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32.鎮まれ~!

 ジノンとギルド長が試験場中央に立った。

 飽くまでも『立った』であって、『勃った』じゃない!

 そもそも、ジノンはフェロモン魔法抵抗性とHP抵抗性があるから勃たないけど。


 二人共、武器は剣。

 ボクの時とは違って、マトモな戦いが『繰り』広げられるだろう。

 決して『クリ』が広げられるなんてことは無いと思うけど。



『取説君:ルカ‐0721号は、エロ要素の入ったオヤジギャグが好きです』



 ただ、何だかギルド長の様子がおかしい。

 不自然にムチャクチャ前屈みになっている。


 それもそのはず。

 彼の股間には派手にテントが張られていた。

 長さも太さも倍以上にしてあげたから、それは、かなり目立っていた。

 この時、ギルド長は、『立った』だけじゃなく『勃った』でもあった。



『取説君:ルカ‐0721号は、超上位治癒魔法(スーパーエクスヒール:略してS-eX-ヒール)が使えます。これにより、欠損部位の再生や、男性器の増大、男性器の余剰部位の切除が可能です』



 ボクは、既に女王様モードを解除している。

 その時に、HP……ハレンチパワーを下限値まで落とした。

 なので、HPの影響が出ているとは思えない。


 同時にフェロモン魔法の出力も下限まで下げたから、そっちの影響も基本的には出ないはずだ。



 もし、ボクがフェロモン()()を大量に噴出しているんだったら、フェロモン物質が消えない限り男性陣は大欲情(大浴場じゃないよ)する。


 しかし、今回は、フェロモン()()を使ったのであって、フェロモン()()を出したわけではない。

 そもそも、人間ではないボクには、フェロモン物質を出すことが出来ない……と思う。



 フェロモン魔法の瞬間効力は、魔法強度に依存するから、魔法強度を大幅に下げれば、それに連動して効力も大きく低下するはず。

 なので、既にギルド長の下半身が反応する理由は無いはずなんだけど……。



「やべえ。想像したら勃っちまった」



 ギルド長が、そう呟いた。

 随分小さな声だったけど、ボクの耳は、彼の言葉をシッカリと捉えていた。



『取説君:ルカ‐0721号は、男性(異性愛者、同性愛者共に)の声なら、どんな小声でも聞き逃すことはありません。また、女性同性愛者の声も聞き逃しません』



 どうやら、ギルド長は、

『もし、ボクがベルデにしたことをしてもらったら』

 って想像をしたら、ギンギンに勃ってしまったようだ。


 ただ、それで股間が反応したってことは、ギルド長もM体質ってことだろう。

 ショウサンゲン湖の畔で、ボクに背中をピンヒールで踏まれたことが、キッカケだったんだと思うけど。



「鎮まれ~! 鎮まれ鎮まれ! 鎮まれ~!」



 ギルド長は、自分の股間に向かって、そう小さな声で語りかけていた。

 さすがに大きい声じゃ言えないだろう。


 セリフだけ聞くと、諸国漫遊する御隠居様に同行する脇侍達が、印籠を出す前に悪者達に対して投げ掛ける言葉みたいに感じたけど。

 でも、あっちは『静まれ』かな?



 しかし、意識すればするほど、ギルド長のナニは、より元気になっているみたいな感じだった。


 そんなギルド長の事情をよそに、

「はじめ!」

 ジノンのSランク昇格試験が開始された。



 開始の言葉を発したのは副ギルド長のベルデ。

 別に、ギルド長に嫌がらせをしたわけではない。

 そんな大変な状況になっているなんて、ベルデは考えが及んでいなかったんだろう。



 ジノンが突進してギルド長に剣を打ち込む。

 ギルド長は、剣を剣で受け止めた。



「キーン!」



 金属同士が激しくぶつかる音が試験場に響き渡った。

 ただ、ギルド長は、妙に前屈みになっていたため、腰が引けた状態になっていた。

 当然、全然腰が入っていない、腰砕けの状態だ。

 言うまでも無く、気合も入っていない。


 ギルド長は、ジノンの剣を何とか受け流したけど、今のコンディションでは、それで精一杯のようだ。

 精は『いっぱい』だけど!


