56.サキュバスダンジョン!
ボクが拠点にしているホウテイ市は、チャンタ平野の中にあり、ショウサンゲン湖の南方40キロくらいのところに位置している。
アサスズメ王国は、超極太ペンで書いたTの字みたいな形をしているんだけど、ショウサンゲン湖は、T字の横棒の丁度真ん中辺りに位置している。
ショウサンゲン湖は、横長の楕円形に近い形をしていて、そこから南方の平野部に向けて大河が流れている。
この大河の東側がチャンタ平野、西側がタテホン平原と呼ばれている。
普通は、チャンタ平野とタテホン平原を合わせて一つの平野とすべきだと思う。
しかし、ここで二つに分けているのには理由がある。
タテホン平原側には魔素を大量に含んだ植物がアチコチに群生していて、それらを餌とする草食魔獣と、さらにソイツ等を餌とする肉食魔獣が生息している。
かなりの危険地域のため、タテホン平原には、人が全然住んでおらず、街どころか集落すら無い。
一方、チャンタ平野側には、その植物が生えていない。
魔獣が大河を渡ってチャンタ平野に侵入してくることは稀だ。
それで、人々はチャンタ平野側に住んでいる。
だからと言って、チャンタ平野が、全然魔獣被害の無い場所ってわけじゃない。
チャンタ平野の東側にはメンチン大森林が広がっていて、ここに魔獣が生息しているからだ。
とは言え、メンチン大森林の中で食物連鎖が出来上がっているためか、魔獣が大森林を抜けて付近の街まで来るのは少ない。
なので、タテホン平原に比べれば、チャンタ平野の方が数段安全ってことのようだ。
ちなみに、王都リンシャン、ハイテイ市、チャンカン市は、ショウサンゲン湖の西北西に位置している。
これら三都市のある平野部は、リャンペー平野と呼ばれている。
リャンペー平野は広大な平野部で、アサスズメ王国から隣国のイミダゾール帝国、その北側に位置するランタノイド王国、さらには、その西側に位置するアクチノイド王国にまで広がっている。
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ガイア討伐から二か月が過ぎた。
表彰とか、色々面倒なことに、一段落着いたと言うことで、今、ボクとジノンはオペロン公国に来ている。
オペロン公国は、アサスズメ王国、イミダゾール帝国、ランタノイド王国、ヤーリサ聖公国で囲まれた小国なんだけど、ここにはダンジョンが群生している。
それで、たくさんの冒険者達が一攫千金を狙ってオペロン公国を訪れる。
アサスズメ王国にもツモノミ市のダンジョンがあるけど、オペロン公国は、ツモノミ市と隣接している。
なので、ダンジョン群が国境を超えてツモノミ市まで広がっていると考えるのが正しいだろう。
ちなみにオペロン公国の主な収入源はダンジョンへの入場料。
しかも、そこに住んでいるだけでお金(入場料)が転がり込んでくるから、ダンジョン地主の子達は頑張って勉強する必要が無い。
そのため、教育レベルは、周りの国と比べると相当劣っているとのことだ。
この日、ボク達がチャレンジしているのはサキュバスのダンジョン。
危険度マックスと言われているが、一番人気のダンジョンである。
本来であれば、サキュバス達は魔族大陸に住んでいるはずだけど、何故か、このダンジョンにはサキュバスが自然発生する。
理由は、良く分からない。
今までに、サキュバスダンジョンをクリアしたと言う話は聞かない。
生還したヤツは、全員、ダンジョンクリアを放棄した連中だけだ。
どうやら、彼等は、ドロップアイテムを得ることも、宝箱を探索することも放棄して、三十分以内に入り口まで引き返して来ていたようだ。
当然、そのままダンジョンの中に居続けてしまう輩もいるけど、そう言うヤツ等は、間違いなく全精力を抜かれて殺されてしまうそうだ。
性感率が高いが故に、自制心を持って臨まないと、生還率がゼロになってしまう気持ちの良いダンジョンってことだ。
別の表現では、性交率は高いけど、成功率がゼロとも言う。
なので、
『一度しかない人生。どうせ死ぬならここで!』
とチャレンジする男性冒険者達が後を絶たない(ナニは勃つけど!)。
女性冒険者で、このダンジョンにチャレンジする人も、一応いる。
ただし、女性異性愛者の場合は、近づくのもイヤになるらしく、女性異性愛者の冒険者が、このダンジョンに入ったと言う記録は無い。
つまり、女性同性愛者の冒険者が、それなりにチャレンジしているってことだ。
当然のことながら、女性同性愛者達も気を付けないとサキュバスに大欲情し、精魂尽き果てて命を落とすことになる。
なので、まだ死にたくないヤツは、絶対にチャレンジしてはイケないダンジョンとも言われている。
チャレンジした連中は、基本的に中でイっているけど。
ちなみに、最下層に設置された宝箱には、
『この世界では絶対に手に入れることの出来ない秘薬』
が入っているとの噂だ。
誰も見たことが無いから、ナニが入っているかは分からないけど、地球レベルの創薬知識があるボクには、なんとかくオチが見えている気がした。
ボク達は、このダンジョンに入って行った。
当然、ダンジョンクリア第一号を目指す。
「ちょっと、お兄さん。イイ男ね」
「私と一発しない?」
「イイモノ持ってんじゃん。こんなに大きいの、初めて!(これは、マジでジノンのナニのことです)」
「一緒に気持ち良くなろう」
ダンジョンに入るとすぐに、どこからともなくサキュバス達が湧いて出て来て、ジノンを誘惑している。
しかし、ジノンのナニは反応しない。
