31.Aランク昇格!
結界内に充満する最大出力のフェロモン魔法。
これに追い打ちをかける2500000もの超高HP値(HPはハレンチパワーです!)。
既にベルデは、正常な思考を失っているだろう。
しかも、SPはボクの取り得る最大値(SPはサドポイントです!)。
ステータス画面覗き見スキルで、ベルデが、
『異性愛者で、傍目にはSを装っているが、中身はMの上級者』
と言うのを既に確認済み。
もはや、ベルデは、M男以外に取るべき道は無いはずだ!
ベルデの息遣いが荒くなってきた。
これは、M男として、ボクに何かS的なことを期待しての反応だろう。
いよいよ、リマが期待していたショーの始まりだ!
「甲冑をお脱ぎ! それじゃ、気持ちのイイこと、出来ないわよ」
「はい。女王様!」
ベルデは、大剣を投げ捨て、甲冑を脱ぎ捨てると、その場に正座した。
しかも、ハアハア言いながら、モノ欲しそうな目でボクを見詰めて来る。
一応、ボクは、昨夜、自分なりに女王様のシミュレーションをした。
なので、ダイサンゲン村の串焼き屋のおっさん……じゃなくて、あの村のギルド長を相手にした時よりは、多分、マシな女王様が演じられると思う。
「脱げたのね。じゃあ、イイ子には、ご褒美をあげなきゃね」
ボクは、アイテムボックスから蝋燭を取り出すと、パチンと指を鳴らした。
すると、蠟燭に火が灯った。
火炎魔法は使えないけど、これだけは特別、魔法で火が点けられる。
『取説君:ルカ‐0721号は、性活魔法として蠟燭に火を灯すことが出来ます』
蝋燭を見ながら、ベルデのテンションが上がって来た。
間違いなく、
『中身はMの上級者』
である反応だ。
ボクがベルデの背中に蝋燭を垂らすと、彼は、
「あっ! イイー!」
と声を上げていた。
観客席で、この様子を見ながら、ギルド長は指をさしながら笑い転げていた。
リマも大笑い。
しかし、他のギルドスタッフ達は、寝耳に水の展開だろう。
まさか、ギルドナンバーツーが、こんな失態を犯すとは。
全員、目が点になっていた。
ただ、これって魔法石で録画しているんだよね?
しかも、王都のギルド本部に提出することになっているし。
これって、ボクも相当恥ずかしいんじゃない?
もう、開き直るしかないな。
ここでボクは、鞭を数発、ベルデの背中に打ち込んだ。
そして、再び蝋燭を垂らす。
これを数回繰り返した。
「鞭と蝋燭、どっちがイイ?」
「両方です、女王様!」
「両方だなんて、欲張りさんね。でも、イイ子にしていたから、もっとサービスしてあげる」
ボクは、アイテムボックスから縄を取り出した。
そして、一気にベルデを縛り上げる。
『取説君:ルカ‐0721号は、Hに関連するアイテムであれば、何でもそつなく使いこなします』
『取説君:ルカ‐0721号が出来る縛り方は、亀甲縛りだけです』
さらにボクは、ベルデの両手首と両足首を、彼の背中の後で一纏めにして縛った。
どうやら、ここでの亀甲縛りの定義は、両手首と両足首を背中の後で一纏めにして縛るところ(手足拘束)まで含まれているらしい。
ちょっと地球での定義とは違うような気がするけど……、別にどうでもイイか。
いずれにしても、これでほぼ完全にベルデは自由に動くことができないはずだ。
縛られて、さらに恍惚の表情を浮かべるベルデ。
しかも、既に下半身には巨大なテントが張られていた。
ただ、結構な大きさみたいだから、魔法で増大してあげる必要は無さそうだ。
『取説君:ルカ‐0721号は、服の上からでも正確にサイズを図ることが可能です』
さらに、ボクはピンヒールでベルデの背中を踏んだ。
再び、ベルデの、
「あっ! イイー!」
って声が試験場にこだました。
こんなプレイが数十分に渡って『繰り』広げられた。
ちなみに、『クリ』は関係ない。
『取説君:ルカ‐0721号は、エロ要素の入ったオヤジギャグが好きです』
幸せそうな表情のベルデ。
ただ、こっちは結構、キツイ肉体労働だ。
人間じゃないから疲れないけど。
『注:SMとは単純にSがMをいじめる行為ではありません。SがMに愛情を持って叩く等の肉体労働、すなわち奉仕をします。また、Sを正しく行うためにはM男やM子の要求に沿うよう奉仕しなくてはなりません』