 普通に勃てて……じゃなくて普通に立てていないから、まともに戦うなんてムリだ。

 Hバトルなら思い切り戦えそうだけど。



『取説君:ルカ‐0721号は、エロ要素の入ったオヤジギャグが好きです』(再掲)



 さらにジノンが、剣を打ち込む。

 二発目、三発目、四発目。

 何とか受け流すギルド長。


 しかし、次にジノンから放たれた渾身の一撃を受けた直後、ギルド長の持っていた剣が弾き飛ばされた。


 この一発(Hな一発じゃないよ)で勝負が決まったようだ。

 ギルド長は、前かがみのまま両手を上げた。



「参った」



 ジノンの勝利だ。

 ただ、ボクとベルデの戦いもそうだけど、これが魔法石に映像記憶として納められて、本部に提出されるって言うのは、何だかなって思った。


 ギルド長とベルデと、ある意味、ボクの恥ずかしい映像をギルド本部に送りつけるだけだからね。

 受け取った側も困る気がする。



 ギルド長が、その場に座り込んだ。

 テントが張っているのを周りに気付かれないように、彼は、何気に股間を両手で押さえていたけど、多分、みんなにはバレバレだと思う……。


 気付いていない人間がいるとすれば、こんな状態のギルド長に全力で剣を打ち込み続けたジノンくらいだろう。

 そもそも彼は、勃つことを忘れた存在だから……。



「ルカに続いてジノンも合格! ジノン!」


「はい!」


「今日から、お前はSランクだ!」


「あ……ありがとうございます」



 無事、ジノンもSランクに昇格できた。

 受験資格が得られた時点で、余程のことが無い限り合格は決まっていたんだろうけど。


 しかし、合格が確定するまではナニがあるか分からない。

 正式に合格との言葉を聞いて、ジノンは、この上なく嬉しそうな顔をしていた。



「じゃあ、リマ。二人の冒険者カードの方を頼む」


「ランクアップですね。承知しました」


「俺は、ここで少し落ち着いてから戻る」


「はい。では、先に受付の方に戻っています」



 リマは、ナニも気付いていない振りをして、試験会場から出て行った。

 ただ、ギルド長の方から彼女の視線が外れた直後、彼女は、妙な笑顔を見せていた。

 内心では、相当大ウケしていたに違いない。



 一先ず、ボク達も、

「ジノン、行こう」

 受け付けの方へと向かった。


 ジノンは、ギルド長の様子が気になっていたみたいだけど、ここは、ギルド長を一人にしてあげるべきだ。

 ナニの血流増加が治まるまでは……。



 ❖  ❖  ❖



 ボク達は、ギルド本館の受付前まで戻って来た。

 ここには普段から、それなりに冒険者達が屯しているけど、この時は、普段の倍近い冒険者達で溢れ返っていた。


 そして、ボク達の姿を見るなり、彼等がボク達……と言うか、ジノンの方に詰め寄って来た。



「ジノン、どうだった?」


「まさか、不合格とかは無いよな?」



 Sランク冒険者なんて、この人間大陸全体で見ても、数えるほどしかいないらしい。

 当然、ジノンの合否が気にならない冒険者などいないってことだ。



「俺もルカも無事合格した」



 そう言いながら、ジノンが親指を立てた。

 これを聞いて、冒険者達は歓喜した。


 ただ、基本的にはSランク冒険者の誕生にテンションが上がっているだけで、ボクのランクアップは完全に忘れられているっぽいけど……。

 別にイイけど……。



「ルカさん。ジノンさん」



 ボク達は受付にいるリマに呼ばれた。

 この時、彼女の表情は、いつもの営業スマイルに戻っていた。

 ギルド長とベルデの失態を見た時の笑い顔とは、まるっきり別物だ。



「はい」


「新しい冒険者カードです。二人共、ランクアップ、おめでとうございます」


「はい。ありがとうございます」


「あと、ワイバーンの討伐代は、明日以降になります。また改めてお越しください」


「了解です!」



 ボク達は、リマから新しい冒険者カードを受け取った。

 これで、今日からボクはAランク冒険者、ジノンはSランク冒険者だ。



 それから、ワイバーンの討伐代だけど、翌日の夕方にキチンと受け取ることが出来た。

 ジノンは、

「分け前はルカが8で、俺は2でイイ!」

 って言っていたけど、キチンとトドメを刺したのはジノンだからね。

 何とか説得して半々にしたよ。

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― 新着の感想 ―
[一言] >「やべえ。想像したら勃っちまった」 >「鎮まれ~! 鎮まれ鎮まれ! 鎮まれ~!」  これに対してルカが 「鎮まれ!鎮まりたまえ!さぞかし名のある(股間の)山の主と見受けたが 何故そのよう…
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