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44.報告!

 ディスプロシトス市ギルド前に転移終了。

 ジノンの風魔法で全身を乾かした後、ボク達は、ギルドの中に入って行った。



 この時、ジノンは、

『オチ〇コ出て』

 じゃなくて、

『落ち込んで』いた。

 ボクに襲い掛かった罪悪感に苛まれていたんだ。


 ()()()()には時間がかかるかも知れないな。

 ()()()()のは、ボクがフェロモン魔法と超高HP値をWで上限値まで上昇させない限り有り得ないだろうけど。



『取説君:ルカ‐0721号は、エロ要素の入ったオヤジギャグが好きです』



 受付にいたのは女性職員だった。

 今はジノンが使い物にならないっぽいし、ボクが話を切り出さなきゃイケないのか。

 ちょっと面倒に感じる。



「済みません」


「はぁ。ナニ?」



 相変わらず、殺意に満ちた視線が飛んで来る。

 毎回こうだと、これはこれで、ボクも、

『オチ〇コ出て』

 じゃなくて、

『落ち込んで』くる。

 そもそも、今のボクの身体には、前世と違ってオチン〇が付いていないわけだけど。



『取説君:ルカ‐0721号は、エロ要素の入ったオヤジギャグが好きです』(再掲)



 取り敢えず、気を取り直して報告だ。



「ウラヌスを討伐してきました」


「はぁ?」


「一応、これがボクの冒険者カード。Sランク冒険者のルカです」


「Sランク?」



 受付嬢は、冒険者カードを見るなり、急に顔を強張らせた。

 Sランク冒険者カードは、まさに諸国漫遊する御隠居様の印籠みたいだ。



「し……失礼しました。それで、ウラヌスの死体は?」


「魔法収納しています。今から出したいのですが、何処に出せばイイですか?」


「しょ……少々お待ちください。ギルド長を呼んで参ります」



 受付嬢は、大慌てで裏に引っ込んだ。

 そして、少ししてギルド長を連れて戻って来たんだけど、ギルド長は、昨日ボク達を応対した男性職員だった。

 このギルド、大丈夫か?



「これは、Sランク冒険者のルカ様、ジノン様。ウラヌスの討伐を完了したと言うのは本当でございますか?」


「はい。それにしても、アナタがギルド長だったとは」


「ギルド長のゼノタイムと申します」


「それで、魔法収納している死体を出したいんですけど……。ただ、万が一のことを考えてバラバラにしていますので、少々、刺激が強いかとは思います」


「そ……そうでございますか。まあ、別に素材にするわけではありませんので……。受付前に出していただけますか?」


「分かりました」



 ボクは、アイテムボックスからウラヌスの死体を出した。

 さすがに受付嬢は目を逸らしていたよ。

 言いたくないけど、バラバラだったからね。


 一方、周りにいる冒険者達は興味津々だった。

 討伐対象が、あのウラヌスだからね。

 むしろ、興味が湧かない方がおかしいだろう。



 ギルド長が死体を確認した。

 一応、ウラヌスの姿を記録した魔法石があるようで、それをギルド間の通信システムで情報共有していたらしい。

 それで、この死体の顔を見てウラヌスであると、ギルド長は判定出来たようだ。



「間違いないですね。それにしても、昨日の話ですと、今朝、討伐に出て行かれる予定だったとか?」


「はい。今朝出発しました」


「まだ、昼過ぎですよ? いったい、どうやって?」


「まあ、転移魔法でホルミア市とディスプロシトス市の中間地点まで行きまして、そこでウラヌスを待ち伏せました。それで、少し前にウラヌスが現れましたので、その場でチャチャッと……」


