 でも、ペニシリンをどうやって入手するかなんだけど……。



『取説君:ルカ‐0721号は、マジメにエロボケします』



 それにしても、製薬会社に勤めていたボクが、一瞬、『ペニシリン』と言う単語を忘れるとはね。

 ロクでもない機能の強制力は凄まじいよ。


 ただ、エロボケ機能に引っ掛かるってことは、もしかするとペニシリンならボクの物質創製魔法で作り出すことが出来るかも知れない!



『取説君:ルカ‐0721号は、H()()()()()()()()なら何でも魔法で作り出せます』



 インゲノールが、

『陰毛ノール』

 のエロオヤジギャグに引っ掛かるってことで作り出せたくらいだ。

 可能性は十分ある。



「ペニシリン、出ろ!」



 ボクは、物質創製魔法を発動した。

 すると、予想通りペニシリンの錠剤が出て来た。


 出したのは250 mg錠。

 錠数は……とにかくいっぱい。

 余った分は廃棄すればイイからね。



「じゃあ、トモエ。これを使いなよ」


「ナニコレ?」


「ペニシリンの錠剤」


「こんなの出せるの?」


「トモエは薬学出だったよね?」


「ええ」


「じゃあ、投薬量は任せるよ。患者には、治験ってことにしておいて。それと……」



 ボクは、再び物質創製魔法を発動した。

 出したのは中級以上のポーションで必ず使われるクリ……ナントカ。

 ええと、クリペアタって植物だ。


 しかも、根っこが付いた状態だ。

 ポーション作成の際に、この植物は葉も茎も根も全部使う。

 なので、丸ごと必要ってことなんだ。



 実は、

『クリ繋がり』

 でクリペアタも出せるかなって思ってチャレンジしてみたんだけど、これも運良く出すことが出来た。

 しかも、しょい籠一杯分。

 かなりの量だ。



「これも使う?」


「これって?」


「クリペアタって植物。中級以上のポーションに使われる原料」


「イイの?」


「ただ、金は払ってよ。さすがに、これはタダってわけには行かないから」



 ペニシリンの方は、今回は効果の検証ってことにすれば、今回は無償もしくは激安で、次回から高額にしても、多分、誰も文句は言わないと思う。


 しかし、クリペアタは、この世界の人達が知っているモノだ。

 タダで渡したなんてことが他人に知れられたら、後々、『安価で譲れ』ってヤツ等がボクのところに殺到して来て面倒になる気がする。

 それで、元カノが相手でも適正価格での取引が必要って判断をしたんだ。



「全部で、金貨一枚くらいでイイ?」


「舐めてんの?」


「分かった。ただ、今は、そんなにお金が無いから後払いにさせて。キチンと適正価格で払うから」


「そうして。でも、ボクが居るのはホウテイ市だけど大丈夫?」


「まあ、それくらいは、なんとか……」


「あと、ペニシリンは今回だけタダにしておくよ。治験ってことにするわけだし」


「ホント! ありがとう」



 ペニシリンは、前世の詫びだ。

 一先ず、ボク達は、これでトモエと別れた。

 この世界に来てからのトモエにしては、珍しくボクに深く頭を下げていたよ。


 ただ、トモエが後でボクのところに金を払いに来るってことは、まだトモエとは会わなきゃならないってことか。

 どうして、変な別れ方をした元カノと、異世界で交流しなきゃならないんだろ?



