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41.イイ音したね!

 ボクは、ここで女王様モードに移行した。

 イイオ氏に言うことを聞かせるためだ。


 ボク自身、あのプレイは趣味じゃないし、多分、イイオ氏も趣味じゃないと思うけど、ここはイヤでも口にしてもらわなければならない。



「HP設定1000000! フェロモン魔法最大出力! SP設定最大! MP設定30!」



 そして、アイテムボックスから鞭を取り出すと、それを床に叩き付けた。

 部屋中に、

『ピシッ!』

 と言う音が響き渡る。


 女王様モードに入った今のボクにとっては、この音が快感となる。

 多分、今のイイオ氏にとっても、大変興味深い音だろう。



「このブタ野郎! これからやることは、絶対に他言するなよ!」


「はい。女王様!」



 女王様モードを前に、イイオ氏は一人のM男に成り下がった。

 しかし、まともにプレイするような体力は彼には無い。

 なので、治療を急ぐ。



 不本意ながら、ボクは、イイオ氏の顔の上にまたがった。

 もう、早急に彼を助けるには、これしか方法が無いんだ。



『取説君:ルカ‐0721号の疑似的大便と疑似的尿は、初心者からマニアまで幅広い方々にご満足いただけるよう、味を超薄味、薄味、やや薄味、普通、やや濃いめ、濃いめ、濃いめ&スパイシーソース入りの七段階で調節可能です』



『取説君:ルカ‐0721号の疑似的大便と疑似的尿は、初心者からマニアまで幅広い方々にご満足いただけるよう、臭いを無臭、微臭、弱め、やや弱め、普通、やや強め、強めの七段階で調節可能です』



 ❖  ❖  ❖



 それから数分後、ボクが病室の扉を開け、イイオ氏を連れて病室を出た。

 ジノンは、病室を出てすぐのところで待っていてくれた。



「ルカ。治せたのか?」


「まあ、なんとか……」



 イイオ氏の服は、胸の辺りから上が濡れていた。

 一応、使うのは中級ポーションの代用品で事足りた。


 この街の名前が、

『ロト・カスマニア』

 だからね。

 もしかすると、エリクサー代用品を使う必要が出るんじゃないかって恐怖はあった。

 しかし、それを使わずに済んだのは、ある意味、幸いだったと思う。



「イイ音したね!」


「えっ? べ……別に、ボクは、イ……イイオさんと本番なんか……」



 この時、ボクはうろたえていて、言葉が少し、しどろもどろになっていた。

『イイオとしたね?』

 って聞こえたんだ。


 一応、本番じゃなくても、プレイはしたからね。

 それをパートナーであるジノンに悟られたくなかったんだ。



「本番?」


「だから、イイオさんと、ヤッたりは」


「ヤッたって何を? 普通に、イイ音がしていたねって。また、鞭使ったんだろ? どういう風に、それが治療に関与したのかは分からないけど」



 ええと……。

『イイオとした』

 じゃなくて、

『イイ音した』

 だったのか。

 これは、ボクの早とちりと言うか、余計な機能が働いたせいだ。



『取説君:ルカ‐0721号は、聞いた単語を、語呂が近いエロ関連単語と聞き違えることが多々あります』



 ただ、イイオ氏が、今回の治療方法を絶対に他言しないって保証は無い。

 彼には、一応、女王様モードの時に釘を刺しておいたけど。


 万が一、他言されたら、その時はその時で対応を考えよう。

 今は、面倒なことにならないことを祈るしかない。



「では、イイオさん。ボク達は、これで失礼します」


「ありがとう。治せるとは思っていなかったよ。ところで、治療代は?」


「お金は要りません。その代わりに、治療方法を他言しないってことでお願いします」


「治療方法? はて、治っているけど、どうやって治療されたのか?」



 女王様モードの時の記憶は、女王様モード解除直後には失われているケースが多い。

 少し時間が経過してから思い出す。

 イイオ氏も、今のところプレイ内容を覚えていないっぽい。


 女王様モードを解除した際に、ボクから、

『治療は終わりました』

 って伝えただけなんだ。


 気が付いたら体調が良くなっていたってことで、イイオ氏は催眠状態にされて何らかの治療を施されたって思い込んでいる。


 きっと、少しして思い出したら凹むこと間違いないだろう。

 まさか、飲むプレイをしていたなんてね。


 もしくは喜ぶか……。

 さすがに、喜ばれても困るんだけど……。



「数時間すれば思い出すでしょう。でも、絶対に他言無用でお願いします」


「分かった」



 真実を思い出して凹む側なら、多分、他言しないと思う。

 むしろ記憶から抹消したいだろう。


 しかし、思い出して喜ぶ側の人間だったら、仲間……例えばズヴァルトとかに話してしまう可能性がある。


 そうなると面倒だな。

 また、ホウテイ市冒険者ギルドまで、メラースとノワールを連れて、押しかけて来るんじゃないか?