サキュバス達のHP……ハレンチパワーは300くらい。
当然、人間を遥かに凌駕する。
フェロモン魔法も通常の人間女性が出すフェロモンの三倍くらい効果が強い。
そのため、普通の男性なら、一気に大欲情する。
しかし、ジノンはHP抵抗性とフェロモン魔法抵抗性を持っている。
ボクの超フェロモン魔法を最大放出し、かつHPを2000000まで上げなければ、彼のナニは全然反応しない。
実は、あれから実験したんだけど、ジノンのナニは、HPが2000000あれば反応することが確認された。
なので、前世で会っていた例の女性のHPは、2000000くらいだったんじゃないかと推察する。
「ナニ、この男。イ〇ポ?」
「美形なのに最低!」
「モノは大きいのに、使えねえヤツ!」
「これこそ、宝の持ち腐れじゃない?」
ジノンにまとわりついていたサキュバス達がキレ出した。
全然、彼のナニが反応しないので、彼女達のプライドもガタガタだ。
一方、ボクに対するサキュバス達の対応は、ある意味ヒドイ。
塩対応じゃないんだけど……。
「アナタ、才能あるわよ」
「ここで一緒に働かない?」
「フロアボス……いいえ、このダンジョンのラスボスになれるわよ!」
「痴天使様!」
良く分からないけど、サキュバスダンジョンのスタッフとしてスカウトされたよ。
どうやらボクは、サキュバス達からも、一目置かれるレベルのエロらしい。
それに、ここでも痴天使と呼ばれたよ。
智天使じゃなくて……。
ボク達は、声をかけて来るサキュバス達を無視して先に進んで行く。
本来であれば、ここでHバトルが派手に繰り広げられるはずなんだろうけど、ジノンが相手じゃ、そんな展開になり得ない。
実を言うと、ボクを誘惑しに来るサキュバスもいないわけじゃない。
最初は、ダンジョンスタッフとして勧誘されるのがメインだったけど、途中からボクを誘惑する方にシフトして行ったんだ。
これは、ダンジョンのお宝を取られるわけには行かないからだろう。
「お姉さん。イイコトしない?」
「逝かせて、ア・ゲ・ル!」
たしかに、ボクは女性同性愛者も使える仕様だ。
なので、サキュバスがボクを誘惑することも、多分、可能なんだと思う。
しかし、ヤラれる前にヤル!
「性感マッサージ魔法!」
サキュバスに落とされる前に、ボクは性感マッサージ魔法で、群がるサキュバス達をイカせまくった。
『取説君:ルカ‐0721号は、高度な性感マッサージ技術を持っています。しかも、リモート機能を搭載しておりますので、ターゲットに触れずに性感マッサージを行うことが可能です』
『取説君:ルカ‐0721号の性感マッサージ魔法は、女性にも施術が可能です。これは女性の感度が上がることで男性が喜ぶことを想定しています。ルカ‐0721号の行為は、基本的に男性が喜べるかどうかが判断ポイントになります』
サキュバス達は、相当気持ち良かったらしい。
完全にドはまりしちゃったみたいだ。
「もっとして」
「もう一回、お願い」
「もっとイカせて」
「痴天使様、お願い!」
彼女達の方から性感マッサージ魔法の追加をおねだりして来たよ。
『取説君:一度でもルカ‐0721号の性感マッサージ魔法を受けた者は、その快楽欲しさに自ら性感マッサージ魔法を受けに来る可能性があります。Hへの依存度が高ければ、その傾向は、より強くなります』
ある意味、ボクは、自分でサキュバス以上の存在であることを立証しちゃったのかも知れない。
サキュバスよりエロ……。
この精神攻撃は、結構効いたかも。
当分、立ち直れないかも知れない……。
ダンジョンのアチコチでサキュバス達がイキまくっている。
と言うか、吹きまくっている。
普通の男性なら、一瞬で理性がぶっ飛んでしまうだろう。
とんでもない光景だ。
そして、ボク達は無事に宝箱のある最下層の部屋に到着した。
期待しないけど……オチが見えている気がしたけど、ボク達は宝箱を開けた。
中にあっていたのは、錠剤が入ったビンだった。
ビンにはラベルが貼ってあって、そこには、
『シルデナフィル(バイ〇グラの有効成分)』
って書かれていたよ。
予想通りのオチだ!
ただ、このお宝なら、ボクにも作れるんだけどね。
有効成分の構造式だって知っているし。
『取説君:ルカ‐0721号は、Hに関連するモノなら何でも魔法で作り出せます』
『取説君:ルカ‐0721号は、エロに関することであれば、学術分野であっても深い知識を有しています。エロギャグに関連する内容でも同様です』
ただ、ボクがバイ〇グラの有効成分……シルデナフィルの構造式を知っているのは、前世で創薬化学の研究者をやっていたから。
今のボクの機能とは全然関係ない…………はずだけど……。
宝箱の横に魔法陣が現れた。
ボク達は、その上に乗る。
すると、瞬時にダンジョンの外に空間移動した。
「記念すべき、サキュバスダンジョンクリア第一号です!」
「おお。すげえ!」
「あのダンジョンを制覇するなんて、人間業じゃねえ!」
「さすが、痴天使!」
出た先では、沢山の人達が、ボク達のダンジョンクリアを称えて(?)くれた。
しかし、ダンジョンの中身も、宝箱の中身もアレだっただけに、正直、苦笑いしか出なかったよ。
次は、もっとマシなダンジョンにチャレンジしよう。
ところで、ゲットしたシルデナフィルは、どうしよう?
ジノンが飲んじゃう前に処分しておかないと……ボクの貞操が危ないかも知れない。
多分、HPとかフェロモン魔法とかに関係なく元気に出来ると思うから。




