35.前回と同じ?
次回から、各話を前後半に分けずに掲載致します。
週一ペースで、次回は9/14掲載の予定です。
それと、今まで前後半で分けていた話を、近々一纏めにします。
そのため、話数が減りますことをご了承ください。
→9/13に一纏めにしました。そのため、和数が減りました。
それから一週間の間、ボクとジノンはツモノミ市近くのダンジョンに通い詰めた。
狙いはアンデッド達。
ドロップアイテムが、一体当たり大金貨一枚と、かなりの儲けになるし、それを退治するのに使うのは、
『フェロモン魔法の出力低下のために、不本意ながら毎日一時間やらなくてはイケナイことで発生する副産物』
つまり、ボクにとっての廃棄物だ!
『取説君:ルカ‐0721号のフェロモン魔法を最大値から下げた場合、それにより放出できなくなったエネルギーを別の形で放出する必要が生じます。代行処置として24時間毎に1時間、ルカ‐0721号の陰部に何かを挿入してください。この際、男性器を用いることが推奨されます』
『取説君:ルカ‐0721号の人工愛液は、聖なる(性なる)パワーを秘めており、聖水と同等の効果を発揮します。アンデッド退治や悪霊退散に利用可能です』
しかも、本当にかけるだけで簡単に浄化できる。
まさに不要物の有効利用だ。
表向きは、本物の聖水を使っているってことにしているけど……。
マニアにとっては本物か。
嬉しいことに、ダンジョンの魔物共は、退治しても次の日になると何処からか湧いて出て来る。
まるで、ボクのHPのようだ。
『取説君:ルカ‐0721号は、睡眠をとった後は、如何なる理由があろうと全てが初期値に戻ります。HP値やフェロモン魔法の出力等を調節したい場合は、再設定が必要になります』
なので、毎日アンデッド退治!
お陰で、かなり儲けさせてもらった。
ただ、こう言った形で世の中に流通する貨幣が増えたら、金銭の価値って下がるんじゃなかろうか?
そろそろ自重した方がイイのかも知れない。
再試験前日に、ボク達は、一応、ダイスーシー村の先にあるワイバーン共の巣をチェックしに行った。
万が一、巣が全部、空になっていたら困るからだ。
ギルド長のレッドから、
『ワイバーン討伐の実演を見せたい』
って言われていたからね。
取り敢えず、巣には前と同じようにワイバーン共が居座っていた。
空の巣は五つあったけど、それらは全て、ボク達が先日倒したメスのワイバーンがいた巣だ。
他のワイバーン共は、一頭も、ここから立ち去っていなかった。
❖ ❖ ❖
再試験当日。
ボクはジノンを連れて、開始時刻の三十分くらい前にギルド受付へと向かった。
既に戦闘服(女王様服)を着用。
もう、この格好にも慣れて来た。
受付にいたのは、毎度の如くリマ。
ボクの相手をしてくれる受付嬢は、基本的に彼女しかいないんだろう。
ジノンとリマ以外に友達はいないし……。
本当にリマ以外の女友達は、いったい、何時になったら出来ることやら。
男友達は成立しないし。
身体の関係になりたいって連中ばかりだから。
ジノンを除いて。
「おはよう、リマ」
「おはよう、ルカ」
実は、この一週間でリマとは、お互いに『さん付け』で呼ばなくなっていた。
気楽に話せる相手が出来て、本当に嬉しいし、何も分からない異世界に転生したボクにとっては有難い存在だ。
勿論、ジノンもだけど。
「試験会場に行けばイイのかな?」
「十時ちょっと前に、ギルド裏に来て欲しいってギルド長が言ってたよ。そこからワイバーンの生息地までルカの転移魔法で飛んで、ワイバーン討伐を見せて欲しいって」
一応、ギルド長の思惑通りに事が進んだようだ。
ここは、必ずワイバーンを仕留めてやる!