 ❖  ❖  ❖



 ボクとジノンは宿から出た。

 ただ、宿を出て、すぐさま、


「ルカ。さっきのクリペアタは、どうやって手に入れたんだ? 少なくとも、アイテムボックスから出したようには見えなかったが。あと、その前に出した錠剤も」


 とジノンに言われた。

 今まで彼は沈黙を保っていたけど、多分、トモエの前だからボクに聞くのを遠慮して我慢していたんだろう。



 そう言えば、物質創製魔法のことは、まだジノンにキチンと話していなかった。

 トモエを前に、ボクは精神的に不安定だったので、まるっきり、そこまで頭が回っていなかったんだ。



「あれね。実は……限定的だけど、物質創製魔法が使えてさ」


「もしかして、ワイバーンを倒した時に使ったゼリオンの液も、聖水も、物質創製魔法で作っていたのか?」


「まあ、そうなる」



 厳密には、聖水は違うんだけど、説明するのが面倒なので、アレも物質創製魔法で作っていることにした。

 ある意味、物質創製魔法な気もするし……。



「お前、スゴイな」


「でも、本当に限定的だよ。出せないモノの方が多いと思う。クリペアタは出せても、デュビア(上級ポーションの原料)とかイルミネス(エリクサーの原料)は出せないし」


「いや、それでもスゴイよ」


「ただ、内緒にしておいてもらえるかな? 他人に知られると、色々と面倒になりそうだし。毒殺事件とかあったら、真っ先に疑われそうだから」


「たしかに、そうだな」



 多分、ジノンのことだから、余計なことは言わないだろう。

 ボクよりも、その辺は信頼できる。



 その足で、ボク達は、定期馬車乗り場に到着。

 転移魔法を使えば早く帰れるけど、やっぱり、この世界の景色を色々見ておきたい。

 それで、ボクのワガママで、ハイテイ市からホウテイ市までも馬車での移動にした。


 勿論、今回も一台貸し切りにした。

 同乗する男性客がいるとボクの貞操が危ないからだ。

 同乗する女性客がいてもジノンの貞操が……いや、アイツはイ〇ポだから大丈夫か。



 一日目は、王都リンシャンまでの移動となる。

 当然だけど、宿に泊まるし、部屋はジノンとは別々だ。

 ボクには、決して見られたくない日課があるからね。



 二日目からは、ショウサンゲン湖方面行きの馬車に乗る。

 ここでも、勿論、貸し切り。


 王都リンシャンから三日かけてショウサンゲン湖の畔の村、コクシ村に到着した。

 勿論、コクシ村に着くまでも、馬車泊ではなく宿に泊まることになる。



 ショウサンゲン湖は広い。

 湖岸近くの道を馬車で進んで行くんだけど、コクシ村から四日かけて、カンブリ市を経由して懐かしのダイサンゲン村に到着。


 さらにダイサンゲン村から丸一日かけてホウテイ市に到着した。

 合計九日間の旅だ。



 もう夕方だけど、ボク達は、その足で冒険者ギルドに顔を出した。

 すると、受付嬢のリマが、ボク達を見るなり、開口一番、


「ルカ。クリペアタの採取をお願い!」


 って言って来たよ。

 普通は、

「久し振り!」

 とか、

「お帰りなさい!」

 じゃないの?



「ええと、いきなりナニ?」


「王都の回復ギルドの人にクリペアタを大量に卸したって言うじゃない?」


「何でそれを?」


「ギルド間通信でギルド長に報告が行って。それでだよ」



 つまり、トモエから王都の回復ギルドに報告が行って、そこから王都の冒険者ギルド経由でここに連絡が来たってことかな?



「うーん。で、どれくらい必要なの?」


「王都に卸したのと同じくらいあればイイかな?」



 これって、普通はムチャ振りだ。

 クリペアタは、事実上絶滅種と言ってイイ。

 それを取って来いと言うのは、完全なる無いものねだりだ。



「でも、今、ナントカ採取できたものを使っちゃったら、それこそクリペアタは二度と手に入らなくなるよ。ボクが採取したクリペアタを育てる畑を作らない?」


「育てるって?」


「多分、葉挿しが出来るから。それで増やす」


「葉挿し? 増やす?」



 ギルドの受付なら、クリペアタの特徴は、それ相当に理解しているはずだと思う。

 ところが、それが葉挿しで増やせることを知らなかった。

 つまり、この世界の人達は、クリペアタが葉挿し可能だってことを知らずに乱獲していたわけだろう。



『取説君:ルカ‐0721号は、エロに関することであれば、学術分野であっても深い知識を有しています。エロギャグに関連する内容でも同様です』



 ボクの場合は、クリペアタのことは、クリ繋がりで熟知していたわけだけど。

 ただ、増やし方を知っていれば、多分、この世界の人達だって、自分達で増やすことを考えたはずだ。



「葉挿しって言うのは、簡単に言えば、この切った葉っぱからクリペアタ一株に成長できるってことだよ」


「そんなこと出来るの?」


「出来るんだよ。だから、元となる葉はボクが出すから、クリペアタを大量にギルドで育ててみたらどうかな?」



 ハッキリ言って、中級ポーション以上は、通常価格でも高過ぎる。

 もっと安くしないと助かる命が助からなくなってしまう。


 それに、クリペアタの場合は、人工栽培でも必要成分は変わらない。

 このことは、クリペアタのことを熟知しているボクが言うんだから間違いない。



 クリペアタが人工栽培できれば、ボクのオ〇ッコポーションもウ〇コエリクサーも無用の長物になる……と思う。

 実は、それが狙いなんだ。


 ボクとしては、オ〇ッコポーションやウ〇コエリクサーを使わざるを得ない状況になるのが、イヤなんだ。

 そう言うモノの飲食を好む人達のことは、全然理解できないし。

ペニシリン→ペニ○ 尻 in とか考えましたが……

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― 新着の感想 ―
[一言] >「でも、本当に限定的だよ。出せないモノの方が多いと思う。クリペアタは出せても、デュビア(上級ポーションの原料)とかイルミネス(エリクサーの原料)は出せないし」  出せますねぇ。 トンチと…
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