「ええと……チャチャッと倒せる相手ではないように思うのですが……」


「まあ、その辺は企業秘密ってことで」



 さすがに、

『ウラヌスが、チ〇コが勃つかどうかを確認している最中に背後から刺しました!』

 とは、コイツの名誉のためにも言えない。


 本来なら、コイツの名誉もヘッタクレも無いところだろうけど、一応、元は同じ日本人だからね。

 武士の情けで真実は隠したよ。



 丁度この時だった。

 ボクの頭の中に取説君の声がこだました。



『(報告)三級天使サクラより報告です。山井忠二の魂は、無事、地獄に落ちました。ですので、その死体を焼こうが何にしようが復活することはありません』



 まさか、取説君に天界からの通信機能が付いているとは……。

 正直、目が点になったよ。


 ただ、いくら相手がコイツ(ウラヌス)だからと言っても表現が悪い。

 無事、地獄に……とはね。

 さすが、三級天使サクラってとこか。



「では、ギルド長。王室の方への報告はお願いします。それと、その死体は、できれば火葬に付してあげてください。せめてもの情けです」


「ええと、火葬した炎の中から復活なんてことは無いでしょうか?」


「不死鳥じゃないから大丈夫です」


「分かりました」



 そうは言いながらも、ここのギルド長は不安そうな表情をしていた。

 やはり、

『火葬に付して、万が一にも炎の中から復活したら、責任が取れない』

 って思っているんだろう。

 まあ、どう処分するかの最終判断は、この国に任せるしかないか。



「では、ボク達はアサスズメ王国に戻りますので」


「アサスズメ王国の、どちらにいらっしゃいますでしょうか?」


「大抵は、ホウテイ市にいると思います」


「承知しました。では、報奨金のことも含めて、改めて本国の者より、ご連絡申し上げます」


「よろしくお願いします」



 ボク達は、これで、ヤーリサ聖公国経由でホウテイ市へと戻って行った。

 勿論、ボクの転移魔法で……。



 …

 …

 …



 ❖  ❖  ❖



 ホウテイ市冒険者ギルド前に到着。

 取り敢えず、ギルド長のレッドに討伐完了の報告だ。



 受付に行くと、

「もう帰って来たの?」

 と言いながら受付嬢のリマは驚いていた。



「さっき、ウラヌスの討伐は完了したんでね」


「嘘でしょ?」


「いや、ホント。死体をディスプロシトス市の冒険者ギルドに渡して戻って来たんだ」


「信じらんないけど、さすがルカ達だね。じゃあ、ギルド長を呼んでくるから、ちょっと待ってて」


「了解」



 リマがギルド長を呼びに行った。

 すると、このタイミングで周りにいた冒険者達が、ボク達の方に詰め寄って来た。

 さすがにウラヌス討伐の件に興味のない冒険者はいないってことだ。


 逆に、ウラヌスのことを知らなかったボクの方が、世間一般の目からすれば、冒険者失格ってことになるんだろうなぁ。



「あのウラヌスを討伐したのか?」


「さすがSランクコンビ!」


「でも、出発したのって昨日だよな? マジで討伐完了したのか?」


「いくら何でも、時間軸がおかし過ぎるぞ!」



 なんだか、疑いの声の方が多いような気がするんだけど……。

 しかし、それが普通だろう。

 次々と街を破壊して来たウラヌスを討伐したこと自体が、普通の感性からは信じられないってことだ。



「まあ、運良く、今日、ウラヌスと遭遇できてね。そこでチャチャッと」


「チャチャッとできる相手じゃねえだろ!」


「まあ、確かにファイヤーランスで山を半分吹き飛ばすようなヤツだったけど……」


「だろ? どうやってそんなヤツを?」


「ちょっとウラヌスが隙を見せたところを、チャチャっと」


「だから、それが信じられねえってば」



 まあ、余り細かいことを言い出すと、聖水のこととかも話す流れになりかねない。

 さすがに、聖水の製造法は誰にも話したくない。


 それに、ウラヌスが異世界からの召喚者だったとか、召喚に堕天使が絡んでいるとか、余りにも突拍子もないことも話さざるを得なくなるだろう。

 なので、何とか誤魔化したかったんだ。



 そうこうしているところに、ギルド長のレッドが来た。

 ウラヌス討伐の報告を受けたからだろう。

 この時、彼は安堵の表情を見せていた。



「ルカ、ジノン。もう解決して来たとはな」


「はい。ただいま戻りました」


「それにしても、本当に討伐完了したんだよな? ただ、あのウラヌスを、いったいどうやって?」


「まあ、ウラヌスが隙を見せたところを、チャチャッと」


「チャチャっとか……。まあ、ワイバーンの時と同様にルカが超高速で背後から攻撃。そして、傷付いたウラヌスを一気にジノンが斬り倒した。そんなとこだろうが……」



 ギルド長の、その想像力……と言うか推察力。

 なかなか鋭いと思ったよ。


 一応、ボクが超高速稼働でウラヌスの背中に短剣を刺したわけだし、最終的にはジノンがウラヌスの首を刎ねたわけだからね。

 詳細……と言うか、真実はギルド長の推察とは全然違うけど……。



「ディスプロシトス市の冒険者ギルドで、そこのギルド長から、死体がウラヌスのモノとの判定も頂きました」


「そうらしいな。実は、俺の方には、既にディスプロシトス市の冒険者ギルドから通信が入っていてな。さすが、ワイバーンを瞬時に三体片付けるコンビだと思ったよ」



 これを聞いて、周りの冒険者達は固まっていた。

 ウラヌス討伐が真実だったことに驚いていたのか、それとも、ワイバーンを瞬時に三体討伐したことに驚いているのか?

 多分、両方なんだろうけど。

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― 新着の感想 ―
[一言] >山井忠二の魂は、無事、地獄に落ちました。ですので、その死体を焼こうが何にしようが復活することはありません  そこから普通に復活してくるバトルものが、沢山あるんだよなぁ……。  下手すりゃ…
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