 まあ、ちょっとは覚悟しておこう。



 ボク達は、回復ギルドを出ると、ボクの転移魔法でランタノイド王国との国境に位置するヤーリサ聖公国の街、アッヘガーオまで移動した。

 ここも、ムチャクチャな名前だ。


 そして、入国手続きを行い、ランタノイド王国の街、ジジムに入った。

 さらにここから、ボク達は連続転移で、ランタノイド王国の王都、ランタンの冒険者ギルド前まで一気に移動した。



 ❖  ❖  ❖



 王都ランタンに到着。

 早速、ボク達は冒険者ギルドに入って行った。

 ここでも、毎度の如く、ボクの方に飛んでくるのは男性達のエロい視線と、女性達の殺意に満ちた視線だ。


 受付に座っているのは女性ギルド員。

 なので、今回も受付に話しかけるのはジノンに担当してもらった。



「アサスズメ王国ギルド本部経由で、ランタノイド王国からの依頼で来た」



 今回は、ジノンが最初に、彼とボクの冒険者カードを受付嬢に提示した。

 やはり最初に提示しないと話がキチンと進まないだろう。

 受付嬢は、ボク達の冒険者カードを見て驚いていた。



「Sランク冒険者様ですか?」


「ああ」


「それでは依頼と言うのは、やはり、魔人の件ですね?」


「そうだ」


「で、Sランク冒険者二人のパーティ……」



 ここで、ようやく受付嬢はボクの存在に気付いた。

 一瞬、殺意に満ちた目をしていたけど、さすがにSランク冒険者は怖いんだろう。

 ボクを目の前にしながら、すぐに笑顔を取り繕った。

 ただ、もの凄くぎこちない笑顔だった。



「その魔人は、ウラヌスと名乗っているって聞きましたけど?」



 こう受付嬢に聞いたのはボク。

 ただ、受付嬢は、何気にボクから視線を逸らしてジノンの方を見ていたけどね。

 殺意を抑えるために目の保養となる対象物を優先して見ているんだろうけど。



「そう伺っております」


「今、ウラヌスは、どの辺まで来ているんでしょうか?」


「現在、ホルミアまで来ているとの報告を受けております。まだ、王都までは時間がかかると思いますが……。最初に最西端の街ルテチアに姿を現し、そこからイッテルビー、トゥーレ、モサンデール、ホルミアと突き進んでいます」


「空を飛んだりは?」


「今のところ、飛翔魔法を使用したとの報告は、ありません」



 天空の神の名を騙っているくせに、飛んでいないんだ!

 まだ、飛翔魔法を隠しているだけかも知れないけど。



「それで、次のターゲットとなる街は?」


「多分、一直線に王都に向かっていますので、ディスプロシトスと言う街になるかと思われます」



 これを聞いて、ジノンが妙に驚いた顔をしていた。

 もしかしたら、彼にとって何らかの所縁(ゆかり)のある場所なんだろうか?



「どうかしたの、ジノン?」


「なんか、ディスプロシトスって言うのが、非常に懐かしい響きに感じてな」


「ジノンが前にいた街とか?」


「いや。俺は、ランタノイド王国に来たこと自体が初めてだ。ディスプロシトスって街にも、当然だが、行ったことは無い」



 これって、もしかすると、前世に関係する記憶かも知れないな。

 ディスプロシトスに似た地名のところに住んでいたとか。



「情報提供ありがとうございました。ボク達は、ディスプロシトスまで行って待機しています」



 ボク達は、ギルドを出ると、再び連続転移でディスプロシトスへと向かった。



 ディスプロシトスに到着すると、ボク達は、宿の手配をした。

 当然、ボクとジノンは別室だ。


 そして、チェックインを済ませた後、ボク達は、ディスプロシトスの冒険者ギルドへと急いだ。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >「なんか、ディスプロシトスって言うのが、非常に懐かしい響きに感じてな」 >ディスプロシトスに似た地名のところに住んでいたとか。  ちょっと読み直したら、町の名前はビナタだった。  …
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