ボクの頭の中で取説君の声が響き渡った。
たしかに、言わんとすることが理解できた気がする。
そろそろボクとしても、こんなSMごっこは終わりにしたい。
ある意味、面白いんだけど、面倒になって来た。
「どう? これでボクは、この試験に合格でイイのかしら?」
「ご……合格です! なので、もっとご褒美を!」
「もう、欲張りさんね」
本来なら、ここで、さらに蝋燭を垂らす展開だろう。
もしくは鞭を入れるか。
しかし、合格の言葉が出てきた以上、さらなるプレイをヤル必要はない。
ここでボクは、
「フェロモン魔法出力、下限値まで低下! HP50! SP、MP設定0!」
女王様モードを解除した。
これに連動して、ベルデは、ふと我に返ったわけだけど……。
亀甲縛りされていて、両手首足首もまとめて縛られていて、彼は全然動けない。
いきなり状況が読めず、彼は、
「何だ、これ?」
と大声を上げた。
しかも、全身は赤い蝋にまみれていた。
背中には鞭の跡と、ピンヒールで踏まれた跡がある。
さすがに、背中についた跡は、自分では見えないだろうけど。
ボクは、ベルデが投げ捨てていた大剣を拾い上げると、柄を両手で握って、大剣先端部をベルデの顔に押し付けた。
勿論、試験用の刃が無い大剣だから、斬れることは無い。
「さっき、合格って言いましたよね?」
「知らん。覚えていない!」
「そうは言っても、この状況なら、この戦いはボクの勝ちでイイですよね?」
ベルデとしても記憶が無いだろうし、こんな状態になっていること自体、納得が出来ないだろう。
やはり、自分の負けを即答するのはムリなようだ。
でも、数秒間の沈黙の後、ベルデは、
「降参だ!」
と大きな声を張り上げて言った。
縛られて動けないんじゃ、勝ち目が無いからね。
下手にロープを引き千切ろうとして首を絞めちゃったら大変なことになるし。
それが分からないほど脳筋じゃないようだ。
冷静に判断したと思う。
結界魔法使い達が結界を解いた。
すると、リマがボクの隣まで走って来た。
「勝者ルカさん」
リマが、ボクの手首を掴んで腕を上げた。
ただ、副ギルド長が見せた失態が、余程嬉しかったのか、この時の彼女は、もの凄い笑顔だった。
もしかして、ベルデのことが嫌いなのか?
「では、ルカさん。副ギルド長の縄をほどいてあげてください」
「了解」
ボクは、ベルデの全身を縛る縄を掴んだ。
すると、彼の身体に食い込んだ縄が、まるで魔法のように簡単にほどけた。
『取説君:ルカ‐0721号は、Hに関連するアイテムであれば、何でもそつなく使いこなします』(再掲)
縄から脱出できて、ベルデはホッとしていた。
数時間後には、ギルド長達と同じように色々と思い出して自己嫌悪に陥るだろうけど。
ベルデは脱ぎ捨てた甲冑を装着すると、試験場から観客席の方に移動した。
ただ、他のギルドスタッフ達は、何気にベルデから目を逸らしていた。
あんなのを見せ付けられたら、さすがに直視は出来できないと思う。
「まあ、経緯はともかく、簡単にベルデに勝ったんだから、ルカのAランク昇格は文句が言えないだろう。ルカ。Aランク昇格だ!」
こう言ったのはギルド長。
さすがに、ボク自身は、
『あんな前代未聞の戦い方で本当にイイのか?』
とは思ったけど。
「まあ、ワイバーンを討伐してきた段階で、実力は示されているので、この試験はセレモニー的なモノなんですけどね」
こうボクに言ったのはリマ。
まだ、思い出し笑いしていたけど。
「でも、それなら試験を行う意味って?」
「パーティの仲間のお陰で、実力が無いのに試験資格が与えられてしまう場合がありますでしょ?」
「まあ……ありますね」
「なので、そう言った冒険者達を不合格にするための試験なんです。まあ、それでも貴族とかの場合は、ちょっとアレですけどね」
即ち、正当に試験資格が得られた時点で、既に合格は決まっていたってことだ。
これは、基本的にジノンの方も同じだろう。
もっとも、Sランクだけは貴族が金と権力で買えるランクではないみたいだけど。
ただ、そう考えれば、彼が昇格試験の資格が得られた段階で、あれだけ喜んでいたことが理解できる。
いよいよ、ジノンのSランク試験が始まる。
ボクは、リマと一緒に試験場から観客席へと移動した。