とは思っているんだけど……。
「ただ、あれはボク一人だけでやったんじゃなくて、ジノンとの連携なんだけど?」
「二人で仕留めたことの証明だから、それでイイって」
「そうなんだ」
ただ、今回は、一週間前に受けた昇格試験と比べて、かなり緊張していた。
本部長達が来るわけだし、それに、ボクがランクダウンしちゃったら、ギルド長のレッドやベルデの立場に少なからず悪影響を及ぼす。
ボクが悪くてボクだけに跳ね返って来るなら仕方がない。
しかし、ボクが悪いのに他の人達の立場まで悪くなるのは辛い。
せめて、ワイバーン討伐くらいは、ヘマを見せないようにしないと。
「あと、ワイバーン討伐を見せて欲しいって、本部長から言って来たらしいよ」
「そうなんだ!」
これには、ちょっと驚いた。
ギルド長が提案して、ご機嫌取りしながら本部長達を説得したのかと思っていたからね。
ただ、ワイバーン討伐だけで終わってくれるとイイんだけど……。
「あと、ワイバーン討伐後に試験会場で試験するって。本部長達の誰かが、試験担当官になるらしいよ」
「やっぱり」
そうは問屋が卸さなかったか。
となると、さすがに今回は、女王様スタイルで鞭に蝋燭にロープにピンヒールってわけには行かないだろう。
かと言って、ボクは剣も槍も使えるわけじゃないし……。
超高速稼働で動いて背後を取って短剣で刺す?
これしか無いかもなぁ……。
「じゃあ、武器はギルドから試験用の短剣を貸してもらえるかな?」
「武器は前回と同じにして欲しいって」
「えっ? でも、それじゃマズいんじゃ?」
「でも、それが本部長からの指示なんだけど」
「マジで?」
「マジで」
それって、前回と同じことをヤラせて、
「やっぱりケシカラン!」
って言って落とすってパターンじゃなかろうか?
つまり、最初から不合格が決まっているってヤツ。
だったら、思いっ切りヤッてやろう!
誰が試験担当官になるか分からないけど、ボクがソイツを、ベルデの仲間(後輩)にしてあげるよ!
「じゃあ、ギルド裏に行って待ってるね」
「了解。あと、今回も魔石係で私も同行するんだけど、ルカの転移魔法って何人まで対応可能なの?」
「全部で男性何人の女性何人?」
「ええと、女性は私だけ。男性は、本部長に副本部長……あと、王都ギルド長にうちのギルド長と副ギルド長の五人だと思う」
ここにジノンが加わって女性一人の男性六人か。
それなら特に問題無い。
『取説君:ルカ‐0721号は、男性だけでしたら異性愛者同性愛者を問わず、転移魔法で同時に100人運べます。これは、乗っても大丈夫な数と同じです』
『取説君:女性同性愛者の場合も男性と同じカウントになります。つまり、女性同性愛者と男性を合計100人まで同時に転移魔法で運ぶことが可能です』
『取説君:女性異性愛者の場合は、男性70人分に相当します。そのため、女性異性愛者を同時に二人、転移魔法で運ぶことはできません』
リマが70人分だから、転移に同行可能な男性の数は30人が限界になる。
でも、今回、男性は合計六人だから全然余裕のはずだ。
「問題無いと思う」
「分かった。じゃあ、時間になったら、本部長達を連れて行くから」
「OK。お願いした」
「任された!」
「それじゃ、また後で」
ボクは、ジノンを連れてギルド裏へと向かった。
この時、リマがボクに手を振っていたから、ボクも同じようにリマに手を振った。
ただ、同性(女性)の友達が出来たのは嬉しいけど、前世は三十五歳のおっさんだったからね。
こう言った女性同士のやり取りは、正直、面倒臭く思うことも多々ある。
❖ ❖ ❖
ギルド裏で待つこと三十分。
前世だったら、多分、緊張して便意とか尿意に襲われていたと思う。
しかし、この身体は排泄をしない。
『取説君:ルカ‐0721号は、スカトロプレイ対応として、疑似的な大便を排泄することが可能です。この疑似的大便は、魔素エネルギーを質量に変換することで作られております。また、誰もが美味しく召し上がれるよう、味には大変拘っております』
『取説君:ルカ‐0721号は、疑似的大便と同様に魔素エネルギーを質量に変換することで疑似的尿を放出することが可能です。勿論、飲料として使用可能です』
なんか、取説君が、ボクも排泄するって力説してるみたいだけど……。
ただ、モノを出すことはできるけど、生理現象として出すモノじゃない。
飽くまでもプレイ用に特別に作り出すものだ。
なので、精神的な抑圧で排泄スパンが短くなるなんてことは無い。
そもそも、排泄行為を必要としないんだから。
ギルド長のレッド、ベルデ、リマと、三人の初老の男性達が、ゾロゾロとボク達の方に向かって歩いて来た。
この三人が、例の本部長達だ。
いよいよ再試験がスタートする!




